木下教育長は、平成27年第1回市議会定例会(平成27年2月25日)で、平成27年度教育基本方針を表明しました。教育基本方針は、以下のとおりです。
先程、市長から、市政運営の基本方針及び平成27年度予算案の諸事業について、所信の表明がございましたが、これに基づきまして、私から、平成27年度の伊丹市教育基本方針について、重点施策を中心に、その考えを申し述べたいと思います。
平成27年度は、約60年ぶりに改正された教育委員会制度のスタートの年です。この改革により、以前にもまして、市民ニーズを踏まえた取組とともに教育委員会のリーダーシップが求められます。
今、日本社会は、「成長社会」から「成熟社会」にシフトし、「多様化」と「情報化」が大きく進展しています。
多様化について身近なもので言えば、電話は一家に一台の時代から、それぞれが携帯電話やスマートフォンを持つ時代になっています。また、贈り物も定番から、それぞれが気に入ったものをカタログから選ぶ時代になっています。
情報化について言えば、知識や情報を得る手段も、以前は学校で教師から学ぶことが中心でしたが、インターネットを通じて、誰もが様々な知識や情報を時と場所を選ばず簡単に得ることができる時代になりました。テレビなどメディアの解説も大変分かりやすくなっています。これからの教育は、「グローバル化」とともに、このような「多様化」と「情報化」を頭に置き推進する必要があります。
そこで、学校教育においては、人間として自立し、困っている人を助け、苦しい時にも頑張ることのできる「不易な資質」と、他者と協働して課題を解決したり、新しい価値を創造したりできるなどの「今の時代を生き抜いていくために必要な資質」の両方を培わなければなりません。「不易な資質」については、道徳教育やキャリア教育、体験活動の充実を図り、道徳心や学習意欲の向上を図るとともに、自尊感情の一層の向上を図ってまいります。また、「今の時代を生き抜いていくために必要な資質」については、習得・活用・探求のバランスをうまくとり、教師主導による知識伝達型の授業から、意見交換型や問題解決型等の子どもたちが主体的に取り組む学習スタイルの比重を増やし、思考力・判断力・表現力等の育成や学習意欲の向上に努めてまいります。
また、子どもの6人に1人が貧困であると言われている中で、一人ひとりの子どもたちの教育を保障するため、放課後学習の充実やスクールソーシャルワーカーの増員、就学援助制度の見直しなどを通して、貧困の連鎖にストップをかけ、自分の能力を十分に発揮できる取組を進めてまいります。
本市におきましては、これまでも「ことばと読書を大切にする教育の推進」を教育目標に「知・徳・体」の調和のとれた人づくりに学校・家庭・地域が一体となって取り組んでまいりました。
私は、常々「学校は学力をつけるところ、家庭はしつけや基本的な生活習慣を身につけるところ、地域は社会性や人間性を育むところ」と申し上げてきましたが、家庭においては、近年、朝食の摂取率や睡眠時間、家庭学習時間が大きく改善されてまいりました。
本年度は、学校だよりやホームページを通して、こまめに情報提供を行い、保護者と教育課題を共有し、朝食の摂取率や睡眠時間、携帯電話・スマートフォンの取り扱いなど基本的な生活習慣の一層の向上を図ってまいります。
地域においては、年間を通して、様々な行事を実施していただいており、今年度は、全小中学校において、土曜学習なども実施していただきました。
今、地方創生が注目されていますが、子どもたちがこのような地域行事に参加し、地域に愛着と関心を持ち、地域に貢献することの喜びを感じることは、将来、地域で活躍できる人材を育てるということからも、とても意義深いものと思っております。
そのため、子どもたちの地域行事などへの積極的な参画を促進し、地域や社会の事象に関心の持てる子どもを育ててまいります。また、地域住民や教員志望の大学生、退職教員など地域の有為な人材の発掘に努め、「土曜学習」をより充実させてまいります。
学校・家庭・地域等子どもの教育に携わる全ての関係者がつながり、それぞれの役割をしっかりと果たすことで、伊丹の教育は、より磐石なものになると確信しています。
引き続き、「教育ビジョン」の4つの体系に沿って、教育の各分野について、その主な取組をご説明申し上げます。
まず1つめの「幼児期の教育・学校教育」につきましては、子どもたちが、これからの社会の中で生き抜くための力の根幹となる「知・徳・体」のバランスのとれた教育活動を推進してまいります。
第1は、基礎・基本の徹底と確かな学力の向上でございます。
子どもたちに「基礎的・基本的な知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「学習意欲」などの「確かな学力」を身につけさせるためには、教育内容・指導方法等の一層の充実を図る必要があります。
学校においては、兵庫教育大学との連携により開発した学校分析ツールを有効に活用し、自校の課題に基づく「学力向上プラン」を作成いたします。特に学力との相関が強い1.授業改善2.校内研究の充実3.考えて書く活動の充実4.発表する活動の充実5.読書活動の充実6.学力低位層の底上げの6項目についての取組を充実させてまいります。
具体的には、1.授業改善については、授業のユニバーサルデザイン化を推進するとともに、思考力・判断力・表現力等の育成を図る意見交換型授業や問題解決型学習を進めてまいります。併せて、ICTの活用、授業規律の確保に取り組みます。
2.校内研究の充実については、校園長のリーダーシップの下、教員が一丸となって指導方法等を研究するとともに、その成果を全教職員が共通理解し、全ての子どもに対して実践してまいります。
3.考えて書く活動の充実については、発達段階に応じて計画的に記録、要約、説明等の言語活動を取り入れ、ノート指導を丁寧に行う中で自分の考えを明確にした文章を書く力を育ててまいります。
4.発表する活動の充実については、少人数のグループ活動や話し合い活動を積極的に取り入れ、自分の考えを発表する力を育ててまいります。
5.読書活動の充実については、これまでの「読書指導員」を「学校司書」に改め、学校図書館をより魅力的なものとするとともに、読書冊数を増やしてまいります。また、伊丹市立図書館本館「ことば蔵」や図書ボランティアとの連携を強化してまいります。
6.学力低位層の底上げについては、「放課後学習」を全小中学校に拡大し、一人ひとりの基礎学力の定着に力を入れてまいります。また、家庭での学習習慣が身についていない児童生徒の学力向上を目指し、「家庭学習プリント配信システム(総合教育センターホームページ)」の充実を図るなど、家庭との連携による学習習慣や生活習慣の確立に努めてまいります。
一方、教育の機会均等の趣旨に則った就学援助については、小中学校入学時のできるだけ早い時期の支給に努めるとともに、特別支援学級在籍児童生徒の保護者に対する「特別支援教育就学奨励事業」を新設してまいります。
第2は、豊かな心、健やかな体の育成及び健全な食生活の推進でございます。
いじめ問題への対応については、学校における最重要課題の一つであり、「伊丹市いじめ防止等のための基本的な方針」に基づき、「伊丹市いじめ防止等対策審議会」での議論を踏まえ、いじめの防止に向けた具体的な取組を進めてまいります。
各学校においては、自校の「いじめ防止基本方針」を毎年、課題等を踏まえ自校の実態にあったものに見直し、全職員で組織的に取り組んでまいります。また、いじめや不登校、問題行動等の未然防止のために、日々の学校生活の改善や気持ちの通い合う、温かい学級づくりに取り組んでまいります。さらに、児童生徒の問題行動等の背景にある環境の改善や生活面での支援を行うスクールソーシャルワーカーの増員を図ってまいります。
携帯電話等の対応については、携帯電話やスマートフォンの急速な普及に伴い、子どもたちのインターネット等の利用環境は大きく変化しており、新たな問題が多発しています。保護者や地域との連携の下、「携帯・スマホに関する緊急アピール」を作成し児童生徒の実態に基づく具体的な取組を推進してまいります。
道徳教育の充実については、「特別な教科」への動きを踏まえ、総合教育センターにおいて、「道徳教育実践講座」等を実施するとともに、各学校においては、授業研究等により教員一人ひとりの指導力の向上を図ってまいります。さらに、日々の教育活動全般を通して、命の大切さ、相手を思いやる心を育てる「心の教育」を推進するとともに、体験的な活動の充実を図り、児童生徒の規範意識や自尊感情を育んでまいります。
「キャリア教育」については、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現できる力を育むために、小中学校において「キャリア学習ノート」を作成し、小学校6年生から中学校3年生までの学習を充実させてまいります。
体力の向上については、「伊丹市体力・健康づくり推進プラン」に基づき、授業改善や小中連携による体育授業の充実を進めるとともに、全小学校において「伊丹市小学校スポーツバッジ認定制度」による取組を実施してまいります。さらに、体力向上推進員を幼稚園や小学校に派遣し、教員の指導支援を行う「幼児期・学童期における運動・遊び推進事業」を実施してまいります。
また、危険ドラッグ等をはじめとする薬物乱用防止教育の更なる充実等、児童生徒が健全な学校生活を営み、将来にわたり心身の健康の保持増進を図る健康教育を進めてまいります。
中学校給食については、(仮称)伊丹市立中学校給食センターの整備工事を行うとともに、円滑な導入に向けて、中学校教員対象の研修等を実施してまいります。一方、小学校給食センターにおいてもアレルギー対策として、アレルギー対応調理室設置に向け、実施設計を行ってまいります。さらに、現在学校給食会で管理している給食費の取り扱いについては、平成28年度からの公会計化を目指し「学校給食費管理システム」の開発を行ってまいります。
第3は、開かれた・信頼される学校園づくりと評価の推進でございます。
開かれた・信頼される学校園づくりについては、学校だよりや学校園・市ホームページ等の充実を図り、保護者や地域住民に教育活動等に関する情報をこまめに提供し、教育課題の共有に努め、当事者意識を高めてまいります。
学校評価については、評価項目を市や自校の課題に則したものに重点化し、数値目標を効果的に取り入れることにより、PDCAサイクルに基づく学校園運営の改善と組織の活性化を図ってまいります。また、学校評議員及び学校関係者評価委員への積極的な情報提供により、外部の強みを活かした特色ある教育活動を推進してまいります。
さらに、安全・安心の推進については、市の関係部局との連携の下、通学路における見守りカメラの設置や「自転車交通安全教室」を実施する等、通学路の安全対策の充実や児童生徒の交通安全意識の高揚と交通マナーの向上に努めてまいります。また、多発する自然災害を踏まえ、災害図上訓練(DIG訓練)を取り入れるなど、防災教育を一層推進してまいります。
第4は、教職員の意識改革と資質の向上でございます。
子どもは教師を映す鏡であり、毎日の指導が子どもに表れるものです。子どもに変わることを求めるならば、まず、教師自らが変わらなければなりません。高い志を持ち謙虚に学び続ける教師から、自分の夢を持ち何事にも意欲的に取り組む子どもが育ちます。
教職員の意識改革と資質の向上については、総合教育センターにおける初任者研修、経年研修、ミドルリーダー養成研修、教頭研修等、教職員の経験に応じて学ぶ研修を充実させ、広い視野を持って系統的に学び続ける教師を育ててまいります。
体罰・セクハラ等の根絶については、教師のモラルの向上や学校園における組織的な指導体制の構築が不可欠であり、個々の教師の人権意識の高揚や具体的な事例を通した研修の充実を図ってまいります。また、子ども同士の人間関係づくりや、心の状態を的確に把握できるような研修を行ってまいります。
第5は、今日的課題に対応した幼児期の教育・学校教育の推進でございます。
今後の公立幼稚園のあり方については、学校教育審議会の答申を下に、市民意識調査の結果や伊丹市公共施設マネジメント基本方針等を踏まえ、「基本計画」及び「実施計画」を策定し、市民への周知を図り、市民の理解に努めてまいります。さらに、「子ども子育て支援新制度」に基づく公立幼稚園の利用者負担については、保護者や市民への周知を図ってまいります。
英語教育については、英語に関する事業を統合し「グローバル化に向けた英語教育推進事業」として、小学校での英語の教科化を見据え、計画的な英語教員の採用やカリキュラムの作成等小中連携を促進してまいります。
ICTの活用については、実物投影機や電子黒板・デジタル教科書等の活用を推進するとともに、教員のICT活用指導力向上を目指し、各学校園や総合教育センターでの研修を充実してまいります。
市立伊丹高等学校の充実については、商業科の活性化など特色ある取組やキャリア教育を推進するとともに、放課後特別学習の講座の拡充を図り、国公立大学等、大学進学者数のさらなる増加を目指してまいります。
さらに、市立伊丹高等学校(全日制)内に、平成26年度末をもって県立阪神昆陽高等学校に発展的に統合される伊丹市立高等学校(定時制)の記念室を設置し、同校の歴史を次世代にも引き継いでまいります。
伊丹特別支援学校の充実については、伊丹特別支援学校活性化事業として、本市の特別支援教育の中核的役割を担う学校としての研修やコンサルテーション等の一層の充実を図ってまいります。
第6は、幼児期の教育・学校教育における人権教育の推進でございます。
人権教育は、一人ひとりの幼児児童生徒が、発達段階に応じ人権の意義や内容を理解し、自分自身を大切にするとともに他者も大切にする資質を培うことであり、また、様々な場面において、具体的な態度や行動をとることが重要であります。
幼稚園においては、遊びや身近な自然、人とのふれあいを通して、命を大切にする心や他者を思いやる心を育ててまいります。
学校においては、各教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動の時間等あらゆる教育活動において、人権尊重の視点を大切にし、児童生徒の自尊感情と確かな人権感覚を育んでまいります。
次に2つめの「家庭・地域・社会教育」につきましては、市民のライフステージに応じた学習機会の提供に努めるとともに、学習成果を社会に還元する仕組みづくりに取り組んでまいります。
また、学校と地域、家庭がしっかりと連携し、地域の人材を活かした「学校支援地域本部事業」を充実させるとともに、活力ある地域コミュニティの形成を目指してまいります。さらに、生涯スポーツ活動を充実させ、市民の健康の増進、市民の参画と協働による青少年の健全育成に取り組んでまいります。
第1は、自発的な学習を支援する社会教育環境の整備でございます。
公民館では、社会教育の拠点施設として、人権・平和・子育て等、幅広い年齢層を対象とした多様な学習機会・交流機会を提供することにより、「ひとづくり」に取り組んでまいります。また、市民が安心して活動できる場を提供し、主体的な学習活動を支援するとともに、学習成果を地域社会に還元するため、公民館グループの地域派遣に取り組んでまいります。
図書館では、本館「ことば蔵」・西分室・神津分室・南分館・北分館が相互に連携しながら、市民の読書活動の推進を図ってまいります。「ことば蔵」においては、快適な読書・学習環境を提供する「図書事業」、人と人とがふれあい・語りあい・学びあう「交流事業」、伊丹の歴史・文化の「情報発信事業」を積極的に行ってまいりました。昨年度は、その成果が認められ、文部科学大臣より、兵庫県で唯一「子どもの読書活動優秀実践図書館」として表彰されました。また、市民が運営主体となった1階交流フロアに設置している「カエボン棚」が評価され、個人などが運営する優れた図書館に与えられる第1回「マイクロ・ライブラリーアワード」を受賞しました。今年度は、さらに各事業の充実を図り、より多くの市民に愛される図書館を目指してまいります。また、神津分室の移転に向けた準備を行ってまいります。
博物館では、地域と連携した調査・研究事業を一層進め、その成果を諸展示等で公開し、多くの市民に伊丹への誇りと愛着を育ててまいります。また、「ことば蔵」等での出張展示や市民のニーズに応じた「出前講座」を実施するなど、今まで以上に「地域に出かける博物館」を目指してまいります。
生涯学習センター・北部学習センターでは、地域の生涯学習拠点として、施設機能を効果的に活用した事業に取り組んでまいります。
第2は、文化財の保存・継承と活用でございます。
市内に所在する文化財・歴史遺産を地域の文化財保護関係団体と連携し、適切に保存し、継承してまいります。
本年9回目を迎える「歴史・文化が醸し出す伊丹ロマン事業」では、国指定史跡「伊丹廃寺跡」、昆陽池などを造営した「行基」を中心にした「古代の伊丹」をテーマとし、イベントや講演会、展示会を開催し、郷土の歴史への理解を深めてまいります。
第3は生涯スポーツの推進でございます。
生涯スポーツの推進では、「健康づくり大作戦」の一環として開始した「サタデージョギング教室」と合わせて、健康遊具を利用した取組をさらに推進していくとともに、スポーツクラブ21などの地域スポーツ活動を支援し、誰もがスポーツに親しむことのできる環境づくりを市民とともに進めてまいります。
第4は、家庭・学校園・地域等の協働による教育の推進でございます。
地域で子どもたちを見守り・育てる教育に取り組むとともに、家庭教育を支援する体制の充実を図り、地域全体の教育力の向上を目指してまいります。
少年愛護センターにおいては、市民・関係機関・団体等との連携の下、街頭補導活動を推進するとともに、地域の子どもは地域で守り育てるという観点に立ち、地域ぐるみで「愛の一声運動」による非行防止等に取り組み、青少年の健全育成に努めてまいります。さらに、携帯電話・スマートフォン等をめぐるインターネット上のトラブルや、事件・事故が急増している危険ドラッグ等から子どもたちを守るために、PTAや少年補導委員の関心と意識を高める広報・啓発活動や研修の強化を図ってまいります。
また、PTAと地域が協働し、「あいさつ運動」「安全パトロール」を実施し、家庭・学校園・地域の連携を強化してまいります。
第5は、今日的課題に対応した家庭・地域・社会教育の推進でございます。
子どもの確かな成長を支えるためには、社会総がかりで取り組む必要があります。
学校の教育活動を応援する「学校支援地域本部事業」の充実を図るとともに、全小中学校において「土曜学習」をより充実させ、基礎学力の向上、学習習慣の定着、子どもの豊かな人間性の育成を図ってまいります。
第6は、家庭・地域・社会教育における人権教育の推進でございます。
すべての人々の人権が尊重される「多様性を認め合う共生社会」、「平和で豊かな社会」の実現を図るため、「伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針」や「伊丹市人権教育基本方針」に基づき、家庭・地域・社会教育など、あらゆる場において人権に関する学習活動を推進してまいります。
次に3つめの「教育行政」につきましては、本年4月から新たな教育委員会制度がスタートします。具体的には、教育委員会の権限を教育長に一本化し、教育行政の責任者とするとともに、市長には、市長と教育委員会で構成する「総合教育会議」の設置や教育に関する「大綱」の策定が義務付けられます。
このことにより、これまでの教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しながら、教育行政における責任の所在が明確になり、迅速な危機管理体制の構築や市民の意見をなお一層反映させることが可能となりました。こうした新たな教育委員会制度の下、市長と教育委員会が緊密に連携し、これまで以上に民意を反映した教育行政を展開してまいります。
第1は、教育行政推進体制の整備でございます。
教育行政の推進については、「伊丹の教育<重点目標編及び成果報告編>」による教育施策の進行管理を行うとともに、教育広報紙「教育いたみ」や教育情報紙「すくすくぐんぐん伊丹っ子」、ホームページ等の充実を図り、タイムリーに教育情報を発信してまいります。
教職員の人事管理については、教職員の大量退職等に対応するため、計画的な新規教員の採用や広域交流人事を進め、積極的な人材確保に努めてまいります。また、主幹教諭を全校に配置し、各校の組織マネジメントの強化や業務改善による勤務時間の適正化に取り組むとともに、教職員のメンタルヘルス支援に係る制度を周知し、活用することで教職員の心の健康の保持増進にも努めてまいります。
教職員の「人事異動」については、教職員が自己PRできる制度を積極的に活用し、適材適所の人事配置を行ってまいります。さらに、管理職による教職員との個別面談を実施し、教職員が意欲を持って職務に専念できる体制の充実や服務規律の確保等を図ってまいります。
学校園施設の整備については、校舎の空調設備や体育館等におけるトイレ改修などの老朽化対策に取り組むとともに、中学校格技棟の吊り天井の改修やアスベスト除去工事等を行い、安全で快適な学校園施設の充実を図ってまいります。
また、校区内の急激な人口増や学習形態の多様化に伴い、教室不足が懸念される有岡小学校の増築工事に着手してまいります。
幼稚園においては、5年目となる学校園芝生化モデル事業を継続して実施し、体力面、環境面などその教育的効果等について引き続き、検討・検証してまいります。
第2は、今日的課題に対応した教育行政の推進でございます。
今日的課題に対応した教育行政の推進については、教育委員が、研究発表会など学校園の各種行事へ積極的に出席することや、定期的に学校園を訪問することなどを通して、教育現場の実態を自分の目で把握するとともに、課題解決に向けた施策提言を行ってまいります。また、引き続き、教育懇談会「教育委員と話そう」を実施し、「顔の見える動く教育委員会」を実践してまいります。
このように教育委員会が学校園・家庭・地域・関係機関と連携し活動することにより、教育委員会のさらなる活性化を図ってまいります。また、国の動向に注視しつつ的確に対応することや、いじめ等に迅速に対応できる危機管理体制を構築するとともに、教育委員会制度改革に伴う、「総合教育会議」の場等を活用し、市民ニーズを踏まえた教育行政を推進してまいります。
最後に4つめの「伊丹ならではの特色ある教育」につきましては、酒造りとともに栄えた俳諧文化や豊かな自然、個性的な文化・社会教育施設、そして、活発な市民力・地域力などの豊かな地域資源を活用し、「ことば科」や「全国高等学校なぎなた選抜大会」をはじめとする芸術・文化・スポーツの充実、振興に努めてまいります。
ことば文化都市伊丹の創造につきましては、小学校における「ことば科」や高等学校の「ことば文化科」など伊丹市独自の教科や「伊丹・本の杜ことば蔵まつり」など、ことばに関する様々な催しを通して、「ことばと読書を大切にする教育」を推進してまいります。
また、「ことば蔵」等市立図書館と学校図書館は、授業で使用する学習図書の団体貸出しや各学校に配置されている学校司書の研修を実施するなど、連携協力を推進してまいります。
地域の特色を活かしたスポーツ競技の振興につきましては、「第11回全国高等学校なぎなた選抜大会」の開催や、なぎなた教室の充実に取り組んでまいります。また、伊丹発祥の「いたっボール」などを市内外に広く発信・普及してまいります。
地域の特色を活かした芸術・文化活動の振興につきましては、小学校におけるジュニアバンドクラブ、中学校における吹奏楽部等、伝統のある全国レベルの部活動を支援してまいります。
市民力を活かした教育の推進につきましては、ボランティアによる学校支援活動を充実し、「土曜学習」をはじめとした学校・家庭・地域が一体となって子どもを育てる体制づくりを進めてまいります。
以上、平成27年度の教育基本方針について、ご説明申し上げましたが、「未来を担う人が育つまち」の実現に向け積極的に取り組んでまいりますので、ご理解・ご支援いただきますようお願いいたします。
教育委員会事務局教育総務部教育政策課
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