続いて、「主要施策2 学校教育」であります。
「確かな学力」の育成については、社会のあり方が劇的に変化する中にあって、学力向上に対する取組を単にこれまでの延長線上に位置づけるだけでなく、子どもたちの幸せのためによりよい方策を模索し続けることが重要です。さらなる学力向上のために、身近な生活と結びつく教材等を通して、教科の楽しさが伝わる授業や、子どもが学びの主体となる「主体的・対話的で深い学び」を実践してまいります。また、学習指導要領が求める資質・能力の向上を図るために、学習場面や発達段階に応じたICTの有効活用を促進してまいります。
誰一人取り残さないために、デジタル教材を活用し、習熟に応じた学習や個別最適な学びの充実を図ってまいります。また、専門性の高い授業を実現するために、義務教育9年間を見通し、小学校高学年における教科担任制の充実を図ってまいります。
新しい時代に対応した教育の推進については、児童生徒の情報活用能力の向上を図るために、活用事例の情報共有等、教員のICT活用力の向上に取り組み、特に、デジタル教材等の効果的な活用の研究を進めてまいります。
また、英語教育の充実においては、グローバル化が一層進展する中、言語や文化が異なる人々と主体的に関わることのできる資質の育成が必要です。専科教員等の資質向上研修や指導主事訪問による指導を行うとともに、児童生徒のコミュニケーション能力の向上を図るために、話すこと(スピーキング)の重視など、英語を実践的に使える場の充実に努めてまいります。
次に、「豊かな心」の育成については、12年ぶりに改訂された「生徒指導提要」の趣旨を踏まえ、子どもが本来持っている力を子ども自身が発見し、引き出せる教育活動の実現を図ってまいります。
いじめの対応においては、これまでの未然防止、早期発見、早期対応の充実に努めるとともに、昨年のいじめ防止フォーラムにおける小・中・高校生の声をもとに改訂した「いじめアンケート」を実施し、いじめ防止等対策審議会やいじめ防止フォーラム等を通じて、様々な側面から、いじめ防止に取り組んでまいります。
不登校児童生徒の対応においては、その原因・背景が多岐にわたることを踏まえ、学校が安全・安心な居場所となるための魅力ある学校づくりやわかりやすい授業に取り組んでまいります。また、オンラインの活用や民間施設との連携等を図ってまいります。さらに、教育支援センター「やまびこ」においては、ICTを活用した学習支援や体験活動等、カリキュラムの充実を図ってまいります。
「健やかな体」の育成については、新型コロナの影響による体力低下が懸念されます。体力や運動習慣は人間のあらゆる活動の基本となるものであり、子どもたちが体力の向上をはかり、生涯にわたって健康な生活を送ることができるよう、各校の実態に応じた体育授業の改善や休み時間の活用、家庭との連携による「運動の日常化」等に取り組んでまいります。
部活動の地域移行は、急激に少子化が進行する中、将来にわたり、子どもたちがスポーツ・文化芸術活動に親しむことができる機会を確保するためには避けて通れない改革です。持続可能な活動環境の整備に向けて、令和4年に取りまとめられた国の提言を踏まえ、「伊丹市中学校部活動の地域移行に関する協議会」において、関係団体との連携のもと、段階的に休日における部活動の地域移行を図ってまいります。
発達段階に応じた健全な食育の推進においては、生涯にわたって健全な食生活の実現のため、食事の重要性に関する知識を得たり、学校給食における残食の軽減を図ることを通して、食べ物を大切にしたりする取組をすすめてまいります。
市立伊丹高等学校の魅力向上については、目指すべき学校像であるスクールミッションに基づくグローバル人材を育成するため、ICTの活用や、自ら課題を見つける力を養う「探究活動」に取り組むとともに、兵庫県の「県立高等学校教育改革第三次実施計画」に基づき、普通科の改革に取り組んでまいります。
教育相談、支援体制の充実については、子どもたちの心理的・福祉的な支援のため、専門性のあるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの校内のケース会議への参加等、積極的な活用を図ってまいります。
総合教育センターにおける教育相談においては、心理面、発達面等の悩みを抱える幼児・児童・生徒及び保護者の心の安定を図るために、関係機関との連携・情報共有を強化するとともに、長期化・複雑化する相談に対応するための研修を実施してまいります。
特別支援教育の推進については、全国的に児童生徒が減少する中、特別な配慮を要する児童・生徒は大きく増えています。このような傾向は、伊丹市においても例外ではありません。令和4年4月文部科学省通知において、特別支援学級に在籍している児童生徒は、原則として週の授業時数の半分以上を目安として、特別支援学級において授業を受けることが示されました。国の方針を原則としつつ、インクルーシブ教育システムの理念に基づき、個別の指導計画を踏まえた指導・支援を行ってまいります。また、特別支援教育を取り巻く状況の変化等に対応して、ICTの活用を進めるとともに、「今後の特別支援教育のあり方」(基本方針)の見直しを図ってまいります。
教職員の資質向上については、社会のあり方そのものが、これまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わっており、その変化に対応していくために、教師自ら主体的に学び続けてまいります。自分自身の強みを伸ばすために、「個別最適な学び」に取り組むとともに、教師としてのふさわしい資質能力を広く身につけていくために、他者との対話など「協働的な学び」に取り組んでまいります。また、教員免許更新制度の発展的解消に伴う国の方針を踏まえ、現在の校内研修会のあり方で本当に教員の力を高めることができているのかを問い直すなど、校内研修の充実を図ってまいります。