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輝く女性とのカフェタイム~子連れレポーターとらちゃんが行く~

第12回 マダンから広がる出会い~井手紀子さん

伊丹で活躍している女性達に出会って、一緒にこれからの「自分探し」をしてみませんか。家庭で頑張るミセス、子育て中のママ、仕事と家庭を両立している方など、すべての頑張る女性を応援します!
今回は「伊丹マダン」の副代表としてご活躍中の井手 紀子さん(いで のりこさん)にお話を伺いました。
伊丹マダンの副代表としての活動とは?公民館デビューを始められたきっかけとは?などいろいろとお話を伺いました。
伊丹マダン 副代表 井手紀子さん
伊丹マダン 副代表 井手紀子さん
― 井手さんは伊丹マダンで副代表をされているのですが、まず「伊丹マダン」とはどういうものでしょうか?

「マダン」とは韓国・朝鮮語で「広場」という意味です。伊丹市在住の外国人市民と日本人市民が共に生きるまちづくりを目指し、出会いと触れ合いの場としてスタートしました。広場の舞台では歌や踊り、楽器演奏などがあったり、屋台のお店ではブラジル、タイ、インド、ギリシャ、中国、韓国朝鮮などの美味しいお店が並びます。また、5年前からマダンの新しい目玉として取り入れた子どもフリーマーケットも今では賑わいの一つになっています。多様な民族文化に触れることの出来る市民祭りの一つとして今年も第14回目の開催に向けて準備を行っています。
伊丹マダンのポスター。原画は市内小学校の<br>応募作品から選出しています。
伊丹マダンのポスター。原画は市内小学校の
応募作品から選出しています。
― 副代表としての活動について教えてください。

私は伊丹マダンの第1回目から実行委員として関わっています。舞台進行や広報担当を経て今に至っていますが、連絡係といったらいいでしょうか・・・。人と人とを結ぶパイプ役になれたら嬉しいです。実行委員会を4月から月1回開催していますが、その中で一人一人の委員が意見を出し合ったりして、各自の持ち場で頑張っています。

学びの場所から出会いを広げる場所へ

― 実行委員としてどうして参加するようになったのでしょうか?

次男が小学校5年生の時に、担任の先生の勧めもあって中央公民館の『在日朝鮮人問題を考える講座』を受講しました。公民館へはそれまで行ったことがなかったのですが、講座を受けることでたくさんの魅力的な方々と出会うことができました。その出会いがきっかけで「伊丹マダン」へ誘っていただき、実行委員として仲間入りすることになったのです。講座を受けることがなければ、今の私はきっとなかったでしょうね・・・。中央公民館は私にとっての「学びの場」でしたが、震災後は「出会いを広げる場」に変わっていった気がします。

― 長年、実行委員をされていたのですね。思い出に残るエピソードがありますか?

正直、こんなに伊丹マダンが長く続くなんて誰も予想していなかったと思います(笑)。私自身も10回目を迎えるまでは、何も分からないことだらけでどのように向き合えばいいのか試行錯誤の日々でした。それでも、運営に関わってきたのはやっぱり「人って素敵だな」と思う気持ちがあったからでしょうね。伊民マダンを通じてさまざまなドラマがありました。例えば第1回目終了後に、在日朝鮮人一世の方が来られて「このじわっと沸いてくる涙は何なんでしょうね。チマ・チョゴリを堂々と着て、うちの国の歌や踊りを見せている。しかも日本の学校の中で・・・。わしらの若い頃には考えられんことや。」とお話されたことが今でも私の心の中に残っています。実行委員として多くの方と交流できて主婦の私がこうして今成長できたのも伊丹マダンのおかげだと思っています。
― 現在伊丹マダン以外に中央公民館で活動されているそうですが・・・

毎週水曜日に、公民館のロビーの一角でコーヒーをお出ししています。今年でもう12年目になります。講座や同好会の後、ミーティングや作業の後にちょっと一息したい・・・そんな時に、お手伝いするのが一杯のコーヒーです。小さい子どもさんを連れたお母さんや妊婦の方などもお越しになられることもあります。グループ名は「グループ・モナリザ」です。名前が「モナリザ」ですが、男性の方も参加してくれています。コーヒーコーナーを利用していただく人達との出会いで、たくさん元気をもらっています。また、公民館のロビーでロビーコンサートなどもさせていただいています。

「今、私たちに出来ることを」を合言葉に始まった一杯のコーヒー

― 公民館でコーヒーコーナーを始めたきっかけは?

震災後に公民館に送られてくる救済物資の仕分け作業のボランティアをしました。そのうち避難所に何か温かいものをお届けしたくって・・・。たまたまPTAの役員活動で知り合った方からコーヒーの入れ方を教わり、道具も一式いただきました。「今、私たちに出来ることをしよう!」と思った私は最初3人からスタートして、伊丹市内1日4箇所避難所を巡りました。最初は恥ずかしくて「コーヒーいかがですか?」と言えない状態でしたが、そのうちコーヒーをお届けすることで親しくお話するようになったのです。
その後、口コミでたくさんの方に協力していただき中央公民館の厨房で毎日800食のお弁当を作りました。あの頃を思い出すと「よく頑張ったな・・・」と思います。被災者の方が仮設住宅に移られる頃、『公民館再発見講座』を受講して枚方公民館に見学にいくと、障害を持つグループが良い雰囲気のコーヒーコーナーをされていました。講師の方が「公民館とは地域に根付いた市民と職員が一緒になって作る場所なのだから」と背中を押してくださいました。それがきっかけで、1997年からリニューアルした公民館でスタートできたのです。
コーヒーコーナー10周年記念のリーフレット<br>とっても綺麗なイラストですね
コーヒーコーナー10周年記念のリーフレット
とっても綺麗なイラストですね
― コーヒーの収益(カンパ)はどのように利用されているのでしょうか?

コーヒーの収益(カンパ)は、中央公民館の幼児室のおもちゃや、絵本の定期便として利用しています。絵本の定期便とは、長崎県祈りの丘絵本美術館と童話館で絵本を選んでいただき、その本を伊丹市立図書館や伊丹朝鮮初級学校へ郵送していただいています。これからもこういうことを続けていければと思っています。
― 子育て中のママさんへメッセージをお願いします!

私は子ども達が小さい時には、子どものそばにいてあげたいと思っていたので、長い間専業主婦をしていました。子ども達が外から帰ってきたらお母さんができることなら家にいて「ただいま」「おかえり」が言える関係を作ってあげたかったからです。
子どもって、分からないことがあると「どうして?」って聞いてくることが多いですよね。私は子どもが分からないことがあった時も、「今忙しいから」とか「あとで」となるべく言わないようにして、話を聞いてわからないことがあれば辞書を持ってきて一緒に調べるようにしていました。子どもが小さい時はあっという間に過ぎてしまいます。子どもを抱きしめることができるのも今のうちかもしれません。そのかけがえのない大切な時間を大事にして我が子を見守っていてもらえたらと思います。

取材を終えて・・・

井手さんのように、長く専業主婦をされてきた方に巡りあって、小さいうちに我が子と一緒にいられることも幸せなことなのだと再認識した取材でした。子育てが一段落して社会復帰する方法もさまざまです。職業という枠にとらわれず、井手さんのように出会いがつながって社会貢献できる場所を見つけることができるのですね。私も諦めず、希望をもって前進していきたいと思いました。

今年の「伊丹マダン」は、2009年(平成21年)11月8日(日)に開催されます。
市立伊丹小学校にて入場無料です。楽しい催し物がたくさんありますよ!

この出会い、全てが奇跡・・・

伊丹市出身のツインボーカルユニット KiSEKi

9月の中央公民館でのイベントにも出演されていて、井手さんもその歌声に魅了されたとか。
井手さんからのエールとして、こちらでもご紹介!

KiSEKi オフィシャルサイト

                 <子連れレポーター とらちゃんとらちゃん>
伊丹市在住4年。2歳になる男の子のママです。
子育ては大変だけど、子どもと一緒に楽しい毎日を過ごしています。
将来の夢は、子育てが一段落したら仕事復帰すること。
この先、仕事復帰できるのかな?家庭との両立は大変だって聞くけど?
私と同じように不安をお持ちのママさんも多いはず。そんなママ達に、応援メッセージを与えてくれる素敵な女性達に出会いたい!
仕事も家庭も頑張っている女性達に直接お話を聞いて、皆さんにお届けしたいと思っています。
今回のお助けスタッフは、子育てサークルの仲間「えみさん」、2歳になる男の子のママです。

2009年10月掲載