1.視察出張委員
委員長 鈴木久美子 副委員長 岸田真佐人
委 員 戸田 龍起 委 員 篠原 光宏
〃 高橋 あこ 〃 花田康次郎
〃 加柴 扶美 〃 前田伸一郎
〃 森 華奈子
2.視 察 先 東京都三鷹市・東京都文京区
3.視 察 日 令和6年7月17日(水曜日)~18日(木曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎7月17日 14:30~ 東京都三鷹市
<三鷹市福祉Laboどんぐり山プロジェクトについて>
初めに、三鷹市健康福祉部調整担当部長より歓迎のあいさつを受けた後、鈴木委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、三鷹市福祉Laboどんぐり山所長から、開設に至った経緯や施設概要、開設からの実績等について説明を受け、質疑応答がなされたのち、施設見学を実施した。最後に、岸田副委員長よりお礼のあいさつがなされた。
<説明の概要>
(1)開館までの経緯
平成8年に三鷹市立特別養護老人ホームどんぐり山を開設したが、令和2年に施設の老朽化と、近隣に100床規模の民間の特別養護老人ホーム2か所が開設される等の理由で、施設を廃止することとなった。今後の運営について議論する中で、高齢社会の到来により医療と介護のニーズが拡大、複雑化している背景から、「住み慣れた地域で暮らしたい」というニーズに応える地域づくりを目指して、高齢者の在宅生活を支える拠点としてリニューアルオープンすることが決定し、令和5年12月1日に、在宅生活を望む高齢者とその介護を担う家族、市内介護事業者等を支援する拠点施設として、「三鷹市福祉Laboどんぐり山」が整備された。
(2)目指す姿
三鷹市の在宅医療・介護福祉を取り巻く課題について、多様な企業・大学・研究機関と連携を図りながら、新しい試みに取り組み、研究・実証を行い、その成果を市民や事業者へ還元するとともに、先進事例として発信することで、地域を越えた価値の創造を目指す。
(3)施設概要等
在宅医療・介護の推進と高齢者福祉の向上のため、企業や大学等との協働により、研究・サービス開発を目的とする「在宅医療・介護研究センター」、人財育成を目的とする「介護人財育成センター」、実践・実証と在宅生活支援サービスの実施を目的とする「生活リハビリセンター」の3つの事業を実施している。
●在宅医療・介護研究センター
企業や大学等との協働により、市民や介護事業者に、最先端の技術や最新の研究成果を還元するための拠点である。
企業と連携して実施した実証・研究として、「eスポーツを活用した高齢者の生きがいづくり」、「ICTを活用した高齢者の見守り・フレイル予防の普及・推進」、「mediVRカグラを活用したリハビリテーション」等がある。「eスポーツを活用した高齢者の生きがいづくり」では、体験会を実施し、eスポーツが高齢者の外出の機会を創出することに寄与するかどうかについて検証を行った。「ICTを活用した高齢者の見守り・フレイル予防の普及・推進」では、コミュニケーションロボットを高齢者の単身世帯に貸与し、実証を行ったほか、「mediVRカグラを活用したリハビリテーション」では、VRを利用した上半身のリハビリ・トレーニングについて、体験会や生活リハビリセンターにおいて実証を行っている。
また、在宅医療・介護を推進する取組の一つとして、協働研究推進室の貸出しを実施し、福祉Laboどんぐり山の各事業や地域との連携などにより、協働研究や事業活動を支援できる環境を整備している。
●介護人財育成センター
介護人財不足の解消や、超高齢社会に求められる人財育成のために必要な研修の実施、介護事業者の支援のほか、多世代に向けた理解促進のための情報発信等の役割を担う。
介護人財育成センターにおいて実施している研修は、主に、専門職向けの階層別研修・スキルアップ研修、資格取得のための介護職員初任者研修・ふれあい支援員養成講座・喀痰吸引3号研修、家族介護者や市民を対象とする研修となっている。開設から令和6年3月までの期間で、専門職向けの研修と資格取得のための研修を受講した人数は、計463名であり、市民向けの研修を受講した人数は667名であった。
●生活リハビリセンター
居宅に近い環境での日常生活動作による練習を通じて、在宅生活の課題解決や質の向上を目指し、介護保険外の独自サービスを提供しており、他事業と連携した取組への参加が可能である。
在宅に近い環境でリハビリを行うため、在宅での生活を想定した7つの居室を整備し、利用者の同居家族が宿泊し、トレーニングを行うこともできる。居室は、意図的に段差を設けるなど、在宅復帰に主眼を置いたしつらえとなっており、洗濯室・浴室の利用にあたっては、介護職員の見守りを受けながらも、入居者が自立して対応できるよう配慮している。
また、「在宅医療・介護研究センター」による最新技術の実践・実証の場、「介護人財育成センター」における実習の場としての役割も担っている。
昨年度12月から3月までの4か月間の利用者は22名となっており、利用者の年齢は59歳から99歳で、平均年齢は83歳であり、平均利用日数は23.1日となっている。入所に至るケースとしては、病院から退院後、自宅に戻るにあたって不安があるケース、在宅しているケース、介護老人保健施設に入所しているケースなどがある。
隣接する保育園の敷地内に週2回移動販売車が来るため、スタッフの付き添いはあるものの、利用者自身で買い物から調理まで行うことも可能となっている。
<質疑応答>
(問)近隣に100床規模の民間の特別養護老人ホームが2つ開設されたことと、老朽化による建て替えの必要性により、三鷹市特別養護老人ホームどんぐり山を廃止したと説明を受けたが、現在、特別養護老人ホームの待機者はいないのか。
(答)200名程度存在する。100床規模の民間の特別養護老人ホームが開設される前は、常時300名を超える待機者が発生しており、100名程度減少しているので、一定程度、待機者の減少は達成していると考えられる。また、待機者200名の中には、既に入所する施設が決まっている方や入院している方も含まれているため、施設入所を希望されている待機者数は200名よりも少ない見込みである。
公立特別養護老人ホームの経営で黒字を維持するのは難しいため、特別養護老人ホームは民間に任せ、市はフレイルや介護の予防という目的で、福祉Laboどんぐり山を整備することとなった。
(問)特別養護老人ホームを廃止した時点で建物の修繕等を実施しているが、この修繕は、市が実施しているのか。
(答)市で大規模なリニューアル工事を実施した。
(問)指定管理に係る委託料の額と予算の積算根拠は。
(答)令和6年度予算で、1億6,000万円。社会福祉事業団の積算資料を基に協議し、予算を決定している。
福祉に係る先進事業という取扱いで、改修工事を含め、令和6年度までの3年間は、東京都が支出する補助金の交付を受けている。金額は、年間1億円である。
(問)介護人財育成センターの研修を受講し、資格取得を達成した実績はあるのか。
(答)介護人財育成センターにおいて、三鷹市の実施する「ふれあい支援員養成講座」を受講することで、「みたかふれあい支援員」として登録され、介護福祉士等の資格がなくても訪問サービスに従事できる。また、同講座の受講者を登録ヘルパーとして活用している。少人数だが、毎年研修受講者は複数名いるので、少しずつステップアップしていくことを目標に、人財育成を進めていきたい。
(問)配付資料に掲載されているeスポーツの写真は、対戦している様子を撮影したものか。
(答)そのとおり。インベーダーゲーム、ぷよぷよ、太鼓の達人などで対戦を行う。eスポーツの場を企画・セッティングする人材を確保するのが難しく、継続が課題である。
(問)移動販売は市が運営しているものか。民間事業者によるものか。
(答)民間事業者が運営しているものである。
(問)介護人財育成センターが実施する研修における医療的ケアの内容は。
(答)研修受講者の希望にもよるが、市民向けの研修では湿布や絆創膏の貼り方等についてお話しし、専門職向けの研修では、看護師から、ヘルパーができる医療的ケアの範囲について案内するなどしている。
(問)介護人財育成センターが実施する中学生向けキャリア講演会の実績は。
(答)令和6年3月に、対象者を小学校高学年から中学生とその保護者として実施し、参加者は18名であった。各公立中学校にチラシを配布して、周知を行った。
(問)市民や事業者への施設の広報・周知の方法は。
(答)主に市の広報誌やローカル番組で周知を行った。その他、オープニングセレモニーでの市民への事業紹介、市内介護事業者向けの出張研修、市内で開催されるイベントでの広報活動等も実施した。
(問)福祉人材の確保という観点から福祉Laboどんぐり山を開設したことによるアドバンテージを、数値で教えてほしい。
(答)令和5年12月1日に開設しており、この半年間で数値を出すことは難しい。福祉Laboどんぐり山プロジェクト以外でも人材確保の取組を実施しているので、その他の取組も含めて、近隣市と連携しながら進めていきたい。
(問)eスポーツなどのイベントを開催する際の広報・周知の方法は。
(答)企画から開催までの期間が短く、一般市民に広く周知するのが難しい場合もあるが、社会福祉事業団は介護老人保健施設や居宅介護のサービス事業者とつながりがあるため、そういった施設に対して周知を行っているほか、地域で活動する団体等に対しても周知を行っている。
(問)企業や大学との連携はどのような形で行っているのか。
(答)福祉Laboどんぐり山の協働研究推進室を利用し、主に企業が実施している研究をサポートするという形で連携している。
(問)部屋の貸出しを行う際、企業から利用料を徴収しているのか。また、協働研究推進室には、様々な企業が入ることができる仕組みなのか。
(答)協働研究推進室を利用する際は通常月3万円を徴収しているが、協働研究の場合は減免している。新規・継続のどちらも受け入れている。最長で3年間継続して協働研究推進室を利用できる。
(問)協働研究推進室を利用している後見人の相談や住居の斡旋を行う事業者は福祉Laboどんぐり山に常駐しているのか。
(答)事業の進捗状況にもよるが、常駐はしておらず、滞在している頻度はまちまちである。
(問)生活リハビリセンターでは介護保険外の独自サービスを提供しているとのことだが、利用料の設定はどのようになっているのか。
(答)市で独自に料金設定をしており、概ね費用の1割が利用者負担、残りが市の負担となる。なお、料金設定にあたっては、近隣他市の料金と比較しながら、事業計画における生活リハビリセンターの事業費見込みの概ね1割程度を適正価格であると判断したため、今後変動することはないと思われる。市の負担部分は、東京都の補助金等も活用している。
(問)生活リハビリセンターの費用負担の内訳は、東京都の補助金が約5割、三鷹市が約4割、利用者が約1割となっているのか。
(答)そのとおり。
(問)生活リハビリセンターの利用料金は毎日発生するのか。
(答)そのとおり。
(問)生活リハビリセンター利用者の男女比率は。
(答)昨年度12月から3月の4カ月間の利用者22名のうち、男性14名、女性8名。
(問)「どんぐり山」という名称の由来は。
(答)特別養護老人ホームを開設する際に市民から公募し、決定したものを引き継いでいる。
(問)障がい者を対象とした福祉Laboどんぐり山のような施設はあるのか。
(答)ない。福祉Laboどんぐり山で障がい者の受入れが可能かという問合せをいただくこともあるが、介護施設で働いていた職員が多く、現状での受入れは難しい。
(問)「Labo」という発想はどのように生まれたのか。
(答)3つの事業により新しいことを生み出していくという挑戦を表現するという意味で「Labo」としている。
(問)「Labo」の仕組みはどのような議論から生まれたのか。
(答)介護人材の不足は以前から課題として挙がっていたが、今後さらに高齢者が増加していく状況で、単純に人材を増やすだけでは追いつかない部分がある。新たな技術により介護サービスを効率化し、自宅に住む高齢者を支援する新しいテクノロジーを地域に落とし込んでいくなどの技術の実装と、人財育成という2点を同時に進めることにより、介護人材の不足と高齢社会に対応しようというのが、福祉Laboどんぐり山のコンセプトである。
市長の公約が人財育成の拠点を造るというものだったこともあり、具体的な内容を担当部局で協議した後、令和2年度に有識者を招いて研究会・部会を開催し、最終的なイメージを固めた。
◎7月18日 10:00~ 東京都文京区
<文京区青少年プラザb-labについて>
初めに、文京区青少年課の担当者及び青少年プラザ(b-lab)館長から、開設に至った経緯や施設概要、開設による成果等について説明を受け、施設見学を実施したのち、質疑応答がなされた。
<説明の概要>
(1)開館までの経緯
以前から中高生の居場所に関する要望が寄せられていたが、平成13年度に、文京区青少年問題協議会の中の青少年の居場所検討部会から提言が出された。
また、平成19年度以降、福祉センターと教育センターの老朽化による建て替えの検討を進めるにあたり、両施設の建て替え検討委員会の中に青少年プラザ部会が開設され、その部会において、近い将来、社会に巣立つ中高生が自ら社会性を身につけ、自立した大人になるためには、家庭や学校以外に気軽に集まれて伸び伸びと活動できる場や、自らの可能性を広げる場を提供することが必要であるとの結論が出された。また、中高生を対象とした施設は、他の公共施設では要望等に応えられない機能を持つとともに、異年齢が交流できるような施設整備が望まれたこと、さらに、好きなことや興味のあることに挑戦しようとする中高生の多様なエネルギーを受け止める場や機会が必要であるといった報告書が出された。
平成22年の中高生を対象としたアンケート、平成23年の中高生を対象としたニーズ調査の実施を踏まえ、平成27年にb-labが開設した。
(2)施設概要等
b-labは、中学生・高校生を対象に、自主的な活動の場及び交流の場を提供することにより、青少年の自立性及び社会性を育むための施設である。「中高生の秘密基地」をコンセプトに、リビングのようなスペースや勉強、バンド活動、ダンスなどができるスペースを整備しているほか、文化・学習支援等のイベントの実施、さらには、中高生がイベントの企画や運営に関わることもある。
●施設概要
b-labは、教育センターの一角にあり、年末年始を除き、午前9時から午後9時まで(中学生は午後8時まで)開館しており、施設貸出は事前予約制にしている。
なお、ホール及び音楽スタジオの一般貸出については、中高生による予約を優先とするとともに、夏休み等長期休業期間は中高生のみの使用としている。
また、施設・備品の貸出しの使用料は、中高生は無料である。
●来館者数
令和5年度に初めて30,000人を超え、中高生の内訳は、平均15,000人ずつで、男女比も同じくらいである。
●実施事業
中高生が興味を持つ様々な分野の講座や講演会等の文化・スポーツ事業や、学習支援事業、広報誌の作成、地域交流事業等を行っている。
●施設運営
認定特定非営利活動法人カタリバに指定管理委託しており、開所当時から変わっていない。
●運営委員会・評価委員会
より良い施設運営を実施するため運営委員会を設置しており、令和3年度からは、中高生目線での意見も聞くことができるよう、委員に利用者を加えている。
また、b-labの運営委託事業者を適切に評価するための会議も設置している。
(3)設置理由(目指す姿)
●安全・安心な居場所づくり
中高生が自分らしく自由に過ごせる環境を整えるために、中高生のニーズに合わせた多様な設備(ボードゲームやNintendo Switch、楽器等)を設置している。中高生は、それら全てを無料で利用でき、何かを始めるときに、b-labで借りてみて自分に合うか否かを判断できるようにしている。
また、東京という場所柄、屋外で遊ぶことが難しいため、外の運動施設も整備している。
●きっかけに出会う場
中高生が新たな自分の可能性に気づいたり、新たな興味・関心を発見したりと、様々な新しい出会いに繋がるきっかけを作ることを大切にしている。
きっかけを提供するための視点として、中高生と会話をしながら、年間240の多種多様なイベントを開催している。中には、中高生による自主企画のイベントもある。
●一歩踏み出すステージ
中高生自身が主体となって周囲を巻き込みながら、自分自身でやってみたいことにチャレンジすることを支えるようにしている。
(4)中高生が参加・参画するb-labにするための工夫
設立時には、中高生の声を聴き空間デザインを行った。また、現在は、All-b-labで、来年度の備品購入の検討や、設立後10年が経過していることから、空間全体のレイアウトやゾーニングを変更するほうがいいのかどうかについて議論し始めている。
中高生が利用者として終わるのではなく、様々な仕組を整えて、中高生が参画して主役になっていくことにチャレンジしている。
(5)b-labの特徴
10代の子どもたちを支えていくということで、多様な人材が中高生の日常を支えている。スタッフだけでなく、より中高生に近い年齢の大学生や若手社会人のフロアーキャストというボランティアも働いている。フロアーキャストは、彼らにしかできない中高生との関わりや寄り添いを行い、人数としては、半期の任期制で15人程度が活躍している。
(6)学校との連携実績とその成果・市民の反応
学校向けに案内を出すなどの情報発信を行うとともに、区立中学校を対象に出張事業をしている。また、活動内容を配布して、先生たちに来館していただき、施設が認知されていっている。さらに、中学生の利用者が午前中に来館していれば、学校に連絡している。
また、開設後10年が経過し、市民の認知度は上がってきていると思う。
(7)課題等
文京区内にある大学との連携が出来ていないため、今後、実施していきたい。
また、今年度2カ所目の青少年プラザを建設することが決定したので、それに向けて取り組んでいる。建設までには数年あるが、建設にあたり、中高生の意見を積極的に取り入れるために、昨日もワークショップを開催したところである。
<質疑応答>
(問)年間の委託料は。また、財源は。
(答)約7,000万円で、自主財源となっている。
(問)10年前に開設されているが、当時、モデルとした施設はあるのか。
(答)参考にした施設はあったとは聞いている。当時、先駆けとして、杉並区にある「ゆう杉並(児童青少年センター)」が開設されていたので、参考にしていたと思う。
(問)開設後10年が経過している。開設当時に中高生だった方が、ボランティアとして活動することはあるのか。
(答)b-labの特徴として、b-labを卒業した子どもは、1年間b-labと関われない仕組としている。b-labで新しい友達、新しいコミュニティを作る練習をしてきたのちに大学生になったとすると、初めは不安になり、b-labに戻って来たくなる。そうなれば新生活の良いスタートを切ることができなくなるかもしれないということで、あえて1年間は連絡を取れないようにしている。そのため、b-labへの思いが強い子どもがその1年後にボランティアとして関わっている。今期のフロアーキャスト15人のうち1人が、b-labを卒業した子どもである。
(問)登校せずにb-labに来ている子どもがいる場合、学校と連携しているとのことだが、学校に行くようにと促すこともあるのか。
(答)そのような促しはしていない。午前9時からb-labを開館している理由が、区の意向として、学校になじめない子どもにも居場所を提供するということにあるので、こちらから学校の話題を出すようなことはしていない。
学校への対応として、中学生に関しては、場合により学校に確認して学校の意向を聞いている。学校としても、子どもの居場所があるならばありがたいというケースが多く、無理に登校させるよう言われることは、ほぼない。
(問)b-labは不登校施設と学校の中間にあると考えればよいのか。
(答)併設している教育センター3階に不登校の子どもが通う場所もあるので、そこに通う子どもが後にb-labを利用することもあれば、午前中の滞在時間がb-labのほうが多い子どももいる。彼らが一番居心地の良い場所を選べる場所が、学校も含めて3箇所はある。
(問)学校への連絡後、保護者にも連絡されるのか。
(答)していない。利用者は保護者に伝えてきていることが多く、これまで揉めたこともない。
(問)障がい者の利用状況は。
(答)割合としては非常に少ない。来館してもらえば過ごしやすい配慮はしているが、結果、障がいのある子どもが定着しているということにはなっていない。彼らには違う放課後があるのだと思う。
また、いわゆる発達特性のある子どもも利用できるように配慮しており、ここ数年で利用者が増加している。彼らが、b-labという空間で、特別扱いされ過ぎずに、どのように彼らのスキルを高めていくのかというところが、関わり方の課題としてある。
さらに、特別支援学校には通っていないが状況面に課題のある子どもも利用している。そのような場合は、スタッフに特別な資格があるわけではないので教育センターと連携し、関わり方の助言をもらったりすることがある。
(問)区立中学校で出張授業をしているとのことだが、どのような内容なのか。
(答)キャリア教育に近い内容を、授業時間2コマ分実施している。具体的には、少人数で対話できるよう5人1組の生徒のグループを作り、大人がこれまでの自分の人生の歩みなどを伝えたのち、子どもたちに、夢や進路、悩みなどを聞きながら授業を実施している。大人が何か困難があった場合の乗り越え方法など実体験として話をして、生徒は気づきを得るという感じの授業となっている。
(問)出張授業で生徒の悩みがわかった場合、学校と関わりを持っているのか。
(答)学校に報告し、出張授業後の対応は学校に任せている。2~3時間では、なかなかわからない。
(問)職員やボランティアの育成方法は。
(答)ボランティアに関しては、毎回の活動後に約10~15分の振り返りを行い、実際の活動方法(子どもとの関わり方)や反省点をOJTとして実施しており、実際に育っていっている。また、職員に関しても研修を行いつつ、週1回の常勤職員の運営会議で、利用者情報の共有と振り返りを行うことにより、職員のレベルが上がってきている。
(問)施設使用料が必要となる一般の利用者はどのくらいいるのか。
(答)ほとんどいない。
(問)中高生の利用者数が年々増えている。これから夏休みに入り、もっと増えると思うが、入館制限を設ける予定はあるのか。
(答)現在のところ考えていない。教育センターとも協議しているが、現施設では、子どもたちの談話スペースも作れない状況である。このような課題もあり、2つ目の施設を整備することになった。友達に紹介されて利用を開始する子どもが多く、また、その子どもが新しい友達に紹介するという流れになっており、利用者は増えていくと考える。
(問)ギターの弦はよく切れるが、その費用負担は誰がしているのか。
(答)業務委託料で賄っている。
(問)漫画やボードゲーム等の購入を決める方法は。
(答)日常的に使用する備品の希望は言える仕組みになっているが、100%希望に添えるかといえば、1人だけが欲しい場合もあるため、スタッフが他の子どもに聞いたり、広い視点で見ることのできるスタッフと一緒に検討したりして、購入することが相応しいのかどうかを判断して決定している。
(問)子どもにプレゼンをしてもらって決定することはないのか。
(答)備品に関しては行っていない。例えば、ドリンクバーやメークスペースを作って欲しいなどの内容は、all b-lab作戦カイギで議論する。メークスペースに関しては、鏡とコテが欲しいという内容だが、そのスペースを設置することで、施設の雰囲気が変わり、全体への影響がありそうだと判断している。そのような場合は、なるべく多くの子どもと話しながら決定していくようにしている。
(問)子どもたちが話し合う時はスタッフも入り、コントロールしているのか。
(答)している。子どもたちだけで話し合って決定することはない。スタッフも子どもたちと同じb-labに関係する人として話し合っている。
(問)子どもの言ったことが実現することも大事だが、好きなことをし過ぎて、施設として違う方向に向かっても困ると思うが、いかがか。
(答)そのとおり。b-labという空間は、来館したときに知り合いはいるが、知り合いではない多くの人がいる空間でもある。そもそも他者と共存するという発想を持っている子どもが利用していると感じている。日常的にb-labで過ごす中で、そのようなスキルが身に付いていると思う。
(問)文教区では、無料で遊べるところはあるのか。
(答)学校の校庭開放がある。
なお、b-lab利用者には年2回アンケートを実施しており、利用目的としては、卓球台やスタジオがあるからという結果や、ずっと勉強しているだけではなく、体を動かせる場所があるからという結果が出ている。
以 上
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