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はじめに

伊丹市は、昭和48年伊丹市同和対策審議会に「伊丹市における今後の同和対策の具体的方策について」諮問し、昭和50年審議会の答申に基づき4カ年計画を策定した。その後、市は昭和53年「今後の同和行政の推進に関する意見」、昭和56年「同和問題に関する市民啓発についての意見」、そして昭和58年「市における今後の同和行政のあり方について」、「伊丹市における今後の個人給付的事業のあり方について」の答申を尊重して同和対策事業を推進してきた。

このたび、伊丹市長は、「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」の施行後二年目を迎え、国際的な経済動向に伴う経済・労働問題、国際連合人権委員会での論議にみられる人権啓発の内容などの新たな課題、また地域の緑化を含む快適な都市空間の構成や、職業の安定、生活文化の向上、教育の充実など、内的要因ともいえる質的充実への課題、さらに差別事象の発生が跡を断たない現状を直視して、今後の同和問題解決をめざす具体的対応とその方策を確立するため

1同和問題解決への視点

2個人施策の当面のあり方と方向

3地区内諸施設の運営

4人権啓発のあり方

という4本の柱を建てて本審議会に諮問した。

本審議会は、諮問内容について検討を加えた結果、同和対策事業に関する一応の方向は、これまでの数次にわたる答申によって尽きていると思われるが、改めて真に部落差別をなくするためにどうあるべきかという立場から、(1)環境整備等総合部会、(2)生活向上部会、(3)教育人権部会の3部会に分けて検討を進めてきた。

それぞれの部会は、これまでの市の同和対策事業が

(ア)部落差別解消と、どのような関係をもっているか

(イ)一般行政と、どのような意味で整合性を保っているか

(ウ)地区住民の自立に、どのように役立っているか

という観点から検討した。

(ア)の項目について言えば、一つは環境問題における部落差別の実態、二つは生存権を含む様々な生活における部落差別の実態、三つは教育における部落差別の実態が問題となった。

環境を整備する要件としては、道路・バス等の交通条件、住居、地区および立地条件、コミュニティの条件、水利用に関する条件、緑化問題との関係等々。生活向上を目指す要件としては仕事と生活のあり方とその他の諸条件。教育・人権を構成する要件としては教育者と被教育者との関係についての考え方から成り立っていると考える。

(イ)、(ウ)の項目については、上と同様の視点から検討した。

これらと各部会の視点の関係は、それぞれ諮問の「3地区内諸施設の運営」については(1)環境整備等総合部会が、「2個人施策の当面のあり方と方向」については(2)生活向上部会のそれが、「4人権啓発のあり方」については、(3)教育人権部会が対応しており、「1同和問題解決への視点」が3つの部会の関係を明らかにしている。

すなわち、個人施策、地区内諸施設、人権啓発は個別に扱われるべきものではなくて、「差別解消のために」という共同目標に対して、相互にどのように関係しあっているかを明らかにすべきである。

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