天空のポストにとまる蝶二頭(横溝 惺哉)
陽炎の中にポストの脱力感(小田 虎賢)
さみどりの蜘蛛が張り付く丸ポスト(井上 鈴野)
昭和のポストあれば写メ撮る風薫る(睦月くらげ)
ポストまで句を諳んじる夏の雲(益田 信行)
ポストまで駆けつこしよう風光る(小松 房子)
マトリョーシカの五番目ぐらいの面持ちで座っておりぬ午後の会議に(芍薬)
休日は疲れて眠る吾のそばにリカちゃんパパも寝かされている(菅澤 真央)
仰ぎ見るレントゲンには人形の楽隊のよな私の歯列(堺 紀彦)
時が鳴る時だけ時を生きているからくり時計の中の人形(小林 礼歩)
人形のような真珠のようなチーズケーキのようなきみとの握手(田中 大貴)
人形が静かにながむ春風のかほりに人は気づかずにゐる(渡邉 知博)