ことば蔵の開館10周年を記念企画「リレー小説」の作品が完成しました。いたみ文芸ことそうしのメンバーが作成した小説の1話(100文字)に続く「2話、3話、4話」を皆さんから募集し、全4話(合計約400文字)の小説が完成しました。みなさま、ご応募ありがとうございました。(いたみ文芸ことそうし一同)
オーケー。君は、羊についてどれだけ自分が知っているのか考えた事があるかい。例えば、君が僕より羊の事をたくさん知っていたとしよう。でも、コアラについてならどうだろう。コアラについてなら、僕はちょっとしたものさ。(第一話)
知り合いが動物園を経営していてね、コアラを飼育している様子を何度か見たことがある。檻の外から見ている君達はきっと知らないコアラの姿を僕は知っている。その知り合いから羊を一匹買い取り、共に生活している。だから僕は人より羊を理解している自信がある。(第二話)
コアラと羊は大の仲良しだ。なぜかというと、コアラと羊の好きな食べ物が似ているからさ。コアラも羊も植物を食べる、いわゆる草食動物ってやつで、われわれ人間のような肉食動物に必要な肉を食べる必要のない生き物だ。ことば蔵はそれを知っているのさ。(第三話)
それと言うのは、実は人間は植物だって食べるということじゃないよ。もっと大事なこと。そう、人間は言葉も食べるってことさ。言葉を食べないと人間は調子が悪くなっちゃうんだ。言葉を食べる動物は人間だけなんだ。(第四話)