冷酒やつつきたくなる向疵(大澤定男)
冷酒や蒼穹丸く猪口に浮かべ(田村宏幸)
片足をたてて座りし冷し酒(大野美波)
窓開けて満天の星冷酒澄み(竹之内稔)
ベランダで月夜と冷酒ビターチョコ(大野治子)
冷酒もぬくとうなりし三回忌(なやな)
ヒーローが敵に止めをさすやいなや胎動が胃にクリーンヒット(はっち)
荒波の言葉の海を渡り切る舟を編むあの粘り強さよ(小田虎賢)
ポップコーンたった一粒踏みし足余韻微塵もなき帰路をゆく(ウジアズキ)
暗き淵より掬ふ哀しみいたみもて光の束にCINEMA FLORA(菜々野栞子)
パラレルの映画の中にいるような僕を見ているボクの分身(睦月くらげ)
湖面には月の光が訥々と今の映画の続きみたいに(堺紀彦)