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乾杯は【伊丹の酒】で!

第3回 お酒は神様からのプレゼントですよ

富松神社・須佐男神社 宮司 善見壽男さん

前回登場の石川道子先生から紹介されたのは、御願塚須佐男神社の宮司も兼任されている、尼崎市富松神社宮司の善見壽男さん。地域への愛情がいっぱいの善見宮司に、お酒のすばらしさを楽しく語っていただきました。

公的資金をあてにするのは、自立してない証拠

「お弁当の蓋に付いた米粒には神様がいると、母に教えられました。『もったいない』『いただきます』といった、日本の言葉の中にも、神様がいるんですよ」
「お弁当の蓋に付いた米粒には神様がいると、母に教えられました。『もったいない』『いただきます』といった、日本の言葉の中にも、神様がいるんですよ」

――善見さんは、富松地区の郷土野菜、「富松一寸豆」保存研究会の事務局長さんでもあるんですね。

 一寸ソラマメは粒が大きくてやわらかいけど連作ができないため、作っている農家がわずかになってしまいました。「地域の特産品を絶やしてはいけない!」という思いで、10年前に保存研究会を立ち上げてね、現在は共同栽培してるんです。活動には地域の小学生も取り組んでくれて、一寸豆は給食にも登場するんですよ。富松に新しく引っ越して来た人も、地域の歴史や文化を理解し共有することで、コミュニティが生まれるんじゃないかな。人と人を繋ぐことも神社の大切な役目だと、私は思っているんですよ。


――伊丹の神社の宮司も兼務されているんですね。


御願塚の「須佐男神社」、御願塚古墳の上の「南神社」、池尻の「春日神社」の宮司でもあります。私のひいじいさんが御願塚出身なので、御願塚には思い入れがあってね、御願塚史跡保存会の副会長もしています。御願塚の由来は、5つの塚「五ケ塚」という説と、奈良時代に行基さんが治水工事の成功をお願いしたという説があって、とてもロマンチックな地名なんですよ。
御願塚史跡保存会では、御願塚地区を紹介するイラストマップを作っているところですが、地域を調べてみると、猪名寺廃寺の礎石が古い旧家の庭先で飛石になっていたり……、と非常におもしろい発見があるんですよ。2008年末か2009年にはすごく良いものができ上がるから、楽しみにしていてね。

「節分の豆まきは、大切な豆を鬼にプレゼントして『どうぞ悪さをしないでね』と言ってるの。退治してるのではないんですよ」
「節分の豆まきは、大切な豆を鬼にプレゼントして『どうぞ悪さをしないでね』と言ってるの。退治してるのではないんですよ」

――とてもパワフルに活動されていますね。


だって、住んでる市民が動かなければ、まちは良くならへん。行政の公的な資金をあてにしたり、「お金がないと何もできない」なんて言うのは、自立してない証拠。そんな生き方はアカンよ。御願塚の里は、古墳ができた時代からずっと、自分たちの地域は自分たちで作っていくという自主自律の意識が続いてるんです。

ホンマモンの情報は、出会いの中にある

――善見さんは、神職について35年ですか。


 稲作文化を持つ日本人は、氏神様を祭って豊作を祈ってきました。本来神社は、個人の願いを叶える所ではなく、地域社会のあらゆる平安を祈っている場所なんやね。
「祭り」の語源は、神様を「待つ」なんです。いらっしゃる神様をおもてなしする「神饌(しんせん)」は、第一が米。そして第二が米で作ったお酒なんですね。それから餅、海の幸、野の幸、山の幸、塩、水と続く。祭礼の後には、お供えした「神饌」をいただく「直会(なおらい)」があって、お酒をさしつさされつ、親交を深めるんですよ。いかにお酒が神様と人の絆をつなぎ、人と人とを結んできたか、神社に勤めて気づきましたね。


――神職は、お酒が飲めないと務まらないですね。


 まだお酒の飲み方を良く知らない若いころには、年配の神社総代方の面白い話についついお酒がすすみ、酔いつぶれてその場で寝てしまって、気がついたらみんな帰ってはったことも(笑)。そんなだらしない姿も、総代の方々に知ってもらい、かわいがってもらいました。「直会」の席で先輩方から教わった、知識、知恵が、私のまちづくりに生かされているんやね。インターネットも大事ですが、やっぱり生身の人同士が出会うところに、ホンマモンの生きた情報があるんですよ。だから若い人には、「欠席から親睦は生まれないよ」って言ってる。また、「面倒くさい」と言う人には、「自分の幸せのために、動かなければ! 生まれて来たことを喜びに変えていこう!」と伝えているんです。

「稲作文化を持ち、自然の大切さを分かっている日本人こそ、地球の環境を救えるはずだと思うんです」
「稲作文化を持ち、自然の大切さを分かっている日本人こそ、地球の環境を救えるはずだと思うんです」

――なるほど。今、善見さんが幅広く活躍されているのは、お酒のおかげなんですね(笑)。


 そう、その通りです。お酒は神様からのプレゼントだと思うんですよ。あるいは、お酒そのものが神様と言えるかもしれない。また、お酒は人を神様に変えていく薬でもありますね。
このリレーインタビューのタイトル「乾杯は【伊丹の酒】で!」は、とても良い言葉やね。乾杯は、万人がお友達になる瞬間ですよ。そのコミュニケーションのスタートを、地元の「伊丹の酒で!」っていうのは、素晴らしいですね。

善見壽男さんからのお友達紹介

「お酒が大好きでとても楽しい、阪神自動車学院社長の古田孝雄さんを紹介します。最近話題になっている、「飲酒運転」についての啓発やお酒との付き合い方について、面白い話題をお持ちではないでしょうか」
小西新太郎さん→石川道子さん→善見壽男さん→古田孝雄さん