1.視察出張委員
委員長 杉 一 副委員長 鈴木久美子
委 員 竹村 和人 委 員 齊藤 真治
〃 大津留 求 〃 永松 敏彦
〃 土井 秀勝 〃 原 直輝
議 長 加藤 光博
2.視 察 先 静岡県静岡市・静岡県沼津市
3.実 施 日 令和8年4月30日(木曜日)~令和8年5月1日(金曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎4月30日 13:30~ 静岡県静岡市
<議会運営・議会改革の取組について>
初めに、静岡市議会事務局議事・調査法制課長より歓迎のあいさつを受けた後、杉委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、静岡市議会事務局の担当者から説明を受け、質疑応答がなされた。最後に、鈴木副委員長よりお礼のあいさつがなされた後、議場見学を実施した。
<説明の概要>
1.議会運営について
1) 議会運営委員会の会議録を公開している理由
平成15年の静岡市・清水市の合併以降、開かれた議会・透明性の高い議会を実現するため、市民に対する説明責任を果たすべき重要な取組として可能な限り会議の経過を公開すべきと考え、議会運営委員会を含む全ての委員会の記録を公開している。
2) 委員会以外の会議録を公開している理由
議案説明会、市議会協議会、常任正副委員長会議は、協議または調整を行うための場として市議会会議規則に位置付けているとともに、協議又は調整を行うための場の運営等に関する規約において、その運営やその他必要な事項を定めている。協議または調整を行うための場も、開かれた議会を実現するため記録を公開している。
3) 委員長報告・質疑・討論・表決の日程とその理由
静岡市議会では、予算及び決算を所管常任委員会に分割付託しており、全ての常任委員会の審査結果が出そろわなければ表決ができないため、全委員会の委員長報告を受けた後、一括して質疑・討論・表決を行う運用としている。
なお、表決に当たり、各議員(会派)の表決態度が同一のものは一括して表決することを例としている。
4) 委員会での討論を簡易的に行っている理由
討論を簡易的に行っているという認識はない。委員会審査では、質疑、要望・意見、討論を明確に区別している。実態として、質疑や要望・意見が中心となり、賛成討論が行われることはほぼなく、反対討論については反対理由を明確に述べるという観点から行われている。
5) 代表・個人質問における総括質問の発言時間決定の仕組み
1定例会における各会派の持ち時間合計を600分として1次配分をし、基礎時間(15分)+5分×所属議員数の時間を各会派に割り当てたのち、総時間から1次配分を差し引いて生じた残時間を、4人以上の会派である交渉団体に、所属議員数に応じて加算配分する。ただし、所属議員が1人の会派は基礎時間のみとする。また、議員から持ち時間を延ばすことに関する議論はない。
6) 令和6年度及び令和7年度に12月臨時会を開催した理由
静岡市議会では、例年11月中旬から12月中旬までとする11月定例会を開催しているが、直近2か年の国の補正予算が12月上旬に閣議決定され、この国の補正予算を活用する市の補正予算議案の提出が11月定例会最終日に間に合わない状況があり、臨時会を開催した。
7) アリーナ・スタジアム整備調査特別委員会における議論の内容
令和7年4月30日に静岡市アリーナ基本計画が公表され、施設の規模・機能、民間活力を活用する事業手法、東静岡地区との一体的なまちづくりの方向性が明確化され、令和6年2月25日、整備・運営事業者としてNTTドコモを代表企業とする企業グループが正式に決定された。なお対象地は、JR東静岡駅北口の市有地である。
(1)アリーナ
1アリーナの概要
収容規模:約1万人
施設用途:スポーツ・音楽興行等の多目的アリーナ
総整備費:市負担約300億円+運営権対価約63億円=約363億円
供用開始目標:令和12年4月
2市当局への要望・意見
・アリーナ整備は巨額の投資を伴うことから、国の交付金及び国庫補助金の戦略的獲得と活用、交付税措置が有利な財政制度の選択等により、多角的な資金調達スキームを構築し、市の一般財源の負担を最大限に軽減すること。
・アリーナを核とした東静岡地区のまちづくりを推進するため、景観に配慮したエリアビジョンを構築し、ペデストリアンデッキの整備によって駅との動線を確保し、東静岡地区全体での回遊性向上を図るとともに、開業初期は交通需要マネジメントに強く介入して施策効果を評価・調整し、日常的なにぎわいと地域経済の活性化につなげること。
・市民から共感を得られる事業とするため、住民との対話を通じて交通渋滞、騒音・振動等の課題に真摯に対応し、分かりやすいKPI(重要業績評価指標)の公開等により事業の透明性を確保するとともに、寄附を通じた市民参画の機会創出、市民利用と地域貢献との両立に配慮し、市当局と市議会の情報共有を強化して推進すること。
(2)スタジアム
1現状
・清水駅東口再開発における中核施設として、多目的スタジアムを最有力案と位置づけ、今年度、実現可能性調査を実施する。
・静岡市は、ENEOS社の所有地のうち約7.9haを約41.5億円で取得する方針であり、かかる予算は、令和8年2月定例会で議決されており、静岡市は地権者として土地区画整理事業に参画し、再開発を主導できる立場に立った。
2市当局への要望・意見
・施設の整備・運営を核とする周辺まちづくりに係る財源の見通しや、公共施設としての役割等の観点を総合的に整理したうえで、整備スケジュールを早期に提示すること。
・民間投資をどの程度呼び込めるのかをはじめ、Jリーグスタジアム基準への適合状況、交通アクセスの利便性、ホスピタリティ環境の充実度といった観点を総合的に整理し、市民に分かりやすく提示すること。
・寄附やネーミングライツ等を活用した資金調達方法について、先行事例の検証を含めて整理すること。
(3)アリーナ及びスタジアム共通事項
市当局への要望・意見
・両事業については、住民との対話を通じて交通渋滞、騒音・振動等の懸念に真摯に対応し、市民への情報発信を徹底すること。
8) 市長を初め市当局の市議会への説明に対する市議会の意見・要望
令和7年12月16日、各会派の意見を集約し、議長から市長に対し、市民に大きく関わる事柄や条例の制定改廃等について、可能な範囲で丁寧な情報提供を行うよう申入れを行った。
2.議会改革の取組について
1) これまでの取組
政務活動費に関する支払証拠書類の市ホームページへの公開、本会議のインターネット中継、議員提案条例の制定、議場見学用パンフレットの作成、市議会だよりのリニューアル、市政モニター調査などを実施している。
2) 令和7年度における静岡市議会の活動
議会活動報告は平成28年度版から発行している。
(1)高校生との意見交換会
平成29年度に開始し、令和7年度は9年目の実施となった。高校生には、議員と直接話すことで市政や身の回りの関心事について自ら考えるきっかけとしてもらい、 議員には、若者の声を聴く機会を持ってもらうことを目的としている。
意見交換会では、事前に選定したテーマについて、議員と高校生でディスカッションを行っている。実施後のアンケートでは、参加した議員・生徒双方から好意的な意見が多数出されている。参加した生徒からは、今まで知らなかった議員の仕事や、市民のために行われている政策が多くあることを知ることができた、議員は、自分とは遠い存在だと思っていたが、意見交換会に参加して、自分たちの意見を取り入れようとしているのが伝わってきたといった声もいただいている。
(2)市議会だより
基本的に年4回の定例会に合わせて発行し、自治会が全戸配布している。令和5年度にリニューアルし、まずは手に取って読んでいただけるように、表紙写真の工夫や読みやすいレイアウトを意識するなど読み手の立場に立った紙面作りを目指している。リニューアル後のアンケートでは、親しみやすく読みやすくなった、以前よりも内容に目を通すようになったとの意見が出されている。
また、目の不自由な方向けに点字版と音声版も作成し、希望者に貸出しを行っている。
(3)市議会公式X
令和6年度に開設し、新たな取組として、「リアル静岡市議会議員、見てみる?」という企画において、リレー形式で議員紹介を行い、市民に議員をより身近に感じていただくとともに市議会に興味を持っていただけるよう情報発信に取り組んだ。議員も楽しみながら参加し、静岡市の好きなところや食べ物、風景の写真を持ち寄って投稿した。
(4)こども模擬議会
市内の小学6年生を対象とした事業である。議場で、児童が市議会議員と市長、市職員役に分かれ、実際の本会議での質問をもとに作成したシナリオを用いて、本会議を体験する。当日は、地元の議員が話をするなど、子どもたちに市議会への関心を高めてもらう貴重な機会となっている。
(5)その他
本会議のインターネット中継、議会開催告知ポスターの作成、市民を対象にした議場見学等の広報活動を実施している。
1) 令和7年度における静岡市議会の活動(総括質問特別編)
議員が市議会で行った質問が、現在どのような状況にあるのかを確認するツールとして活用でき、市民も議会や市政の動き、対応状況を確認できる。
2) 課題と今後の取組内容
静岡市議会では、インターネット中継や会議録の公開、市議会だよりの充実などを通じて議会活動の見える化を進めている一方、情報を発信するだけではなく、その情報が市民とりわけ若年層を含めた幅広い世代にどこまで届いているのか、また、議会に関心を持ってもらうきっかけ作りは十分なのかどうかが課題であると認識している。こうした課題を踏まえ、令和7年度は新たな試みとして、市議会公式Xにおいて議員紹介の企画を行った。議員の人となりを発信することで、市民に議会をより身近に感じてもらい議会への関心につなげることを狙いとした取組となる。
令和8年度も広報の工夫を重ねながら、特に若年層に興味を持ってもらえるような情報発信に取り組み、市民に開かれた議会の実現に向けて議会改革を進めていきたい。
<質疑応答>
(問)非公開の会議は一切ないのか。
(答)各会派代表者の会議は任意の会議であるため公開していない。
(問)各会派代表者の会議を非公開にしていることは、市民に公開していこうという考え方に反すると思うが、そのことについて議論はされたのか。
(答)各会派代表者の会議は議会内部の調整事項を調整する任意の会議として位置付けているため、公開するという議論はない。一方、議会運営委員会は、議会運営に関することは市民等に向けた発信も必要ということから、公開の場で議論して決定していく。代表者会議は方向性だけを決めており、最終的には議会運営委員会で議論して決定している。
(問)代表者会議で決定された内容を議会運営委員会で正式決定するということになると、事前打合せはすべて代表者会議で行われているのか。
(答)代表者会議では方向性を決めている。議会運営委員は代表者会議の構成員ではないので、改めて議会運営委員会で決定する。
(問)議会運営委員会では代表者会議で決まった方向性から大きく逸脱するような内容が決定されることはないという前提で、議会運営委員会が開催され、議事録を公開しているということか。
(答)一部の会派から代表者会議の結果に納得できないという場合もあり、議会運営委員会で意見が出されることはある。ただ現在のところ、大方の賛同は代表者会議で得られているため賛否を問うことはない。
(問)代表者会議で意見が分かれたまま会議を終了させることはあるのか。
(答)最終的には、議長が大方の意見ということで取りまとめて一定の結論は出されるが、少数意見がくすぶったままということはある。
(問)議会運営について、会派代表者が集まる場と議会運営委員会の2回開催しているのか。
(答)実態としてそのようになっており、一部の会派からは議会運営委員会が追認の場になっているといった指摘を受けている。
(問)議会運営委員会で意見が分かれることはあるのか。そうであるならば、どのようなことで意見が分かれるのか。
(答)代表質問を導入する際に、その方法として、大会派から質問し、他会派は、大会派の質問内容以外を質問するようになるため、代表者会議、議会運営委員会ともに揉めた。
(問)議会改革委員会のような委員会を設置して議論することはなく、議会運営委員会で議論されているのか。
(答)そのとおり。
(問)1人会派を認めている理由は。
(答)会派に政務活動費を支給しているため、政務活動費を受給するためには会派を組まなければいけない。
(問)総括質問の発言時間配分に答弁時間は含まれていないのか。
(答)答弁時間は明確に決まっていない。当局には市民にとって分かりやすい説明という考えがあり、事業の経緯から答弁するなど答弁時間が長くなってきている。
(問)発言時間以外に、交渉会派と非交渉会派に付与されている権利の違いは。
(答)市長就任直後や当初予算に関する総括質疑については、発言時間以外に交渉会派には50分の代表質問が与えられるほか、4人以上の会派は、議会運営委員を選出できる。また、代表者会議において、4人未満の会派の議員も意見を述べることはできるが、物事の方向性を決定するための協議には参加できない。
(問)委員会で賛成討論がほぼ行われず、また、反対討論は要点だけにされると、市民はどういった基準で賛成しているのか分からないと思うが、市民からの問合せ等はないのか。どういった理由で賛成されているのかを市民が知りたいとなった場合、議員に直接訪ねるしかないのか。
(答)そのとおり。議員は、基本的に市長の事業を応援する立場であるため、要望・意見が中心になっている。
(問)委員会での質疑の中に意見・要望があるのか、質疑終結後に意見・要望があるのか。
(答)質疑終結後に要望・意見を述べることができる。
(問)議案を分割付託されている理由は。
(答)当初予算及び決算のみを審査する委員会を設置していない中、各常任委員会に分割付託した審査のほうが効率的な審査ができるためである。
(問)定例会の会期延長を選ばずに12月臨時会を開会した理由は。
(答)慣例で会期延長により延長できる日程が2、3日と長くない中、当局からは、その日程での補正予算案提出は困難との申し出があった。
(問)市長による議会への説明について、市長に申入れをした理由は。
(答)清水庁舎の整備方針案について、令和7年11月4日に市民向け説明会、11月11日に報道機関向け説明会を実施したのち、11月26日に市議会協議会で説明があり、重要事案の議会への情報提供が遅く、市民からの問合せに答えられないということから、議長から市長に申入れを行った。
(問)高校生との意見交換会を行う高校の選定方法は。
(答)市内の全ての高校に案内し、高校から申し込んでいただく。
(問)高校生との意見交換会の実施方法は。事前に顔合わせなどを行うのか。
(答)事前に顔合わせを行うことはなく、当日、各校20~30名程度を3グループに分けて、1グループに議員が2名ずつ入り、議員が進行役となって順番に高校生の意見を聞く。1回につき2時間程度の実施となっており、放課後や夏休み等を指定する高校が多い。
(問)生徒の参加方法としては、自主的に手を挙げるのか、学校から言われて参加するのか。
(答)高校によって様々な手法をとられている。
(問)答えのあるテーマではないと思うが、取扱い方法は。
(答)高校生に意見を述べていただく場で、何か結果につなげるということはしていない。
(問)高校生との意見交換会への議員の参加状況は。
(答)各会派に人数の割り振りを行い、1回の意見交換会に6名の議員が参加するようにしている。
(問)市議会だよりは自治会の全戸配布とのことだが、自治会員ではない市民には、議会だよりが届かないのか。
(答)そのとおり。なお公共施設には配架しているため、自治会員でなく紙の市議会だよりが欲しい市民は公共施設に取りに行く。
(問)点字版と音声版の市議会だよりを作成しているが、どのように作成しているのか。
(答)音声版については、ボランティアグループに依頼し、年間24,000円で吹込みをしている。点字版については、業者に、経費は33万5,000円で依頼している。
(問)点字版及び音声版の周知方法は。
(答)市議会だよりや市ホームページに掲載している。
(問)市議会公式Xは、事務局が運営しているのか。
(答)そのとおり。週2、3回を目安に発信している。
(問)こども模擬議会は、議員役、答弁者役すべてを小学生が担うのか。参加者数は。
(答)セリフのある子どもが22人。参加者数が多い場合、登壇する機会のない子どももいるが、議場には入ってもらい、最後に感想を述べてもらっている。
(問)こども模擬議会は事務局主体で行っているのか。
(答)そのとおり。市内小学校に案内し、申込みをしていただく。なお、議員には、開催予定小学校を周知するため、見学に来られる場合もある。議員に役割があるわけではない。
(問)議会として市民への議会報告会を定期的に行っていないのか。
(答)していない。
(問)本会議インターネット中継のアクセス件数や傍聴者数が多く、議会への関心が大きいように思えるが、市民から交流の場を求められることはないのか。
(答)ない。
<視察の様子>
◎5月1日 9:30~ 静岡県沼津市
<議会運営・議会改革の取組について>
初めに、沼津市議会議長より歓迎のあいさつを受けた後、杉委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、沼津市議会事務局主幹及び主査から説明を受け、質疑応答がなされた。最後に、鈴木副委員長よりお礼のあいさつがなされたのち、議場見学を実施した。
<説明の概要>
1.議会運営について
1) 議会運営委員会
議会運営委員会は、1定例会ごとに3回開催する。内容としては、告示日に、当局提出議案の概要説明、会期、開会日の議事運営、一般質問通告締切日の翌日に、一般質問通告書の内容確認、本会議最終日の前日に、最終日の議事運営の協議を行う。この他、追加議案、発言取消しの対応、議長からの諮問事項(議会改革の協議等)などにより追加で開催されることもある。
また、議会運営委員会は協議調整の場であり、公開にはなじまないとの意見もあるが、沼津市議会では委員会の傍聴を認めている以上、常任委員会と同様に会議録を公開している。併せて、昨年6月からYouTubeでの録画配信を開始している。一方、会派間で互いに譲歩が求められる案件については、別途、非公開である代表者会等で事前に協議をした上で、議会運営委員会に諮っている。
2) 一般質問
当局と議員との事前調整の内容については、一般的には、質問に対する担当を明確にし、その事業の進捗状況や課題などを確認した上で、議員からの提案内容の実現可能性がどのくらいあるのかを調整していると聞いている。なお、事務局では、通告書を受け付ける際、通告書式に沿っているか、質問内容が市の一般事務に該当するか、誤字脱字、正式な事業名・施設名になっているかなどを確認し、その日の内に正副議長面談を経て、通告書一覧を配付している。
3) 会期
昨年の11月定例会の会期については、開会後、議案研究の日程を設けた後、3日間程度の一般質問、議案質疑・委員会付託、委員会審査となった。議案研究として約5日間設けている理由は大きく2つあり、1つ目は、議案書は開会1週間前の告示日に配付されることから、議案を研究するためである。この議案研究期間を活用し、委員会審査資料の作成や現地確認などを行い、委員会審査に臨んでいる。2つ目は、一般質問の答弁書作成の期間に充てるためである。始めの3日間は副市長以下の答弁書作成検討会において、その後1日は市長検討会において、市長答弁の調整を行っている。また、一般質問は、週をまたがない連続した3日間というルールがあり、スケジュールにもよるが、議案研究は5日程度設けている。
4) 本会議最終日の議事の流れ
沼津市議会では付託案件を一括議題として、委員会審査をした各常任委員会の委員長から順次、委員長報告を行い、その後、委員長報告に対する質疑・討論の通告をまとめて受けるため、本会議を休憩している。本会議再開後は、議題番号順に数件ずつ分けて委員長報告に対する質疑・討論・表決を行っている。このような議事の流れとなるのは、事前に質疑・討論の有無を確認しておらず、委員長報告が、審査時間に比例して、かなり長文になる傾向にあるためである。最終日前日に行われる議会運営委員会の前に、委員長報告案を提示するには日程的にかなり厳しいため、本会議最終日の委員長報告後、都度休憩を取る議事としている。
5) 委員会審査
沼津市議会では、開会、諸般の報告(欠席等の連絡)の後、当局から議案の説明を行っている。告示日に、全員協議会を開催し、全議員に議案の詳細な説明を行う市議会もあると聞くが、沼津市議会では実施していない。議会運営委員会や本会議においても議案の説明は行っているが、委員会では、より詳細な議案の説明を行っている。その後、討論・表決を行っている。
2.議会改革の取組について
1) 会議録作成・検索システム及び本会議映像配信システム
平成18年11月定例会から、会議録の作成までを自動化する会議録作成システムと会議記録検索システムを統合したシステムの運用を開始している。従来、インターネットでの会議記録の公開は本会議のみとしていたが、令和3年6月から、議会運営委員会及び常任委員会も公開している。また、平成20年11月定例会から映像配信システムを導入し、本会議生中継及び録画中継をインターネットで配信している。加えて、平成30年9月から、マルチデバイス対応の本会議映像配信システムを採用し、スマートフォンやタブレット端末での視聴も可能となった。この他、ICTの活用による議会・議員活動の充実や効率化を図るため、平成29年3月に議会活性化等特別委員会を設置し、令和元年4月にタブレット端末を導入した。
2) 課題と今後の取組
近年様々な改革に取り組んでおり、一般質問の発言時間、委員会の再編、議会報告会など、議会全体というよりは各会派での取組となっているが、今後も引き続き協議していきたい。今年度実現できるかどうかは分からないが、1つ目に、政治倫理条例については第三者を入れた審査会を設けた条例の設置を目指している。2つ目に、委員長報告がかなり長文化しているため、なるべく簡略化したい。3つ目に、本会議時間について、傍聴者から休憩・再開が多すぎるとの意見があること、また、臨時会で様々なことを決める際、事前にその都度、議会運営委員会を開いて、了承を得て本会議に臨むというスタイルを崩していないため、簡略化できればスムーズに本会議を進められるのではないかと考えている。4つ目に、昨年度、議員が車椅子を使用した際、スロープをその都度持って移動しなければならず、また、大型モニターの設置できていないので、議会棟を改修したいと考えている。
3.請願・陳情のオンライン提出について
1) オンライン化・デジタル化する手続等の選定
令和6年4月1日の地方自治法の一部改正により、オンライン化・デジタル化が可能となった手続は、請願・陳情、地方自治法第99条に基づく意見書、議員提出議案等の提出、会議録の作成及び保管、その他議会に通知する文書、議会から通知する文書である。この改正を受け、沼津市議会では、標準の会議規則・委員会条例に倣い、令和6年9月定例会に改正案を上程し、10月に改正と新規制定を行った。
市民の利便性を考慮し、直接市民に影響のある請願・陳情の提出を最優先に取り組むこととし、令和7年1月、請願・陳情のオンライン提出の運用を開始した。
2) 請願・陳情の提出
従来、陳情は郵送受付もしていたが、請願は紹介議員立ち会いの下、議長へ手渡しすることとなっていた。また、請願・陳情のいずれも記名押印または署名することとなっており、電子署名は認められていなかった。令和7年1月からオンライン提出とする運用を開始したことで議長へ直接手渡しする必要がなく、電子署名に変えることができたため、市民の利便性が向上するとともに請願に対するハードルが下がり、これまで以上に多様な民意を市政に反映することができるようになると考えている。加えて、議長との面会スケジュールの調整が不要になるなど、議会においても業務効率化が図られるようになると認識している。
3) オンライン化の方法の検討
請願・陳情のオンライン化の条件として電子署名が必要であること、また、デジタル庁の「ぴったりサービス」に請願書の提出・陳情書の提出を追加する改修が完了していたことから、オンライン提出に「ぴったりサービス」を活用することにした。「ぴったりサービス」は政府が主体となって運営しているマイナポータルのサービスの一つであり、インターネット経由で市民が行政手続きできるもので、マイナンバーカードを利用するため厳格な本人確認が可能となっている。なお、沼津市では、市全体の電子申請のシステムとして「ぴったりサービス」を既に利用しており、パスポートの申請など様々な申請で活用されている。
4) 団体(法人)におけるオンライン提出
団体が請願を提出する場合、団体の代表者として署名または記名押印する必要があるが、「ぴったりサービス」はマイナンバーカードを利用した個人向けのサービスであるため、団体では利用することができない。そこで、沼津市議会では、既に職員用として導入されていた電子申請サービスである「LoGoフォーム」に搭載されている法人認証(商業登記電子認証)を利用することにした。「LoGoフォーム」は、株式会社トラストバンクが提供する行政手続や申込受付等を効率的にデジタル化できるLGWAN対応の電子申請サービスで、令和8年1月時点、全国約870の自治体、関係団体で導入されている。法人認証とは、法人の代表者を証明し、印鑑証明書提出の代わりとして利用するものであり、法務局において発行される会社、法人の代表者等に関する電子申請書(商業登記電子証明書)を用いて、申請データに電子署名することにより、行政手続のオンライン申請を実施することができる。ただし、これを利用できるのは、法人として登記されている団体に限るため、それ以外の自主グループや団体は利用することができない。
請願の場合、これまで認めていなかった郵送での提出を認めることとし、そのような団体で持参することができない場合は対応できるようにした。
5) オンライン提出開始までの事務の流れ
地方公共団体情報システム機構への届出、また協定書の締結が必要となる。次に、「ぴったりサービス」、「LoGoフォーム」で申請登録・帳票登録を行う。その後、議会運営委員会にて運用方法を検討し、請願書、陳情書の提出時期を本会議の7日前から10日前へと変更した。最後に、請願書、陳情書の処理の流れを整理し、ホームページを更新した後、運用を開始した。
6) その他議会手続等のオンライン化の具体的方法
必要な対応は2点となる。1つ目は例規改正であり、沼津市議会では、全国市議会議長会から示された標準の例規を参考に、会議規則、委員会条例を改正した。加えて、会議規則、委員会条例、それぞれに係る情報通信技術の活用に関する規定を新規制定した。これらの改正等を実施することで、請願・陳情以外の手続きも対応できるようになった。また、2つ目はオンライン化の方法の検討であり、法や条例等では、議会側と通知の相手側を結ぶネットワークを使うこととしか規定されておらず、具体的な方法は各議会で決定することとなっている。
4.ハラスメント防止条例について
1) 条例制定までの経緯
令和6年5月に、議員による事務局職員へのパワハラを疑われる行為が発生した。沼津市はハラスメント防止要綱にて職員間のハラスメント防止について定めていたが、議員はその対象でないこともあり、議員によるハラスメント防止条例制定の議論が起こり、同年6月の議会運営委員会において議長発議により、議員のハラスメント防止条例制定に向けて協議していくことが確認された。7月には正副議長と議会運営委員会の正副委員長が先進市を視察し、会派代表者の会で、今後、議長の下で条例案を作成して協議していくことが確認された後、副議長が主体となって条例案の作成を開始した。約1か月半の期間を経て、8月の会派代表者の会で条例案を提示し、9月には議長招集による議員全体会議で素案の説明と意見聴取を行った。10月4日には各議員から寄せられた意見について会派代表者に報告し、修正案の検討を開始、10月11日に修正案を提示し、各会派に持ち帰り、意見募集の期間を設けた。11月22日には最終案を提示し、11月定例会で発議することで了承され、12月の条例制定となった。
沼津市議会では議長指示の下、スピード感を持って条例制定に当たるため、特別委員会を設置することなく会派代表者の会で合意形成を図り、条例制定に至った。
2) 条例の主な内容
目的は議員による職員に対するハラスメントの未然防止であり、対象となるハラスメントは、パワハラ、セクハラ、マタハラ、その他のハラスメントとなる。また、ハラスメント防止及び根絶のため、議員に必要な研修を実施することとしている。相談窓口を議会事務局に設置し、担当職員を配置、相談があった場合は、担当職員から議長へ報告することとなっている。事実関係の調査は副議長及び副議長が選出する議員1名以上により行い、対応措置として、1つ目に、議長、副議長、会派代表者を構成員とする再発防止措置検討会を設置し、調査結果に基づき取るべき措置を検討することとし、2つ目に、ハラスメントが認定され、さらに重大事案と判断された場合は、外部の有識者に調査結果、再発防止措置等について意見を聴かなければならないことを定めている。また、ハラスメントと認定され、特に重大事案であった場合、氏名を公表するとともに、ハラスメント防止に係る必要な措置を講ずるとしている。
3) ハラスメント対応のフローチャート
相談窓口となっている議会事務局から職員1名を担当とし、相談内容の聞き取りを行い、次長、局長まで情報を共有、相談担当職員は聞き取り内容をまとめ、議長に報告する。次に、事実関係の調査は副議長が主となり、相談者、行為者、関係する第三者へ聞き取り調査を行う。この時、副議長は議員1名以上を指名し2人以上で対応することとなっている。なお、調査はあくまで事実関係の調査であり、ハラスメントの判断はしない。事実関係の調査終了後、正副議長と各会派代表者等を構成員とした再発防止措置検討会を設置し、当該事案がハラスメントであり、重大事案と判断された場合は、必ず有識者へ意見聴取し、その後の措置について検討を行う。場合によっては懲罰特別委員会を設置することを想定している。再発防止措置を決定した後は、相談者、行為者、関係者へ報告する。また、ハラスメントの事実認定までの間に、有識者の意見聴取が入っていないが、ハラスメントの認定は専門的な知識を有することから、市の顧問弁護士への相談等を通じて認定することを想定している。
4) 職員アンケートの実施
ハラスメント防止条例を令和6年12月に制定し、翌年3月24日から31日まで、全職員約2,000人を対象にアンケート調査を実施した。回答者数は約30%の583人で内、条例施行後に議員と接する機会があった職員は128人だった。
アンケート結果については、「条例施行後、議員の対応等は改善されたか?」の問いに対し、「改善した」が7.0%、「改善していない」が10.9%となった。「改善した」と回答した職員がいたことから、条例施行には一定の意味があったものと認識している。今後はハラスメント防止条例の研修等を通じて、議員のハラスメントに対する知識を深め、さらなる意識向上を目指す。次に、「条例施行後、ハラスメントと思われることがあったか?」の問いに対し、「あった」が5.5%となった。そのハラスメントの種類については、パワハラ、セクハラ、マタハラ、その他で回答を求めたところ、セクハラとマタハラの回答はなく、主にパワハラであったことが確認された。また、当該アンケートの際、ハラスメントの相談、窓口についての案内を職員にしていたが、現在まで相談の実績はない。
<質疑応答>
(問)一般質問について、連続した3日間で週をまたがないというルールを設けている理由は。また、苦労や工夫している点は。
(答)傍聴者から、なるべく同じ会派の議員を傍聴したいという要望や、また、議会運営は何が起きるか分からないため、週をまたぐと日程を組みづらく、議員からも連続しないとつながりがよくないという意見があったためである。その他にも、例えば、委員長報告のため委員会審査からある程度の休会日を設けることや卒業式の日程を考慮するなど様々なルールがある。
(問)傍聴者にとって都合が良いようにとのことだが、一般質問の順番はどのように決めているのか。
(答)申合せ事項により、3人以上の会派については、くじ引きで順番を決め、その次の定例会からは、例えば、1番目になった会派は最後に回るというような順番にしている。2月定例会は代表質問のみのため、一番大きい会派から順に質問する申合せになっている。
(問)質問内容は重なっても問題ないか。
(答)会派によって対応は異なるが、同じような答弁でも構わないという場合、代表質問については答弁を割愛することもある。
(問)一般質問の通告日が開会日の翌日正午と早いが、当局から対応しやすいという声は上がっているか。
(答)通告だけ行い原稿は当局と調整をしながら提出する議員がおり、その場合、当局は答弁書作成検討会までに答弁書を仕上げることが難しかったことから、当局より要望された結果である。議会改革の一環として通告日を早くすることについて協議したが、結局は議員側の意識の問題となり、通告日は変わっていない。
(問)答弁調整はいつまでに終わらせるのか。
(答)議会運営委員会で、答弁書作成検討会終了までとしている。
(問)議会運営員会を公開しているが、公開されない形で議会運営について協議する場は設けているのか。
(答)設けていない。議会運営委員会では議事の流れ等を確認している。議会運営については、会派によって考えも様々なので、代表者の会等で調整した上で、議会運営委員会で正式に決定している。
(問)本会議時間の短縮、質問時間を削る協議は行われているのか。
(答)ない。議会運営上、休憩、再開が頻繁に起こるため、それを簡略化できないかを検討している。
(問)本会議で休憩がよく入るというのはどういうことか。
(答)例えば本会議最終日では各議案を一括して取り扱うが、人事案件が複数提出された場合、それぞれ通告をするために頻繁に本会議の休憩と再開を繰り返していた。また、意見書など全議員からの提出があれば討論、通告を省略し、採決に入るが、そうではない場合、通告の時間を設ける必要があり、議案ごとに休憩を取る必要等があり、いつも終了時間が20時となってしまう。丁寧に進めているが、理解していただけない。議員からも指摘があったので、今後、改善していきたい。
(問)最終日の議会運営委員会で、討論の確認等を含めた議会運営について協議するのは難しいのか。
(答)委員長報告が委員会の審査時間に比例して長くなり、主な質疑以外にも意見を極力含めるようにしているため、どうしても完成が延びてしまう。
(問)委員長報告を簡略化すると、当然、質疑で漏れるものが出てくるが、その点に対する議論はあるのか。
(答)4常任委員会から3常任委員会に再編されたことで、各議員とも傍聴が可能となっている。また、昨年6月から、委員会審査をYouTubeで録画配信しているため、全ての方が確認できる。具体的な提案はこれからだが、質疑の部分は、会議録の作成をもって代え、当日出た意見について提示をすれば、議論は起こらないのではないかと考えている。議論が起こったとしても、委員会運営上、それが適切だったかどうかという範囲に抑えられるのではないかと考えている。
(問)請願・陳情のオンライン提出化に伴い件数は増えたのか。また、請願の場合、紹介議員はどのような動きになるのか。
(答)オンラインでの申請は1件あったが、特段数が増えたという感覚は持っていない。事務手続の流れは、電子申請で請願書が届くと、マイナポータルに通知があり、事務局のメールアドレスにも通知が来る。事務局職員がアクセスし、請願書の様式が出てくるが、紹介議員の署名はないので、連絡して押印いただく。その後、議長に提出する。
(問)マイナポータルを利用していない方は申請できないということか。
(答)そのとおり。
(問)ハラスメント防止条例制定の発端となったパワハラとはどのようなものだったのか。また、なぜこの事案で条例を制定することになったのか。
(答)大きな声で叱責するような行為があった。請願者は、告示日までに請願書を紹介議員とともに議長に提出することとなっているが、事務局職員が手続について紹介議員に説明していたにもかかわらず、請願者と紹介議員で調整が図られておらず、提出に際して請願者と紹介議員でトラブルが発生し、大きな声を上げる場面につながった。当時、静岡県内で請願のオンライン提出を実施している自治体がなく、一番に実施したいという思いから、ハラスメント防止条例とオンライン提出を並行して一気に進めた。
(問)職員アンケートについて、条例施行前の状況はどうだったのか。
(答)施行前の状況は確認していない。条例が抑止力になればよく、窓口があるということを周知したかった。
(問)議長・副議長が行為者になった場合はどうするのか。
(答)議長の場合は副議長が、副議長の場合は代わりの者を立てることとしている。
(問)副議長と議員1名以上で聞き取る場合の1名以上とは。
(答)女性が必要になる場合や、事案によっては1名以上の方が良い場合、副議長の判断で決定する。必ず2名以上で対応するという趣旨である。
(問)ハラスメント防止条例に前文を入れた理由は。
(答)参考にした条例に前文があったこと、また市議会としての意思を表明するという観点で、前文は外せないとなった。
(問)条例制定にあたり、当局の法務担当課に確認したのか。
(答)当局に文言等の確認を依頼した。指摘はあったが、市議会の意志を貫き、現在の形となった。
(問)これまで、議員定数28に満たないことはあったのか。
(答)8年前の市長選では現職議員3人が立候補して自動失職となり、定数を満たさなくなった。今回の市長選でも議員が立候補して自動失職となり、定数を満たさない状況となっている。
(問)選挙準備等で早めに辞職されることが多いと思うが、沼津市議会では自動失職がよくあるのか。
(答)今回、対象の議員は、直前まで悩まれて自動失職を選ばれた。定例会やその他会議も休むことなく出席されていた。
(問)選挙活動をしながら議員活動をすることについて、市民から意見はなかったのか。
(答)事務局にはなかったが、そうした考えの市民は一定数いると思っている。
<視察の様子>
以 上
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