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Cute Movies

父親たちの星条旗 

父親たちの星条旗 ~Flags of Our Fathers~ 監督:クリント・イーストウッド

(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks L.L.C.
配給:ワーナー映画 2006年10月28日(土)、丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks L.L.C.
硫黄島の「英雄」の3兵士。戦時国債の広告塔に・・・

【全ての兵士に捧げるイーストウッドの鎮魂歌】

岩の上に数名の兵士たちが「星条旗」を立てようとしている。そんな写真を見たことがあるでしょ? そうそう、星条旗がはためき兵士たちがポールに手を添えている・・・。

あの歴史的な写真。それは61年前、従軍カメラマン、ジョー・ローゼンタールが撮った一枚の写真だった。写真の舞台となったのは、日本の最南端に位置する東西8キロの小さな島・・・硫黄島だった。
硫黄島は太平洋戦争で最も熾烈な闘いが繰り広げれらた激戦地だ。

1945年、太平洋戦争末期。硫黄島を陥落しなければアメリカに勝利はない――。アメリカは難攻不落といわれた要塞島(硫黄島)の頂(摺鉢山)を目指し大量の兵を投入。決死の覚悟で日本との戦いを挑んだ・・・。
米国軍は摺鉢山付近にある無数のトーチカを攻略し、多くの戦死者を出しながらかろうじて摺鉢山の頂を陥れ、星条旗を立てたのだ。
それがいまでは伝説となったあの――写真――ということになる。(カメラマンのジョー・ローゼンタールはあの写真でピューリッツアを受賞)

星条旗を立てたのは一体誰か? アメリカの誰もが英雄だと信じた兵士たちの真実は?

星条旗を立てた「功績」で数奇な運命を背負わされることになる3名の兵士たちは、戦闘でボロボロになった心を癒すまもなく、戦時国債の広告塔として利用されることになり米国本土に帰還し「英雄」となる。いや、「英雄」に祭り上げられることになる・・・。

監督は全編を通じ、あえて劇的な音楽も使用せず(音楽は自身が担当)過剰な演出も避け、淡々と、しかし静謐で丁寧なシーンの積み重ねで時代に翻弄された兵士たちの真実を浮き彫りにしていく。まるでドキュメンタリーフィルムを見ているような錯覚さえ覚える。

イーストウッドが本作品に託すメッセージはストレートだ。
星条旗はためく下に・・・その下には、多くの兵士(敵も味方も・・・)の屍がある。あの戦争で戦い、戦場で命を亡くした日米双方の若い兵士たちの為に捧げた映画なのだ。
この作品を見て「戦争」や「平和」を今一度考える機会を与えられた気がする。
そして「命」というかけがえのないものに対する「尊敬」をイーストウッドが教えてくれた。
text by...  茶柱達蔵

2006/10/27