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男と女の「おかしな!?」ハナシ

エッヘン!イクジイ

あなたの身の回りにも時々起こる、
「これってどうなの?」
「おかしくない?」という話。
このコーナーでは、毎回、
「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。

エッヘン!イクジイ

今回のつぶやき主は、良太郎さん。
ゲートボール仲間に、孫の面倒をみる話をして、
周囲の反応が様々なことに気づきました。
美津子「良太郎さんのゲートボールの腕前は、なかなかのものですね。
この後もし時間があれば、みんなで喫茶店に行きませんか?」

良太郎「いやぁ、今日は孫の面倒をみる約束をしていましてね、ご一緒できなくて残念です。
息子夫婦が共働きで、時々私が保育所に迎えに行って、孫と一緒にスーパーで買い物をして、晩御飯を作るんですよ。」

三郎「えぇ!?そうなんですか! 
私もたまに孫を預かりますが、さすがに買い物までは・・・ ・・・。
奥さんは、料理をされないのですか?」

良太郎「私は定年退職をして悠々自適の生活ですが、妻はまだ仕事をしているんですよ」

三郎「私も時間は持て余していますが(笑)、
家事をするという発想は、全くありませんでしたなぁ」
さゆり「でも、息子さんのお嫁さんって、お仕事が大事かも知れませんけれど、
ご主人のお父さんにまで甘えるなんて、さすがにちょっと失礼じゃありません?」

美津子「関東に住むウチの娘も、帰りが遅くなるときは子育てサービスを利用しているようです。
近くに住んでいるなら、ぜひ手伝ってやりたいんですけどね」

良太郎「孫と一緒に買い物をしていると、すごいですね!なんて、やたら褒めてくれる人がいますねぇ。
母さんでもバアさんでもなく、ジイさんというだけで必要以上に褒められるのも、
いささか照れくさいものですなぁ」

三郎「良太郎さん、それは充分自慢に値することですよ。
台所に入ると明治生まれの母親からこっぴどく叱られた私は、未だに包丁が持てません。
男の料理教室なるものに、一度参加してみますかねぇ。
◆良太郎のつぶやき・・・
私は昔から料理も好きだし、今は時間にも余裕があるから、
忙しい息子夫婦の手助けになると思い、孫を迎えに行って、晩御飯を作っているだけなんだが。
確かに周囲の人からは、相当驚かれたり、時には非難めいたことも言われるなぁ。
世のヒマな爺さんたちが、孫と一緒にもっと買い物に出かけてくれれば、
私が好奇の目で見られることも減るんだが。

◆美津子のつぶやき・・・
最近娘は全然電話をかけてこないけれど、元気にしているのかしら? 
宅配便で孫のおもちゃでも、送ってあげよう。

◆さゆりのつぶやき・・・
良太郎さんすごいわね。
お嫁さんも奥さんも、あれだけやってもらって平気・・・ ・・・?
なんて最初は思ったけれど、以前より良太郎さん、若々しくなっておられるし、
皆さんがそれでご機嫌なら、他人の私がとやかく思うことじゃなかったわね。

◆三郎のつぶやき・・・
ジイさんが孫とスーパーで買い物をすることに対して違和感を感じているのは、
実は女性の方が多いような気がするなぁ。
私も、孫の機嫌が良い時だけ遊ぶのではなく、色んな関わり方をしていこうかな。
まずは手始めに台所デビューといきますか。
【ミニ知識】   
シニアのライフスタイルを変える「孫」のチカラ

 ニホンザルやアイアイの生態を研究してきた霊長類学者・島泰三氏が、孫娘の成長を6年間観察した記録本「孫の力―誰もしたことのない観察の記録」(2010中公新書)。
意外にサルとヒトとの学術的な比較は少なく、学者であってもかわいい孫にはメロメロ・・・といった内容が広く支持されている。
島泰三氏の著書がきっかけで、2011年に雑誌「孫の力」(木楽舎)が創刊された。
孫と一緒に出掛けたり、料理を作ったり、写真を撮ったり、祖父母と孫との距離を縮めるための方法が盛り込まれた隔月刊誌だ。
また、「祖父、ソフリエになる―新米じいじ初めての孫育て」(2011メディカ出版)を出版したNPO法人エガリテ大手前では、祖父をターゲットにした講習会を全国で実施。
修了生に「ソフリエ認定証」を手渡すことで、中高年男性に新しいライフスタイルを提案している。

横からちょっと言わせて

専業主婦もパートも経験した<br>関西学院大学社会福祉学科教授 <br>今井小の実さん
専業主婦もパートも経験した
関西学院大学社会福祉学科教授 
今井小の実さん
「ワシも族」とか「濡れ落ち葉」とか、男性の定年後を揶揄する表現が世間で使われ出したのはいつのころからだったでしょうか。
日常生活を通して地域に根をおろし、子育てや教育の場で様々な人間関係を築いてきた妻には、夫が会社に行かなくなったとしても普段と変わらない毎日が待っています。
しかし仕事一辺倒だった夫は、現役時代の習慣を簡単には変えられず、
家事を積極的に手伝うわけでも趣味に没頭するわけでもなく、ただ時間をもてあまし、外出する妻に「ワシも」と言ってついてくる・・・、その様子がまるで「濡れ落ち葉」のようだと例えられた表現だったのです。
「イクジイ」は、この状況を大きく変えるに違いありません。
振り返れば、結婚しても働き続けてきた私が地域に豊かな人間関係を創ることができたのは会社をいったんやめて家庭に入った子育ての時代のおかげでした。
再就職して、ティーンエージャーとなった子どもたちとともに引っ越してきた現在の地域ではほとんど近所づきあいもなく、地縁と呼べるものがないことに今更のように気づきました。
育児は、地域社会とつながる大きな扉なのです。
公園や保育所、おけいこごとの場、学校、地域の行事など、子育てを通じた輪が広がっていきます。
「イクジイ」が増えれば、「ワシも族」や「濡れ落ち葉」はまちがいなく減るはず。
男性が汚名(?)返上できる時代は、すぐそこまできています。
原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく)
イラスト : 林やよいさん