裸には裸で父と腕相撲(諸富千歳)
裸婦像のモデルときどき脚替える(秋山泰)
真夏日や素裸でごろり板の間に(図子利明)
あつけらかんことほどさように裸の子(渡邉美保)
僕達はへの字の裸族なめくじり(諒介)
家中を走る裸子明日は海(平きみえ)
湖へ続く坂道駆け降りる自転車たちは淡水魚めく(松城ゆき)
還暦をふがいないまま通り過ぐ坂ではちょっとペダル踏み込む(藤田晋一)
ママチャリのかごに八百屋のおじさんが「元気だしや」と乗せる飴ちゃん(今野浮儚)
啄木と名の刻まれし自転車を古い雑誌に見つけしは夏至(三橋直樹)
どこへでも行けると思った自転車で通学路ばかり行き来している(近藤きつね)
かたわらで揺れる向日葵いま僕は自転車の空気を入れている(二葉吾郎)