柿たわわ空貸し切って鬼ごっこ(平松泥沸)
エコバッグ柿のかたちにふくらんで(芍薬)
柿剥いて孫へ手解き肥後守(大澤 定男)
渋柿を優しく強く押し甘く(噂野アンドゥー)
老人の大きく笑う柿の空(平きみえ)
柿ひとつ投げて始まる物語(上野里美)
細かく裂いて八月六日の新聞紙を空へとかえすあるいは蝶を(信岡美希)
関取と呼ばれぬ郷土力士らの星取を見る奇数月朝(菅澤真央)
地方紙に包まれてきた白桃にこの街の雨の音を聴かせる(芍薬)
新聞を父の棺の中に置くいつもと違ういつもの朝に(八島和也)
新聞の喜怒哀楽を共にして一喜一憂する地球人(峰里 翠)
四コマに関西弁の猫のいてたまにくる野良猫去り際に「ほにゃ」(知地一代)