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輝く女性とのカフェタイム~子連れレポーターとらちゃんが行く~

第13回 絵本を使った子育て支援~花井 祐代さん~

伊丹で活躍している女性達に出会って、一緒にこれからの「自分探し」をしてみませんか。家庭で頑張るミセス、子育て中のママ、仕事と家庭を両立している方など、すべての頑張る女性を応援します!
今回は伊丹市立図書館 児童室で司書としてご活躍中の花井 祐代さん(はない さちよさん)にお話を伺いました。
司書としてのお仕事のことや、お仕事を通じて感じておられる「本」と子育てについてなどいろいろとお話を伺いました。
伊丹市立図書館 司書 花井祐代さん
伊丹市立図書館 司書 花井祐代さん
― 現在、司書のお仕事をされているのですがお仕事内容について教えてください。

私は児童室を担当していますが、最近は外に出て出前講座を積極的にすることが多いですね。私自身、司書が外に出て行くことは大事なことだと思っています。少子化の時代ですから、図書館内で市民の皆様を待っているというよりも、外にでて、図書館の良さや読書の楽しさなどをアピールしていくのが、これから図書館の目指すべきものだと思っています。例えば、子育て支援センターからの依頼で毎年12~13回ほど数箇所のむっくむっくルームで絵本の講座をしています。主に1歳から3歳対象で「絵本を利用して子育てしてくださいね」というメッセージをお母さん達にお伝えしたいと思っています。図書館内にずっといると、本好きな方が来館されますが、外に出ると絵本に無縁なお母さんにも絵本のすばらしさをお伝えできるのがいいですね。例えば以前お伺いした「出前講座」ではうつで出歩けないお母さんが受講されていました。そんな方にも絵本を通じてホッと一息ついてもらえたら嬉しいです。

― 司書になられたきっかけは?今は司書として勤務するのは難しいと聞くのですが・・・。

私は短大在学中に司書の資格を取得しました。ちょうどその時に伊丹市立図書館が建設されたばかりで短大を卒業後、伊丹市立図書館で働き始めました。途中、伊丹市立高等学校の図書室での勤務が3年ありましたが、それ以外はずっとこの図書館で勤めています。ほんと長い付き合いですね。(笑)私が短大を卒業したころは、他市でも図書館がいくつか建設されていましたが、私の同級生で就職先に図書館を選択したのは私だけでした。「どうして公務員なの?」と言われました。ですが、当時民間企業に就職するには「親元からの通勤」が条件だったので、地方出身の私には民間企業の選択肢はありませんでした。ただ、元々本が大好きで司書の資格を取得していましたので、図書館に就職することができました。本当に運がよかったなと思っています。
― 図書館ではさまざまなイベントをされていますね。イベントを通じて思い出に残るエピソードがありますか?

伊丹市では子ども読書活動を推進しています。そして「伊丹のまちは1つの大きな図書館」という趣旨の「本の杜」事業を展開しています。もう一つは「ブックスタート」事業があります。生後4ヶ月になる赤ちゃんに図書館で用意した5冊の絵本から1冊選択していただいてプレゼントするのですが、この事業を開始した当時、私自身は生後10ヶ月頃にならないと絵本を楽しめないのではと思っていました。ですが、生後4ヶ月頃の赤ちゃんでも個性豊かで、ボランティアさんが読み聞かせをすると手を出して本を触ろうとしたり、お気に入りのページが見えなくなると泣く赤ちゃんもいました。「こんな小さい赤ちゃんでも絵本に興味があるんだ」と分かって大変感慨深かったです。そして、そんな赤ちゃんを見てお母さんもとても感動して下さるんです。4ヶ月の赤ちゃんでも意思表示ができて好みもある・・・1人の個性をもつ人間なんだと気づきました。
「ブックスタート」事業のポスター。<br>子育て中のママにはありがたいですね。
「ブックスタート」事業のポスター。
子育て中のママにはありがたいですね。
「ブックスタート」事業で5冊の中から<br>1冊選択してプレゼントしています。
「ブックスタート」事業で5冊の中から
1冊選択してプレゼントしています。
図書館スタッフの方と<br>「クリスマス会」について打ち合わせ中。
図書館スタッフの方と
「クリスマス会」について打ち合わせ中。
― 伊丹市では平成24年に「新図書館」が設立される予定ですが、新図書館内で実現させたいことがありますか?

新図書館では今まで以上の広いお部屋を使った「ふれあいの場」ができる予定です。静かに本を読める空間を確保しつつ、子ども達が騒いでもいいようなお部屋があったり、お母さん同士が孤立することなく交流できたり、子育て中の方だけでなくお年寄りの方も交えてお話できる空間が生まれてほしいなと思います。本に囲まれた昔ながらの空間を好まれている方もいらっしゃいますので、そういう旧き良き図書館の雰囲気を残しつつ、新しい空間も実現できればと思っています。
規模も大きく、中心市街地に設立されるので、今まで来館されたことのない市民の方とも出会えるのではと期待しています。本当に新図書館設立を楽しみにしているんですよ。

一生本に関わる仕事がしたい

― 将来、司書としてかなえたい夢がありますか?

そうですね・・・図書館を核に学校や幼稚園、保育園など、子どもに関係しているあらゆる機関と連携して、「読書サポート」のネットワークを確立したいと思っています。そして、子どもたちに読書の楽しさを伝えていきたいと思います。
もう一つ私個人としては、これからもずっと子どもと本に関わる仕事をしていきたいですね。今は忙しくてゆっくり来館して下さる方と触れ合う機会を持てないこともありますので、退職してからも、ボランティアのような形で本を探している方と、本とを結びつけるようなお手伝いなどもやってみたいですね。
児童室の平日は子ども連れのお母さんが多いのですが、土日になるとご家族でお越しになられる方も多いのですよ。他にはお正月やお盆休みに帰省する孫のために、どんな本を選んだらいいのかとご相談に来られる高齢者の方もいらっしゃいます。そんな方達のご相談にのって、感謝される度に「あ~この仕事を続けてやってきてよかったな」と感じます。どのご家族も微笑ましいな・・・と思いますね。そういう経験を積み重ねてきているからでしょうか・・・ずっと何らかの形で絵本に関わる仕事を続けていければいいなと思いますね。

「仕事を辞める」という選択肢が全くなかった

本から何かを感じ取れる子どもに<br>成長してほしいです
本から何かを感じ取れる子どもに
成長してほしいです
― お子様が2人いらっしゃるそうですが、仕事と子育ての両立は大変ではなかったでしょうか?

仕事は毎日とても楽しかったです。ですので、結婚した時も、2人の子どもを出産した時にも、私の中に「仕事を辞める」という選択肢は全くありませんでした。職場に仕事仲間が大勢いたのと、やっぱり仕事がとても楽しかったからでしょうね・・・私と同期入社した女性は7名いたのですが、結局仕事を続けながら子どもを出産したのは私だけでした。1人だけでしたが、職場の方にとても支えてもらいました。仲間がいなかったら今の私はいなかったと思います。2人の子どもは小さい頃よく熱を出したのですが、実母と義母に交代で育児や看病をしてもらったので何とかその時を乗り切ることができたので今も感謝しています。
図書館受付には「おすすめ絵本」を掲載した<br>冊子やちらしがたくさんありますよ。
図書館受付には「おすすめ絵本」を掲載した
冊子やちらしがたくさんありますよ。
― お仕事がとても充実されていたのですね。仕事がお休みの時は、お子様に絵本の読み聞かせをしていたのでしょうか?

仕事をしていた分、お休みの時には子どものそばにいようと、おんぶをしながら家事をしたり、スキンシップは絶えず行っていました。絵本の読み聞かせももちろんしていましたよ。親子で本屋にもよく行きました。仕事をしていてもできる限り子どものそばにいてあげたいと思ったし、学校行事にもできる限り参加したかったですし・・・。
『じゃあ じゃあ びりびり』の絵本は<br>絵がカラフルでとても人気があるんですよ
『じゃあ じゃあ びりびり』の絵本は
絵がカラフルでとても人気があるんですよ
― 子育て中に、どんな絵本を選択していいのか迷ってしまうお母さんも多いと思うのですが・・・。

児童室には赤ちゃん絵本コーナーやブックリストを用意していますので、参考にしていただければ・・・。図書館に以前来られた方で、幼い時から子ども専用の小さいバックを持たせていた親子さんがいました。そのお母さんは、子ども自身にも絵本を選択させて、借りる時も利用券と本を子ども自身がカウンターに運んできて全部一人で行っていました。その絵本がどんなに対象年齢が違っていても子どもが選択したものは全て借りていたのです。時には小さいバックに入りきらなくて、子どもが引きずって持って帰る時もありましたが・・・そういう光景を毎回見ているうち、気づいたことがあるのです。私もそうですが、親って子どものために何でも親が選択したものを子どもに与えようとしますよね。この親御さんのように子どもに絵本の選択から貸し出しまで一人でさせることは子どもの成長にとっては大事なことかもしれないな・・・と思いました。
― 子育て中のママさんへメッセージをお願いします!

児童室でたくさんの親子に接して感じるのは一番には「怒らないでね」ということ。そしてどんな子どもも自分のお母さんが大好きと思っているので、その気持ちをしっかり受け止めてほしいです。私もそうでしたが、子どもにはいつも「早く!早く!」と言ってしまいがちですが、子どもができる時間をつくって、本を選ぶ時もじっくり待ってあげることも大事かなと思います。どうしても、子どもが遅くしていると怒ってしまいますよね。以前来館されているお母さんの中で全く怒らないで、じっと子どもを待ってあげている方がいたのですが、見ていると子どもさんも段々言うことを聞くようになっていました。時間に余裕を持つと、案外怒らなくてすむかもしれませんよ。
あと、いつまでも親子でハグできる(抱きしめる)関係を続けてほしいなと思います。ハグできる関係があれば、中学校高校生の思春期の時も、大人になって苦しんだり悩んでいる時も、そっと寄り添って励ましてやれると思うのです。「ぎゅっ」と抱きしめる関係っていい事だなと感じます。私に孫ができたら是非ハグする関係を続けたいですね。(笑)

取材を終えて・・・

花井さんのお話を伺って、本当に図書館が好きな方なんだな・・・と思いました。
そして司書のお仕事を心から楽しみつつ、市民の方との触れ合いを大切にされていると感じました。たくさんのお母さんやお子さんを見守り続けた花井さんだからこそ気づいた子育てのヒントをいくつか教えてもらえて、大変嬉しかったです。これからも伊丹市立図書館の「お母さん」として子育て支援を継続していただきたいです。

                 <子連れレポーター とらちゃんとらちゃん>
伊丹市在住4年。2歳になる男の子のママです。
子育ては大変だけど、子どもと一緒に楽しい毎日を過ごしています。
将来の夢は、子育てが一段落したら仕事復帰すること。
この先、仕事復帰できるのかな?家庭との両立は大変だって聞くけど?
私と同じように不安をお持ちのママさんも多いはず。そんなママ達に、応援メッセージを与えてくれる素敵な女性達に出会いたい!
仕事も家庭も頑張っている女性達に直接お話を聞いて、皆さんにお届けしたいと思っています。

2009年12月掲載