市民が主体的にまちづくりに参画・協働するための現状と課題を考えてきました。そのなかで、必要な仕組みや制度が見えてきました。真の市民自治を実現するために、永年地域でつちかわれた地域コミュニティの良さを受け継ぎ、新たな時代に対応した新しい参画・協働の仕組みを提案します。
なお、各項目に関連する4~6章までの項目を付記しています。
関連項目(4-(1)-2,3)、(4-(2)-1)、(4-(3)-1)、参考資料2
参考資料2 わたしたちの提言(伊丹市まちづくり基本条例への市民提言)
多様な市民が情報交換や意見交換ができる「対話の場」を、地域のなかでつくることができれば、お互いの抱える問題を伝えたり、立場を理解することができます。例えば、八尾市の「まちづくりラウンドテーブル」のような個人の資格で自主的に参加し、立場や考え方の違う人が、自由に意見交換や情報交換を行うことができる場の設置を求めます。対話によって思いが共有できれば、協働活動や市民のネットワークが生まれます。また、場合によっては、その場に行政が参加することで市民と課題や情報を共有することができます。
関連項目(4-(3)-1)
「対話の場」で生まれた共通の課題について、継続的な議論の必要が生じた場合は、議論のための市民の組織(市民会議)をつくることになります。「市民会議」で熟議を行い、意見がまとまれば、市民ができることは協力して行います。行政は、ここでまとまった市民意見を政策や施策に積極的に反映して欲しいと思います。
関連項目(5-(2)-4)
行政計画の素案などを作成するときは、行政が「市民会議」の設置を呼びかけ、広く市民の意見を聞いて欲しいと思います。
関連項目(5-(1)-1)
行政の政策や施策の策定について、審議会等に市民が参加していますが、より多くの市民の意見を聞くために、計画立案段階から行政が情報提供を行い、意見を求めるという「市民意見公募制度(パブリックコメント制度)」の採用を提案します。
関連項目(5-(1)-2)
現在、行政の事務や事業について、行政内部で評価を試みられているようですが、まず市民にその評価結果を公表すべきだと考えます。加えて、市民の意見がこの評価の中に反映される仕組みを求めます。
関連項目(5-(1)-2)
多くの市民が政策や施策の策定などへ参画できるように、審議会等への市民参加が必要です。多様な市民の声が反映されるように各種団体代表の参加とともに、広く市民の声を聞くために公募委員枠の設定を求めます。
関連項目(4-(2)-2、5-(1)-3,5-(2)-1,4)
市民が主体的にまちづくりを進めていくために、公共性の高い市民活動に対する行政からの支援が必要な場合があります。情報提供は勿論ですが、場合によっては場所の提供や人的、財政的支援など、市民活動が積極的に行える支援制度を実施してほしいと思います。
関連項目(5-(2)-4)
現在、市が行なっている事業の中にも、市民と行政が協働で行うことができる事業があると思います。例えば、市民が「自分たちならこんなことができる」という具体的な内容を行政に申告し、登録することにより、多くの市民が行政と協働で事業を行うことができると思います。行政が市民を信頼し事業委託することにより、市民の新しい発想と柔軟な対応でより良いまちづくりが展開できると思います。
関連項目(5-(2)-3,6-(3)(4))
支所・分室や図書館等の公共施設など市民の身近なところに行政情報コーナーを設置し、市民が欲しいとき欲しい情報が入手できるような情報提供・公開窓口を設置して欲しいと思います。
関連項目(6-(1)(2)(4))
現在の情報公開の制度には、公文書公開制度がありますが、充分活用できているとはいえません。行政情報の公開にとどまらず、積極的に市民に公表していく制度が必要です。さらに、市民にとって、安心できて利用しやすく分かりやすい情報公開の制度の充実を求めます。
関連項目(4-(3)-2)
多様な市民グループが個々に活動していますが、それぞれの活動情報が共有されていないため、より広範な市民活動の展開が難しい状況です。ネットワーク化を図るための市民活動支援センターなどの活動情報窓口が必要です。市民グループの登録や人材バンクのような制度をつくることにより、主体的な市民活動の連携が図ることができ、より充実したものになると思います。
関連項目(5-(2)-2)
まちづくりに関する情報を共有する上で、その情報の内容を理解するためにも知識の習得や制度などを学ぶ機会が必要です。そのためには、少人数でも市民からの要請があれば、職員が出かけて行き、市民の質問に応えたり、情報提供をする「出前講座の制度」の創設や市民のニーズに応じた行政の講座を設けるなど、市民の主体性を高める学習の機会をつくって欲しいと思います。
関連項目(5-(3)-1,2,6-(3))
市役所には、市民のための総合案内所といわれるところがないため、市民が欲しい情報やサービスの提供をどこで受けることができるのか迷うことがよくあります。そこで、市民がそこに行けば、すべてがわかるような気軽に相談できる総合窓口の設置を求めます。
関連項目(4-(1)-1)
新しい参画と協働の仕組みの中で、市民と行政がまちづくりについて意見交換をする対話の場や市民会議での熟議を行なってもなお、重要な事柄で課題や解決方策についての共有ができないとき、また、行政的に重要な案件で、市民意見と行政意見が不整合をおこした場合などについても、参政権のない市民も含め、広く市民の意見を聞く最終的な手段として住民投票制度が必要です。