1.視察出張委員
委員長 鈴木久美子 委 員 花田康次郎
副委員長 岸田真佐人 〃 加柴 扶美
委 員 戸田 龍起 〃 前田伸一郎
〃 篠原 光宏 〃 森 華奈子
〃 高橋 あこ
2.視 察 先 奈良県庁
3.視 察 日 令和5年7月5日(水曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎7月5日(水曜) 13:30~ 奈良県庁
<中学校部活動の地域移行について>
初めに、奈良県議会事務局長からの歓迎あいさつを受けた後、鈴木委員長が、視察を受けていただいたことに対するお礼を述べた。続いて、奈良県教育委員会健康・安全教育課課長補佐からの説明を受け、質疑応答がなされた後、議場見学を実施した。
<説明の概要>
令和3年より、県及び2市村に依頼し、実証事業として地域移行に向けた取組を進め、年度末には課題等を整理し、県下全域で共通理解を図る取組も進めてきた。また、翌年に1市を加え、実証事業を進めてきたところである。
(1)地域移行の体制整備について
〇地域部活動推進会議の開催経過
昨年度は、庁内の関係各課や県スポーツ協会などの関係団体の代表者が集まり、地域移行に向けた情報交換及び今後の推進方法等について協議を図ってきた。地域移行を進めていくにあたり、それぞれの立場で、どのようなことができるのかを話し合い、意識を高めてきたところである。成果の一つとしては、教育委員会として、中学校における休日部活動の地域連携及び地域クラブ活動への移行を進めていくことを、PTA連絡協議会のホームページを活用し、保護者に向けて広報した。
また、令和3年の実証事業では、指導者の確保が大きな課題として挙がっていたため、指導者の確保に向け何ができるのかということを協議し、(仮称)奈良県スポーツ・文化芸術指導者人材バンクを作ってはどうかという案が出た。県スポーツ協会の協力を得て、県内各種スポーツ団体が既に持っている指導者バンクを共有し、県が一括して取りまとめることで、各市町村で指導者の確保が困難な時には、指導者と市町村を仲介できるよう、指導者バンクを設置することとなった。
また、今年度、新たに「奈良県部活動改革検討委員会」を設置し、部活動地域移行に向けた手引書のようなものを作成することを決定した。去る6月28日に第1回目の委員会を開催したが、年2、3回程度の開催を予定している。
(2)令和3年度地域部活動推進事業における8つの課題のその後の取り組み
〇指導者の確保
(仮称)奈良県スポーツ・文化芸術指導者人材バンクの設置を検討している。質の高い指導者を担保していくためには、各競技団体の協力を得なければならないため、県スポーツ協会の協力を得ながら、各競技団体の人材バンクを提供いただくとともに、教育委員会としては、指導を希望する教職員についても、指導者バンクで管理を行い、市町村への支援が出来ればと考えている。どのようなバンクにしていくのかを検証しているところである。
〇兼職兼業
地域スポーツクラブの指導に携わりたい教職員の兼職兼業による指導者の確保に努めるよう、市町村教育委員会に依頼している。課題として、県庁職員や警察官などは制度的に難しいが、国が教職員の兼職兼業に関する手引書を発行しているので、参考にしながら、今後、市町村に対し、手引書を示していければと検討している。
〇受益者負担
国からの補助等がなくなった時に、受益者負担が発生することを、丁寧に周知していく必要がある。あわせて、経済的理由で活動を諦める生徒が出ないよう、経済的措置を国に求めていくこと、また、保護者への理解を図るための手段等について、検討委員会で図っていきたい。
〇保護者の理解
県のPTA連絡協議会と連携し、PTAのホームページで、地域移行について、保護者への周知に取り組んできたが、ホームページを見る保護者は少ないと認識している。令和7年度末をもって、休日の部活動の地域移行を進めていくことを、保護者に周知していきたい。
〇大会のあり方
昨年度より、クラブチームの大会参加について、県中学校体育連盟と協議を重ね、地域クラブの大会参加が可能となるよう中学校体育連盟の大会参加規定を見直した。
〇検討会議の設置
(1)地域移行の体制整備についてのとおりである。所管外であった文科系については、視野が欠けていた部分もあったが、第1回開催の検討会議には、奈良県吹奏楽連盟等の文化系の芸術団体代表にも参加いただいた。吹奏楽であれば、防音装置がある施設でなければ音を出すことが難しいことや、大きな楽器の移動が難しいなどの意見があった。学校施設や学校の道具を活用しなければ、地域移行が難しい現状も明らかとなった。
〇活動場所等の環境の整備
受益者負担の軽減を図るためには、地域クラブの活動場所、学校施設等を積極的に活用することを、実証事業を活用しながら検討していきたい。また、市町村に対しても、環境整備を図るよう周知するとともに、関係各課や関係団体と連携し、スポーツ施設等の情報提供にも努めていきたい。
〇関係職員、関係団体の理解
関係課や関係団体代表者による庁内会議を令和3年に設置し、理解を図っているところであるが、文化系に携わる関係機関や関係団体との連携は、始まったばかりである。
(3)生徒への対応について
〇学校部活動と地域部活動の他に民間スポーツ団体での活動を選択する生徒の扱い
〇活動場所までの安全対策
〇不登校傾向にある生徒の地域部活動参加
〇指導者との関係性に何らかのトラブルが発生した際の相談体制
〇スポーツ推薦による進学への影響
11市町村で実施予定の実証事業において、これらの課題を検証・整理しながら解決に取り組んでいき、今年度末にはすべての市町村に対し、情報共有を図っていきたい。また、これまでの実証事業での課題や成果とあわせ、今年度の実証事業で明らかとなってきた課題や成果、制度設計の方策を事例とした地域移行における手引きを作成したいと考える。
<質疑応答>
(問)体罰等、指導者と生徒間におけるトラブルが起こった際の責任の所在は。
(答)実証事業等を通じ、検討していく必要がある。体罰等が起こった際の相談体制はもちろんのこと、まずは、体罰等を起こさないためには、どうすればよいかということを制度として考えなければならないと考えている。
(問)成果報告書では、学校単位でしか大会に参加することができないとなっていた が、現状は。また、クラブチームが大会へ参加することが可能になっているのであれば、参加の事前申請を行うクラブチームは、どれくらいあるのか。
(答)現在は、中学校体育連盟が認めたクラブチームも参加できることになっている。また、バドミントンが6団体、柔道が4団体、バレーボールが2団体、バスケ・水泳・相撲が1団体などの参加申請があった。
(問)地域移行後、生徒の大会参加はどのようになるのか。
(答)年度当初に、クラブチームか学校かを選択して登録し、参加することになる。
(問)指導者の確保が難しいマイナー競技などはどうなるのか。
(答)例となるが、近隣市町村と協定のような形で3つの市町が集り、バレーボール、野球、サッカーのそれぞれ拠点校地というような形で、3校地の範囲内を移動しながら活動できる環境を作ることも考えられる。指導者は少なくても、工夫次第でやれなくはないと考える。
(問)指導者人材バンクを市町村独自で設置し、研修を行い、部活動の指導を行うことは可能か。
(答)そのような市町村もあると思われる。市で取り決めを行い、指導者を確保できるのであれば、問題はないと考える。
(問)地域移行への推進期間である令和7年度末までに、どれくらいの中学校を地域移行させていくのか。また、地域移行を完了させる時期は。
(答)具体的な数字や期間のビジョンはないが、奈良県教育長としては、令和7年度末で、すべての市町村において、地域移行の完了を目指すと宣言されている。
(問)休日の学校部活動の地域移行が推進されているが、最終的には、平日も同様になることを国は目指していると考えてよいのか。
(答)まずは、休日ということである。我々も、まず、休日の地域移行を推進していくことになるが、移行には、平日の学校部活動の在り方を含め、考えなければならない。
(問)どのように子どもたちの意見を取り入れ、今後の部活動の在り方に生かしていくのか。
(答)会議で、校長会会長から子どもたちの声を聴くことができると考えていたが、現時点で、子どもたちの声を吸い上げていくころまで検討はしていない。しかし、各市町村では、子どもたちの希望などを把握するためのアンケート等を実施しているところもあると思われる。
(問)けがや事故があった場合の責任の所在は。
(答)運営母体となる。
(問)令和3年度から実証事業を行われているが、受益者負担の現状は。
(答)実証事業では、国の補助金があるため、受益者負担は発生していない。
以 上
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