1.視察出張委員
委員長 篠原 光宏 副委員長 泊 照彦
委 員 杉 一 委 員 山薗 有理
〃 齊藤 真治 〃 服部 好廣
〃 永松 敏彦 〃 高橋 あこ
〃 鈴木久美子 〃 前田伸一郎
2.視 察 先 福岡県八女市・鹿児島県鹿児島市
3.実 施 日 令和6年10月22日(火曜日)~23日(水曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎10月22日 13:50~ 福岡県八女市
<市民との意見交換会の実施について>
初めに、八女市議会議長より歓迎のあいさつを受けた後、篠原委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、八女市議会事務局職員から説明がなされたのち、八女市議会議会運営委員長との質疑応答がなされた。最後に、泊副委員長よりお礼のあいさつがなされたのち、議場見学を行った。
<説明の概要>
(1)意見交換会の位置づけ
八女市議会基本条例第6条に、市民と議会の意見交換会の開催を位置づけており、その目的として、議員の政策立案能力を強化することを上げている。また、意見交換会の種類としては、地区別意見交換会と分野別意見交換会を設けており、地区別意見交換会は、合併前の旧市町村地区別で開催しているもので、分野別意見交換会は、市民団体等との意見交換会である。なお、どちらの意見交換会も議会運営委員会で開催の決定がなされる。
(2)地区別意見交換会参加者の募集方法
隣組回覧でのチラシの回覧や、議会だよりへの掲載、ホームページやFMラジオ等を活用する等である。
(3)地区別意見交換会
地区別意見交換会は、八女市議会議員22名のうち、議長を除く21名を、3つの班(各班7名)に分け、計6地区に対して意見交換会を実施している。
意見交換会までの流れは、まず、各班でそれぞれ班長と副班長を選出した後、議会運営委員会の正副委員長で正副班長会を構成し、今年度の意見交換会のスケジュールや内容を決める。次に、各班で、班長が各班のメンバーにスケジュールや内容を連絡するとともに、当日の運営方法を協議し、当日を迎える。
各班の役割分担は議員主導で決めている。まず、班長は、リーダーとして班員の役割(説明員・記録員・司会など)を決定したり、意見交換会で出される質問に対して、回答の準備を行う。副班長は、班長のサポートを行う。説明員は、各議員がテーマに沿って作成した資料を当日説明する役割を担う。記録員は、市民との質疑応答の内容等を記録する。司会は、意見交換会の進行を行い、会議終了のタイミング等を管理するほか、7人の議員が満遍なく発言できるよう努める。
令和5年度の地区別意見交換会のテーマは「改選後の議会は」であった。これは、統一地方選挙が行われ、議員が代わったため選ばれたテーマである。
意見交換会当日の流れとしては、まず開会の挨拶を行い、出席議員の自己紹介等を行う。次に議会活動報告として、改選後の議会の内容を説明したのち、意見交換会を実施する。最後に、閉会の挨拶を行う。ただし、あらかじめテーマを決めていても、市民からは、テーマとは関係のない様々な質問が出される。例えば、農業者の後継者不足の問題やスクールバスの話、鳥獣の被害が増えた等の質問が出された。これらの質問に対しては、回答できる範囲で回答し、そのような市民の要望があることを、議員で受け止める。
意見交換会開催後は、各班長から議長に対して報告書を提出した後、各班の報告書をまとめて議長から市長へ文書で、市民からこのような要望や提言があった旨、報告している。市長へ提言や要望を行ったものについては、市長から回答を求め、集約した意見等は、議会の対応と合わせてホームページ等で公開をしている。
(4)分野別意見交換会
分野別意見交換会は、市民団体等からの個別のテーマに特化した内容での意見交換会を行いたい旨の申請書の提出を受け、開催するかどうかを議会運営委員会で審査する。開催を決定すれば、要請した市民団体と日程等の調整を行う。
分野別意見交換会の決まり事として、以下の4つがある。
・申込団体の参加者は10人以上20人以内とすること。
・開始から閉会まで90分間とすること。
・同年度内に同じ団体・案件による意見交換は行わないこと。
※これは、同じ団体と同じテーマで何度も意見交換会を実施しても建設的ではないという観点から設けられたルールである。
・議会運営委員会でテーマに沿った出席者を決めること。
(5)意見交換会実施による効果
地区別意見交換会と分野別意見交換会の実施による効果としては、市民参加が促進されることから、積極的に政治に関心を持っていただくことができることや、市民との信頼関係の構築、また多様な視点の反映として、不特定多数の様々なバックグラウンドを持つ市民の意見を、市議会議員の政治活動の糧とできることではないかと考えられる。
議会自体がより活発に、そして市民の期待に応える形で活動する動機づけとなり、議会の活性化につながっている。
意見交換会が形式的なものに終わらず、実質的な対話とフィードバックの場として機能することが大事だと考えており、今後も継続的な取組を行っていく予定である。
<質疑応答>
(問)市民からの質疑に対する回答内容が班員で一致しなかった場合、どのように対応しているのか。
(答)意見交換会は、議員個人の意見を述べる場ではなく議会としての意見を述べる場であるため、その点について各議員に自覚してもらい、対応している。
(問)意見交換会の際に、回答に窮した事例はあったか。
(答)議員で可能な限り回答するように努め、どうしても回答ができない場合は、意見交換会終了後に班会議を行い、議長を通じて執行部へ確認した上で、後日回答するようにしている。
(問)複雑な内容の質問が出た際には、議員ではなく市職員が答えることがあるか。
(答)市職員は直接関与しない。
(問)意見交換会での質問は、前もって議会事務局へ提出されることが多いのか、それとも、当日直接意見交換会内で出されることが多いのか。
(答)当日出されることが多い。
(問)意見交換会を平日に実施した方が、参加者が集まりやすいのか。
(答)平日の方が参加者は集まりやすい。
(問)令和5年11月7日に農業活性化センターで実施された意見交換会に参加した26名のうち、区長は何人いたか。
(答)1名であった。
(問)各自治会を単位として広報を行っているのか。
(答)消防団やPTAの代表等にも広報は行っている。
(問)市役所OBなど、行政の知識がある市民からの質問に対してはどのように対応しているのか。
(答)各意見を丁寧に受け入れ、傾聴することを重視している。
(問)市民の議会への参画と協働の意識は高まってきていると感じるか。
(答)少しずつ市民の意識は変わってきていると感じる。意見交換会の他にも、インターネットやFM放送を通じて、議会情報の発信に努めている。
(問)分野別意見交換会について、特定の強い思いを持つ団体からの申し込みがあった場合も受付をしているか。
(答)あまりに政治色の強いような団体からの申込みは受けないようにしている。
(問)分野別意見交換会で取り上げる内容について、事前に議会運営委員会で調整は行っているか。
(答)行っていない。
(問)分野別意見交換会を受け付ける基準はあるのか。
(答)基準はない。ただ、なるべく開催する方向で検討するようにしている。
(問)市民アンケートは既に何度か実施しているのか。
(答)2回行っている。費用面を考慮し、これまでの2回は市が実施するアンケートとあわせて実施してきた。
(問)現在選出されている22名の議員は、市内の各地区からバランスよく選出されているのか。
(答)バランスよく選出はされていない。
◎10月23日 9:30~ 鹿児島県鹿児島市
<本会議における発言通告制度・反問及び議員間討議の導入・委員会所管事務調査の活性化について>
初めに、鹿児島市議会副議長より歓迎のあいさつを受けた後、篠原委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、鹿児島市議会事務局議事課長から、発言通告制度や反問、議員間討議、委員会所管事務調査について説明がなされたのち、質疑応答がなされた。最後に、泊副委員長よりお礼のあいさつがなされたのち、議場見学を行った。
<説明の概要>
(1)発言通告制度
発言通告書の提出時期は、議案発送日翌日の午前9時から、質疑等初日の2日前、午前11時までである。ただし、各定例会の代表・個人質疑については、質疑等初日3日前の午前11時までとしている。
質疑で通告書に記載する発言要旨は、議案番号、件名及び質疑点をより具体的に記載することとしており、市民も含め誰が見ても何を質問するのかがわかるよう記載することにしている。討論においては、議案番号と件名に加えて賛成・反対の別を記載することとしている。
発言順序について、代表質疑は、4人以上の会派を優先するものとしており、4人以上の会派及び少数会派ごとに、大会派順による繰上げ輪番制としている。なお、代表質疑については、第1回定例会と第3回定例会で実施しており、少数会派は、第1回定例会のみ行うことができる。個人質疑は、通告書の提出順としており、同じ会派が連続する場合は、会派間で調整することができるものとしている。
議員からの通告書提出ののち、通告書確認のために、議会運営委員会を開催している。具体的な協議内容は、通告一覧表の確認、事情変更等による質疑項目の変更等の取扱いの確認、日数に応じた質疑者の人数割振りの確認である。なお、1日の質疑者数は5人としている。会議日程を設定する際には個人質疑の日数を3日間15人と想定しており、質疑者が多数の場合は、会期日程を変更している。また、議会運営委員会では、委員は単に自会派から提出された通告書だけでなく、すべての通告書の内容を十分検討した上で確認することとしている。
当局の取材については、通告書の内容確認のための議会運営委員会終了後、当局が質疑者に対して通告内容の確認を行っている。取材に基づいて当局が答弁書案を作成した後、市長検討会で答弁の確認をするが、その後、質疑者によってはフォロー取材という形で、当局と質疑者で質疑・答弁内容の確認を行っているようである。
なお、このフォロー取材も含めた当局取材は、制度的に想定されたものではないため、議員個々の判断で対処することとしている。また、取材においては、議員・当局とも節度を持って対処することとしている。
通告制度の課題は特にない。各定例会の代表・個人質疑の発言通告の締切を、令和6年第2回定例会から質疑等初日の3日前の午前11時までと変更したが、これは、当局の取材を受けた後の答弁作成や市長検討会が土曜日・日曜日にかかっていた状況があり、働き方改革の観点から、議会から1日前倒して平日にフォロー取材まで終わることができるようにしてはどうかとなり、議会運営委員会で確認をし、通告の締切を1日前倒ししたという経緯があった。
(2)反問及び議員間討議
1 反問
平成26年に制定した議会基本条例に「反問」の規定を設けた。その後、平成27年2月に、本会議または委員会において、議員の質問内容や趣旨等が不明確な場合に、その論点を明確化し、議論を深める目的で、その内容・趣旨等を確認することができる「反問」を導入した。なお、令和2年10月には、その範囲を見直し、趣旨確認に加え、実質的な反対質問として議員又は委員の考え方や根拠に対して反論することまでを認めることとし、令和2年12月議会から適用している。これまで、本会議では平成29年第4回定例会の1回、委員会では平成27年と29年の2回、当局から反問が実施されたが、反論まで認めることとした以降に反問は行われていない。
2 議員間討議
平成26年に制定した議会基本条例に議員間討議に関する規定を設けた。その後、平成27年2月に、委員会において政策立案及び政策提言を積極的に行うため、付託事件及び所管事務調査を対象に、議員同士が自由に意見を述べ合うことができる議員間討議を導入したが、現在のところ実績はない。
(3)委員会の所管事務調査
会期中は当局から出された議案審査に時間を割かれるため所管事務調査の日程を確保することが困難であることから、論議すべき課題を整理し、閉会中の継続調査事件として位置づけ、閉会中に調査を行うこととしている。過去5年間で計6回の所管事務調査が実施された。
<質疑応答>
(問)通告書に詳細まで記入することにより、台本どおりのやり取りとなっているといった意見は議会内で出ていないか。
(答)そのような意見は出ていない。
(問)当局からの取材を受けない議員の質疑に対して、答弁が噛み合わないような場面はこれまであったのか。
(答)現在の議員は、全員取材を受けている。
(問)個人質問はほぼ全ての議員が行っているのか。
(答)10名から15名程度である。
(問)個人質問は全議員が行えるのか。
(答)そのとおりである。
(問)代表質疑と個人質疑となっているが、質問ではないのか。
(答)一般質問と議案質疑を一緒に実施しているため、個人質疑という言い方をしている。
(問)毎定例会ごとに、議長が市の一般事務に対する質問もあわせて行うことを宣告しているということか。
(答)宣告はしていない。
(問)会議規則ではどのように規定されているのか。
(答)会議規則は一般質問と議案質疑の両方を規定している。
(問)規則上は別で存在するものの、慣例上、個人質疑としてまとめて行っているということか。
(答)申し合わせの中で、質疑の中で一般質問もできることを規定している。
(問)通告書の内容を確認する議会運営委員会の休憩中のやり取りの詳細について伺う。
(答)各会派で通告書を確認し、市政に関する質問であるか否かの協議を行う。
(問)会派での意見集約が終わった後、各議員の通告内容のすり合わせは、議会運営委員が同じく議会運営委員会休憩中に行うのか。
(答)議会運営委員会再開後に実施する。ただし、休憩中の協議の結果、議会運営委員会が再開するまでに通告内容を変更する議員もいる。
(問)通告内容が議員間で重複している場合の取扱いについて伺う。
(答)内容が重複しているからといって議会運営委員会で通告を取り下げるように議員へ伝えることはしていない。重複した内容の通告を行った議員が、別の議員への当局からの答弁を聞いて、自主的に取り下げることはある。
(問)通告確認に関する議会運営委員会による通告内容の事前調整に、強制力はあるのか。
(答)強制力はない。
(問)議会運営委員会の休憩時間はどのくらい取っているのか。
(答)30分を目途としている。
(問)通告書の記載方法に指定はあるのか。
(答)指定はないが、記載例は箇条書きとしている。
(問)以前と比べて通告書の確認が厳しくなくなってきているとのことだが、その理由は何かあるのか。
(答)特に明確な理由はない。
(問)通告書の提出日が2日前から3日前に変更となったことにより、問題が起こったりはしなかったか。
(答)特に問題は起こらなかった。
(問)通告日を前倒しにしたことで、土・日に職員が取材をしなくてよくなったということだが、議長主導でこの取組は行われたのか。
(答)議長からの働きかけではない。
(問)通告日の前倒しについて、市職員から意見を聞いているか。
(答)土・日を挟まなくなったことについて、歓迎の声があった。
(問)一問一答のやり取りの中で、事前調整無しで行われるものはあるか。
(答)そのような事例は少ない。
(問)一問一答の回数が多い場合、通告日が3日前に変更となったとしても、当局は結局、質問日の間際まで議員と調整することになるのではないか。
(答)議員も込み入った質問をする場合は、通告書に詳しく記載するよう努めている。
(問)本会議での一問一答の回数はおよそ何回なのか。
(答)多くても3回程度である。
(問)一人当たりの質問時間は。
(答)答弁を含めず30分間である。
(問)当局の答弁時間を含めると、およそ一人あたり何分ほどかかっているか。
(答)一人当たり1時間ほどである。
(問)反問を導入するに至った経緯を教えてもらいたい。
(答)特に何か問題があって導入したのではなく、平成26年6月に議会基本条例を制定した際に、全国の議会基本条例を参考にし、反問の規定を入れた。
(問)反問の内容を広げたということだが、その経緯を伺う。
(答)当局による取材を行うことで趣旨確認等は済むことから、より議論の活性化を図るため、反対質問まで範囲を広げて反問を行うことができるように規定することとなった。
(問)反問を導入したことにより、反問されそうな質問を自粛するような傾向はあるか。
(答)質問を行う際は、自身の考えをしっかり述べる議員が増えたように感じる。
(問)これまでに行われた反問の内容について伺う。
(答)議員の質問の趣旨確認であった。
(問)反問を行う場合、当局は挙手し、議長や委員長に対して反問を行う旨を述べ、許可を受ける方式か。
(答)そのとおりである。
(問)これまでに、当局から議員に対して、質問内容を問いただすような反問は行われなかったか。
(答)当局から反対意見を述べたような事例はない。
(問)過去に行われた反問の事例は、議員と当局の事前調整が上手くできていなかったことが背景としてあったのか。
(答)取材の中で、議員が明確に質疑の内容を述べなかった可能性がある。
(問)質疑を行う議員は、どのタイミングで反問があることを知ることになるのか。
(答)特に決まっていない。
(問)議員は反問があることを事前に予期することはできないのか。
(答)当局とのフォロー取材の際に十分に詰め切れなかった場合、当局から質疑の際に反問を行うことをあらかじめ伝達される場合もある。
(問)これまでに反問が行われた議員は別々の議員か。
(答)別々の議員であった。
(問)議員間討議の導入経緯を詳しく伺いたい。
(答)政策立案、政策提言を積極的に行っていくことを目的に、議員同士が自由に相互の意見を述べ合うことができるよう、議会基本条例を制定し、議員間討議を導入した。
(問)議員提出議案で客引きに関する条例を制定したとあるが、これまでにもそのような事例はあったか。
(答)同様の条例制定の事例はこれまでないと思われる。
(問)条例の中に過料を設けたことで、効果はあったか。
(答)客引き行為への抑止効果は一定あったものと考えている。
(問)条例を制定するにあたり、当局との調整は行ったのか。
(答)当局と調整の上、補正予算の計上等を実施した。
(問)条文を作成する際、専門家からアドバイスを受けたか。
(答)当局の法制担当へ相談し、アドバイスを受けた。
(問)当局の法制担当だけではなく、学術機関等から助言を受ける等されたか。
(答)当局の弁護士資格を持つ法務専門員等からもアドバイスを受けた。
(問)企業等からの献金について規制する規定を設けているが、どのような経緯でこの規定を設けることになったのか。
(答)平成5年に定められているため、詳細については不明である。
(問)勉強会はどのように実施しているのか。
(答)議案送付後、当局に説明資料を作成していただき、会派ごとに勉強会を実施している。
(問)会派ごとの勉強会はどのくらいの時間行っているのか。
(答)各部局30分以内で行っている。
(問)委員会の前にも、議員と当局間でやりとりは行われているのか。
(答)委員会の1週間前には説明資料を配付するようにしている。
(問)委員会でも通告制を採用しているということではないか。
(答)通告制は採用していない。
(問)直近の改選で1期目の議員が大幅に増加しているが、鹿児島市議会では改選ごとに同じような状況となることが多いか。
(答)毎回1期目の議員が大幅に増えるということではない。
(問)委員の任期は何年か。
(答)委員の任期は1年である。
以 上
市議会事務局
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