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平成29年度教育基本方針

木下教育長は、平成29年第3回市議会定例会(平成29年6月8日)で、平成29度教育基本方針を表明しました。教育基本方針は、以下のとおりです。

はじめに

 先程、市長から、今後4年間の市政運営の基本方針及び平成29年度補正予算案の主要事業について、所信の表明がございましたので、これに基づき、私から、平成29年度の伊丹市教育基本方針について、重点施策を中心に、その考えを申し述べます。
 平成27年6月に開催された「総合教育会議」において、市長と教育委員会による協議を経て、教育の目標や方針を定めた「伊丹市教育大綱」が策定されました。
平成29年度は、引き続きこの「伊丹市教育大綱」を実現するため、「伊丹市総合計画・後期事業実施5ヵ年計画」を基本とする「伊丹市第2次教育振興基本計画」に基づき、教育行政を推進してまいります。また、「伊丹創生総合戦略」に掲げられた教育施策や事業等を着実に実行し、「選ばれるまち伊丹」の実現を目指してまいります。
 私たちがこの先歩んでいく社会は、想像をはるかに超えて急速に変化することが予想されます。このような先行き不透明な時代においては、自分の人生をどのように描き、いかに力強く生き抜いていくのかが、一人ひとりに問われています。
新学習指導要領では、「育成すべき資質・能力」として、生きて働く「知識・技能」の習得、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養が求められています。
 学校教育においては、予測できない変化に受け身ではなく、主体的に向き合い、自らの可能性を発揮し、よりよい人生とよりよい社会の創り手となっていける「資質や能力」を育むために、アクティブ・ラーニングの視点に立った「主体的・対話的で深い学び」の実現に取り組んでまいります。
また、家庭の経済的環境や文化的環境により人生のスタートラインにおいて、学びの機会が平等に開かれていない現状があることから、「少人数指導」など、わかる授業の実践、「放課後学習」、「スクールソーシャルワーカー配置の充実」などを通して、「教育格差」の是正に取り組んでまいります。
 さらに、学校教育目標を実現するため、従来からの教育課程の編成・実施・評価・改善に加え、教科等横断的な視点での教育内容の配列や、地域等外部人材や資源の活用の視点を踏まえた「カリキュラム・マネジメント」の実現に取り組んでまいります。
 社会教育においては、市民が学びを通じて視野を広げ、知識や経験を分かち合い、人生や社会を豊かにすることが期待されており、今年度、これからの「社会教育のあり方」を見定めていくとともに、スポーツ推進にかかる新たな計画づくりに取り組んでまいります。
 また、幼児期から高等学校までの「縦の連携」による教育と、学校園・家庭・地域の「横の連携」による教育を一層充実してまいります。特に、就学前教育を取り巻く環境の変化や幼児期の教育がその後の人生に大きな影響を与えることから、公私立や、幼稚園・保育所・認定こども園といった施設の種別に関わらず、質の高い教育・保育を実践するために、就学前教育全体を視野に入れた改革に取り組んでまいります。
 また、子どもの貧困やいじめ、不登校など、学校の抱える課題が複雑化、困難化していることから、地域と学校がともに学校運営に参画する「コミュニティ・スクール」を拡充してまいります。
 引き続き、「伊丹市教育大綱・基本大綱」の体系に沿って、教育の各分野におけるその主な取組をご説明申し上げます。

基本目標 市民が主体となったまちづくりの実現

基本方針2 多様性を認め合う共生社会

 人権尊重のまちづくりについては、人権に関する学びを生涯学習に位置付け、ライフステージに応じた多様な学習活動を学校・家庭・地域・職場等のあらゆる場において推進してまいります。人権は知識として学ぶだけでなく、日常生活において自他を尊重する意識が、態度や行動として現れるようになることが大切であります。そのため、「伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針」や「伊丹市人権教育基本方針」に基づき、あらゆる人権課題に関する学習機会の充実を図るため、人権教育指導員の派遣や市民団体の支援等を行ってまいります。
 近年注目されるようになってきた「性的マイノリティ」をめぐる人権課題については、市長部局との連携を図りながら、教育・啓発に取り組んでまいります。学校においては、関連図書を配置し、児童生徒が相談しやすい環境の整備を行ってまいります。また、児童生徒の正しい理解を深めるために新たに教材を作成するとともに、教職員研修を継続してまいります。
 多文化共生のまちづくりと国際交流については、グローバル社会で活躍する人材を育成するため、国際友好都市への中学生派遣や受入などを推進し、国際的な視野を広め、異なる文化や習慣などへの理解を深めてまいります。また、全ての幼児児童生徒が学びやすい環境を整備するため、日本語理解が不十分な外国人の幼児児童生徒への支援として、「外国人児童生徒等受入事業」による適応指導員や多文化共生サポーターを派遣してまいります。

政策目標1 支えあいの心でつくる安全・安心のまち

施策目標1 安全・安心のまちづくり

主要施策3 交通安全と地域防犯の推進

 交通安全対策の推進については、児童生徒の交通安全意識の高揚と交通マナーの向上を図るため、市長部局や伊丹警察署との連携を強化し、全小中学校において「自転車交通安全教室」を実施してまいります。

政策目標2 未来を担う人が育つまち

施策目標1 子ども・若者・家庭・地域がともに育ちあう環境づくり

主要施策1 子どもの育ち・若者の自立を支援する環境づくり

 幼児教育の充実については、人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性を踏まえ、本市における幼児教育に共通の指針となるべき「伊丹市幼児教育ビジョン」の策定に着手してまいります。
 忍耐力や自己制御、自尊感情といったいわゆる非認知的能力を育成するため遊びを通した質の高い教育・保育を提供してまいります。また、豊かな感性を育むため絵本の読み聞かせや、体力の向上を図るため身体活動を充実してまいります。
 さらに、公私立幼稚園・保育所(園)・認定こども園の教職員・保育士の合同研修等を充実し、資質の向上を図るとともに、「保幼小接続期モデルカリキュラム」に基づき、就学前教育と小学校との円滑な接続を進めてまいります。
 今後の幼児教育のあり方については、学校教育審議会答申の趣旨を踏まえつつ、学校園関係者、市民等の意見を考慮し、「基本方針」及び「実施計画」を策定してまいります。
 さらに、新幼稚園教育要領等に掲げられている「幼児教育において育みたい資質・能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿」の周知に努めるとともに、家庭はもとより、幼稚園・保育所・認定こども園・学校・家庭・地域・行政の連携を強めてまいります。
 発達に支援を要する子どもの支援については、小中学校の特別支援学級及び通常学級に在籍する障がいのある児童生徒の学用品費、通学費等の就学に必要な経費を援助する「特別支援教育就学奨励事業」を実施してまいります。
 また、障がいのある幼児を受け入れる私立幼稚園に対しては、特別支援教育の振興を図るため、特別支援教育に要する経費を助成してまいります。
 子どもの育ちの支援については、子どもたちが地域社会の中で心豊かに健やかに育まれる環境づくりを進めるため、「放課後子ども教室事業」を実施してまいります。また、「子ども育成事業」として、子どもの創造性を育むため、公民館において「伊丹子ども市展」などの多様な体験活動を実施してまいります。
 若者の自立支援については、青少年の健全育成を図るため、少年愛護センターにおいて、関係機関と連携し、青少年や保護者等のための相談体制を充実してまいります。

主要施策2 家庭の子育て力を高める環境づくり

 家庭教育の推進については、子どもが安心して健やかに成長できる家庭や地域の環境づくりを支援するため、公立幼稚園で開催される「みんなのひろば」への家庭教育アドバイザーの派遣や、4か月児健診・3歳児健診や小中学校入学説明会時に、「草の根家庭教育推進事業」を実施してまいります。また、学校園・家庭・地域が連携して家庭教育の充実を図るため、「家庭・子ども支援地域ネットワーク事業」や「家庭の日だんらんホリデー事業」等を実施してまいります。公民館において、家庭教育学習や子育て中の親の交流の機会を提供してまいります。
 子育て支援の充実については、本を介して子どもと保護者が触れ合う機会を提供するため、保健センターでの4か月児健診時に絵本の読み聞かせを行い、その絵本をプレゼントする「ブックスタート事業」を実施してまいります。
 子育て家庭への経済的負担の軽減については、子どもの健やかな育ちを支援するため、子どもの将来が家庭の経済的状況等により左右されないよう、幼稚園・小中学校の教育段階に応じ、「私立幼稚園就園奨励費補助事業」や「就学援助事業」などを実施してまいります。また、教育に係る経済的負担の軽減と教育の機会均等を図るため、大学生等への「奨学金制度」や「入学支度金制度」において、より効果的な修学支援を行ってまいります。

主要施策3 子育ち・子育てを地域で支える環境づくり

 地域ぐるみの子育て支援については、学校園・家庭・地域・関係機関等が協働することが大切であり、子どもとの信頼関係を大切にした少年補導委員による補導活動を充実してまいります。また、「ひとの力」による地域ぐるみでの活動を充実するため、「安全・安心見守りネットワーク事業」による「安全・安心見守りカメラ」や「ビーコン受信器」等の効果的な活用と併せ、地域での声かけや見守りの大切さを市民に広く啓発してまいります。

施策目標2 子どもの生きる力を育む魅力ある学校教育

主要施策1 確かな学力の向上

 本市の児童生徒の学力は、全国学力・学習状況調査における学力調査の平均正答率において、小・中学校ともに、ほぼ全国平均並みでしたが、学力と相関の高い学習状況調査において、家庭における学習習慣に課題があることが明らかとなりました。
 自ら学び自ら考える力を育む教育の推進については、現状を把握して具体的な対策を講じるため、全国学力・学習状況調査及び伊丹市学習到達度調査を実施してまいります。また、本市における全国学力・学習状況調査等の結果を踏まえ、授業改善、学力格差の是正、家庭学習の充実に重点的に取り組んでまいります。
授業改善については、アクティブ・ラーニングの視点に立った「主体的・対話的で深い学び」を実践するとともに、「めあて」と「振り返り」など学習スタイルの確立を図ってまいります。また、全普通教室に配備した実物投影機や大型ディスプレイ等のICT機器の活用を促進してまいります。
 学力格差の是正については、少人数指導の実施、「学力向上支援教員配置事業」によるきめ細かな指導、「放課後学習」、「子どもサポーター派遣事業」を実施してまいります。
 家庭学習の充実については、宿題、予習・復習の定着、自主学習ノートの活用を促進してまいります。また、学校園・家庭・地域・ボランティア等の「横の連携」による「土曜学習事業」を充実してまいります。
 新たな社会への対応力を育む教育の推進については、教職員のICT活用能力向上のため、各学校園や総合教育センターでの研修を充実してまいります。また、子どもの思考力や表現力を高めるため、授業における子どものICT機器の活用を促進してまいります。
 外国語教育の充実については、令和2年度からの小学校での英語の教科化を見据え、これまでの小中連携の取組を踏まえて、学識経験者・校長・教頭・教諭・指導主事などで構成する「伊丹市英語教育検討委員会」を立ち上げ、準備を進めております。
 また、小学校教員への研修を充実させるとともに、計画的な教員の採用やカリキュラムの作成等、小中連携を促進してまいります。
 さらに、外国人英語指導助手(ALT)や小学校英語指導補助員(JTE)を派遣するとともに、教職員の英語指導力の向上を図るため、外部検定試験の受験を奨励してまいります。そして、生徒の英語力の向上を図るため、外部講師による「中学校英検特別講座」を実施し、実用英語技能検定等を推奨するとともに、全中学校において「英語能力判定テスト」をモデル実施してまいります。なお、外国人英語指導助手(ALT)については、効果的な英語教育を推進するため、これまでの5名から2名増員いたします。
 伊丹ならではの特色ある教育の推進における伊丹市独自の教科「ことば科」については、新学習指導要領における「育成すべき資質・能力」の1つの柱である「思考力・判断力・表現力等」の育成を図るために、モデルカリキュラムの作成に取り組んでまいります。
 「読書活動」については、子どもの読書活動を推進するため、学校司書の活用や、図書のデータベース化、学校図書館と「ことば蔵」との連携を充実してまいります。
 魅力ある市立高等学校づくりについては、選ばれる学校を目指し、伊丹高等学校の特色化・活性化を一層推進してまいります。進路の選択肢を広げるために、教職員による補習授業や外部講師による「放課後特別学習」等を充実してまいります。また、令和2年度から「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が導入される予定であることから、思考力・判断力・表現力等を育成するために、「グローバル人材育成事業」として卒業論文の作成など探究能力の充実を図るとともに、イングリッシュキャンプ等を実施してまいります。商業科においては、各種検定対策や地元企業、商店と連携した商品開発等の実践的な学びを充実してまいります。さらに、地域に開かれた学校を目指し、土曜公開講座の開講や、関係機関と連携した地域の活性化への取組を実施してまいります。また、授業や部活動等に必要な照度を確保すると共に、環境負荷の低減と光熱費を削減するために老朽化した体育館照明設備のLED化を図ってまいります。
 特別支援教育の推進については、基本方針「今後の特別支援教育のあり方について」に基づき、「インクルーシブ教育システム」の充実に向けた合理的配慮と基礎的環境整備を促進してまいります。また、すべての子どもにとってわかりやすい授業を実施するために、指導力向上に努め「教育のユニバーサルデザイン化」を推進してまいります。また、特別支援学校や特別支援学級のみならず、通常学級に在籍する支援を必要とする幼児児童生徒についても、十分な実態把握に基づき、個別の教育支援計画「ステップぐんぐん」の作成及び活用を促進してまいります。
 伊丹特別支援学校においては、本市の特別支援教育の中核的役割を担う特別支援学校として、障害の重度、重複化、多様化に対応するため、専門性の向上を図るとともに、学校園のニーズに応じたきめ細やかな支援を行うため、センター的機能の充実に努めてまいります。

主要施策2 豊かな心と健やかな体の育成

 豊かな心を育む道徳教育、情操教育の推進における「道徳教育」については、子どもたちの豊かな情操や規範意識、生命の尊重、自尊感情、思いやり等の道徳性を養うため、「道徳教育推進事業」における研究の成果を踏まえ、子どもたちが「議論する授業」を推進してまいります。また、授業公開及び授業研究会を実施し、子どもたちの成長を認め、励ます「評価」の研究を進めてまいります。
 「キャリア教育」については、教育活動全体にキャリア教育の視点を取り入れることにより、「現在の学びと社会とのつながり」及び「学ぶことの意義」に関する認識を深めてまいります。また、子どもたちが自らの生き方・働き方を考え、将来への夢や希望を持ち、それを実現しようとする主体的・能動的態度等を育成するため、小学校6年生から中学校3年生において、「キャリア学習ノート」を活用してまいります。
 「いじめ問題」については、「いじめ防止対策推進法」に基づき策定した「伊丹市いじめ防止等のための基本的な方針」に則り、いじめアンケートを年3回実施し、いじめをきめ細かく組織的に認知し、迅速にその解消に向けた取組を進めてまいります。また、「伊丹市いじめ防止等対策審議会」や「いじめ防止フォーラム」等における議論を踏まえ、いじめの未然防止に向けた組織的で実効性のある取組を推進してまいります。
 子どもたちが安心して通える学校体制の整備については、「スクールカウンセラー」や「スクールソーシャルワーカー」の積極的な活用等、「チーム学校」としての体制を充実するとともに、警察等関係機関との連携をさらに進めてまいります。また、学校生活に対する意欲と学級満足度を測るアンケート調査の活用や教育相談の充実を図り、日々の学校生活の改善やあたたかい学級づくりを進めてまいります。さらに、規範意識や自尊感情を高めるため、道徳教育の充実を図り、冒険教育プログラムの活用、保護者や地域、児童生徒の参画を得て、各校における「いじめ防止基本方針」の見直し等を行ってまいります。
 インターネットを介したトラブルについては、子どもたちが加害者や被害者にならないよう、スマートフォンや携帯電話等の使い方について、ネット問題に係る学習やリーフレット等により周知してまいります。また、子どもたちにトラブルを回避する力を身につけさせるため、各学校において、スマートフォンや携帯電話に関する適切な使い方について講演会等を開催してまいります。
 「不登校問題」については、わかる授業づくりや行事等を通して、子どもたちに意欲と達成感と感動を与え、学校が「心の居場所」となるよう努めてまいります。また、新たな不登校を出さないために、登校渋りの兆候が出始めた段階で、個々の子どもに応じた適切な対応を行ってまいります。さらに、「不登校対策共通実践事項」に基づいた取組の徹底や、「児童生徒の個人状況・学校対応状況シート」等を有効に活用してまいります。
 子どもの健やかな体づくりと部活動の推進における「体力の向上」については、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」を詳細に分析し、「体力・健康づくり推進プラン」に基づく体育授業の改善や体力向上推進員及び指導主事等の派遣、小中連携による体育授業、指導力向上を目指した授業研究会、スポーツバッジ認定制度の実施などを実践してまいります。さらに、運動の日常化を促進するため、業間・休み時間における「外遊び」を充実します。
 また、「部活動」については、中学校の運動部活動の振興と充実を図るため、外部指導者を適切に配置するとともに、県大会・近畿大会・全国大会助成などを実施してまいります。さらに、子どもの健康管理や教職員の負担軽減のため、「ノー部活デー」の実施を一層進めてまいります。
 健全な食生活の推進については、今月より新たに稼働した中学校給食センターにおいて、センター方式ならではの集中管理による食品衛生管理の徹底を図り、最新の調理機器による食材の良さを活かした栄養バランスのとれた温かくておいしい給食を全中学校に提供しております。さらに、学校給食を食育の生きた教材として活用するとともに、栄養教諭等による「食に関する指導」の実施や、児童生徒自らが学校給食の献立を作成し提案する「献立コンクール」等を実施してまいります。
学校給食におけるアレルギー対応については、小学校は平成29年4月から、中学校は平成29年6月から、アレルギー対応食の提供を開始しております。

主要施策3 信頼される開かれた学校園づくり

 学校園情報の積極的な発信と学校園運営への市民参画については、学校園・家庭・地域が一体となって、社会総がかりで子どもたちを育成するため、教育広報紙「教育いたみ」や教育情報紙「すくすくぐんぐん伊丹っ子」、学校園だより、学校園ホームページ、市ホームページ「教育長の部屋」等あらゆる媒体を通じ効果的かつタイムリーに、伊丹の教育の現状や課題等の情報を発信してまいります。また、学校園・家庭・地域の連携と協働を図るため、学校支援地域本部事業を推進し、順次「コミュニティ・スクール」を拡充してまいります。
 「学校評価」については、本市や自校の課題を改善し、開かれた学校を推進するため、評価項目を重点化し、数値目標を効果的に取り入れ、PDCAサイクルを確立してまいります。
 「カリキュラム・マネジメント」の実現については、新たに求められる「社会に開かれた教育課程」を編成するため、校園長会や教頭会、教務担当者会、研修会、学校運営協議会等において、新学習指導要領の趣旨等を積極的に周知してまいります。
 安全・安心な学校園づくりについては、安全で快適な学校園施設の充実を図るため、学校園施設の整備として小学校3校、中学校2校の大規模改造工事、小学校5校、中学校3校及び特別支援学校の空調設備改修工事などの老朽化対策の他、グラウンド改修工事等に取り組んでまいります。また、授業や部活動、生涯スポーツ等の活動に必要な照度を確保するとともに、環境負荷の低減と光熱費の削減を図るために、小学校6校、中学校1校の体育館照明のLED化を行ってまいります。
 通学路の安全の確保については、市長部局や伊丹警察署との連携のもと、改善が必要な箇所の迅速な改修を行うとともに、「まちなかミマモルメ」の効果的な活用や登下校時の交通安全指導など、ひとの力による活動を充実してまいります。また、全国瞬時警報システム、「J・アラート」や災害図上訓練等を活用した防災避難訓練の充実に努めてまいります。
 教職員の意識改革と資質の向上については、教職員の視野を広げ、学び続ける姿勢を育てるため、初任者研修、経年研修、ミドルリーダー養成研修、トップリーダー研修等を、教職経験に応じた事例研究や、協議・ワーク等の実践的内容で実施してまいります。また、体罰やセクシュアル・ハラスメント等の根絶、情報モラルの向上のため、個々の教職員の人権意識の高揚や具体的な事例を通した研修の充実を図り、学校園における組織的な指導体制を構築してまいります。さらに、いじめや不登校を未然防止できる教職員を育てるために、子ども、保護者との関係づくりや内面を理解するための研修を実施してまいります。
 教職員の人事管理については、ベテラン教職員の大量退職等に伴う指導方法の伝承等の課題に対応するため、新規教職員の計画的な採用や管内外及び校種間の人事交流により、積極的な人材確保に努めてまいります。さらに、管理職がリーダーシップを発揮し、教職員間の「同僚性の構築」を図ってまいります。また、主幹教諭を全校配置し、各校の組織マネジメントを強化してまいります。さらに、教職員のメンタルヘルスケア等、心身の健康の保持増進に努めるため、学校業務の効率化や定時退勤等の徹底による勤務時間の適正化を進めてまいります。また、教職員の勤務意欲の向上や服務規律の確保、及び管理職による個人面談等を行うとともに、優秀教職員表彰制度により他の模範となる教職員を積極的に顕彰してまいります。

施策目標3 ライフステージごとに学び活躍する人づくり

主要施策1 生涯にわたる主体的な学習の支援

 市民の主体的な学習や活動の支援については、社会教育の拠点施設である公民館において、地域社会の課題解決に取り組む「ひとづくり」に向け、人権・平和・環境・家庭教育・高齢社会への対応などの「社会の要請」に応じた多様な事業を、市民の参画と協働のもと実施してまいります。また、主体性を育む学びの機会を創出するため、人のつながりが生まれるような多様なスタイルの事業、学び手が企画に関わる事業を実施してまいります。さらに、市民の主体的な学習グループが安心して活動できる場を提供するとともに、学びを地域の絆づくりに役立てるため、公民館登録グループ地域派遣事業「まちなか公民館」を充実してまいります。また、職員を社会教育主事講習に派遣し、これらの取組を推進してまいります。
 社会教育施設等の効果的活用については、生涯にわたる主体的な学習を支援するため、利用者の利便性向上を図りながら、市民ニーズや社会教育施設の特色を活かした事業を展開してまいります。また、生涯学習センターなど指定管理者に管理・運営を委託する施設については、地域との連携を図りながら、市民の生涯学習活動を支援してまいります。
 図書館においては、本館「ことば蔵」、南・北・神津分館、西分室の5つの施設の図書館ネットワークを活かした運営に努め、市民の読書活動を促進してまいります。
 伊丹の特色を活かした学びの創出については、図書館本館「ことば蔵」において、市民の自発的・主体的な参画と協働による各事業を充実するため、誰もが予約なしで自由に参加し、話し合える「交流フロア運営会議」などを開催し、人と人とがふれあい・語りあい・学びあう「交流事業」を企画・実践してまいります。今年度は、講演会やコンサートなど、開館5周年事業を開催してまいります。
 博物館においては、市民が郷土伊丹に対して誇りと愛着を持てるよう、地域と連携した調査・研究事業を実施し、その成果を展示等で公開してまいります。また、伊丹の歴史・風土等を紹介する企画展の開催や、「新・伊丹市史」編纂に向けた歴史資料の整理に取り組み、研究紀要「地域研究いたみ」を刊行してまいります。さらに、博物館ボランティアとの協働による「あ・そ・ぼむかしのあそび」等の普及教育事業を実施し、「ことば蔵」の歴史・文化情報発信機能の一翼を担う出張展示や古文書読解講座を開催してまいります。

主要施策2 生涯スポーツの推進

 生涯スポーツの環境づくりについては、2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」に向け、青少年のスポーツの機会を充実し、体力を向上させるとともに、規律を尊ぶ態度や克己心を培うよう支援してまいります。また、市民の心身の健康保持・増進を図り、健康で活力に満ちた長寿社会を実現するため、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進や、安全を最優先にした施設の整備に努めてまいります。また、「伊丹市スポーツ推進審議会」において、平成30年度からの本市のスポーツ推進の指針となる「伊丹市スポーツ推進計画」を策定してまいります。
 伊丹の特色・資源・人材を活かしたスポーツ振興については、「なぎなたのまち伊丹」を全国にアピールするため、中学校保健体育科「武道」の領域において、全中学校で「なぎなた授業」を実施するとともに、「全国高等学校なぎなた選抜大会」を開催してまいります。

政策目標3 にぎわいと活力にあふれるまち

施策目標1 個性とにぎわいあるまちづくり

主要施策3 文化資源の保存・継承・活用

 文化財の保存と情報発信については、国史跡「有岡城跡」をはじめとする文化財の適切な保存・管理を行うとともに、将来の新伊丹市史編纂に向けた『博物館史料集』の刊行事業を進めてまいります。また、市内埋蔵文化財の保護・活用の拠点となる「伊丹市埋蔵文化財センター」の展示環境の充実や、子ども向けの体験学習、講座等を実施し、埋蔵文化財・歴史遺産の周知・活用を図ってまいります。
 文化財を活かしたまちづくりについては、毎年11月の兵庫県「文化財保護強調月間」にあわせ、昆陽寺や御願塚古墳などの文化財を保護・継承する市内文化財保護団体と連携し、講演会や史跡めぐり・史跡一斉清掃などの事業を実施してまいります。


 以上、平成29年度の教育基本方針について、ご説明申し上げましたが、伊丹の教育のさらなる充実・発展を目指し、全力で取り組んでまいりますので、ご理解・ご支援賜りますようお願いいたします。

この記事に関する
お問い合わせ先

教育委員会事務局教育総務部教育政策課
〒664-8503伊丹市千僧1-1(市役所2階)
電話番号072-784-8081 ファクス072-784-8083