人権啓発活動の推進にあたっては、地区とその周辺との交流活動が盛んであることが不可欠の条件である。したがって、あらゆる機会をとらえて交流を促進し、その中から共同の活動を生み出すように援助し、住区(小学校区)や地区社会福祉協議会を単位とした活動を生涯学習体系と関連づけを持たせ、次のとおり進められたい。
部落差別、女性差別、心身障害者(児)差別、外国人差別など、人権問題の解決にあたり市民の人権尊重の啓発と教育が絶対肝要であることに鑑み、人権啓発専門委員会を設置して、人権啓発の最高会議として位置付け、関係機関の相互連携と機能の充実、啓発推進のための有効な方法を検討し実施する。
同和問題を含め、人権問題の解決を市民自らの課題として対処するよう指導・助言する。
教育委員会に啓発冊子編集委員会を設置し、人権問題に関係する広報資料を広く収集し、マスメディアを充実し、市民の啓発に効果あるよう創意工夫した広報誌を定期的に刊行し、市民全家庭に配布する。
市民が啓発資料を容易に閲覧できるようにするため、図書館・博物館・共同会館等に常設の展示場を設ける。
また、視聴覚資料(ビデオ)等を常備して、市民の利用をはかるとともに、閲覧利用者には担当関係者が十分解説にあたる。
人権尊重の標語・作文・ポスター等を定期的に公募し、その成果を市民に提供する。
標語・ポスター等は、市バスの中、銀行、デパート、駅等に掲示する。
また、市主催の行事や自治会活動、PTA活動等の機会をとらえて、啓発活動を積極的に行う。
従来の啓発リーダーの実践活動を再組織するとともに、伊丹市同和教育研究協議会の啓発のあり方を総点検し、生涯学習計画の中の一環として位置付け、協議会を市民組織の啓発の拠点とする。
また、役職期間中のみの活動にならないように留意する。
さらに、同協議会の啓発活動を一層充実させるため、啓発企画委員会の設置をはかることが望ましい。
同和問題の解決を市民的課題とするため、地区社会福祉協議会、自治会、PTA、婦人会、企業団体、宗教団体等、広く民間団体との連携・協力をはかる。
ことに、地区社会福祉協議会・自治会の協力を得て、啓発についての手段・方法の開発をはかる。
また、役職在任中のみの活動にならないよう指導する。
啓発については、同和教育指導員の活動に負うところが大きいので、責務の自覚と熱意を高揚させるための研修をはかる。
国または兵庫県の人権尊重強化期間と対応し、活動を強化する。
地区周辺住民が、地区住民との連帯感・一体感を強化するためには、同和問題に対する正しい認識と理解の徹底をはかることが不可欠である。このため、学校ならびに共同会館等地区内諸施設における行事や懇談会、学習会、文化祭等で相互の理解や交流を深める。
特に、青少年者層の接触をはかる。
共同会館を場とした諸事業等に、地区周辺住民が参加して交流できるよう指導・助言する。
同和教育は、人間形成における最重要な教育であり、衝にあたる教職員自らの人権意識の自覚と研さんが不可欠である。同時に、常に地区の実態を十分に配慮した研修体制が必要である。このため、教職員、ことに新任教職員に対し、徹底した同和研修を行うとともに、定期的合同学習会を実施する。
また、同和教育の実をあげるため、学年別・年齢別による教材内容の点検と系統化をはかり、啓発の研究と積極的実践に努める。
さらに、家庭教育との連携を含めた学校同和教育計画を樹立するとともに社会同和教育との一貫性を保つよう配慮する。
行政職員は施策の遂行に携わるとともに、啓発の主体者としての責務を負っている。したがって、日常の業務の中で常に人権感覚を磨くとともに、同和問題に対する基本的認識を深めるために基礎資料集(仮称)を作成し、同和対策事業の目的、内容、方法について十分理解するとともに部落差別の現在の姿を示す新しい情報を常に把握するよう研修内容と方法について検討を加える。また、それぞれの職場や職階に応じた研修を計画的に実施する。特に、新規採用者ならびに新任者に対しては徹底した研修を実施する。
同和問題の解決を市民的課題として啓発していくため、教育委員会による指導・助言の徹底をはかる。
同和教育を充実するため、教育研究所に同和教育研究の機関を設置し、研究にあたる。
公民館・図書館・博物館等の社会教育機関と連携し、同和教育の市民への啓発を強化する。
地区住民の生活の実態に応じた文化・スポーツ・生活技術等に関する諸活動を推進する。地区児童・学生の教育の機会均等を完全に保障するため、進路保障の条件整備の一環として、地域改善対策としての教育推進教員の継続と改善、教育奨励金制度・進路相談活動の存続と改善等をはかるとともに、大学進学の状況、高等学校中途退学者や無職青少年の増加などについての実態把握に努め、青少年の組織化など、その対策を検討する。
女性差別、心身障害者(児)差別、外国人差別等、広く人権問題についての施策も同和対策に準じて総合化をはかり充実する。
教育・啓発活動を時宜に対応して効果をあげるため、市民の同和問題に対する意識調査を5年間隔を基準として実施する。