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令和元年度国土交通省・ANA機体工場

1.(1)要望出張者
  議長   佐藤 良憲
  副議長  山本 恭子
  委員長  竹村 和人    委員 戸田 龍起
  副委員長 大津留 求     〃   小西 彦治
  委員   上原 秀樹       〃   永松 敏彦
   〃     吉井 健二     〃 花田康次郎
   〃     高塚 伴子    

 (2)視察出張者
  委員長  竹村 和人     委員 戸田 龍起
  副委員長 大津留 求          〃   小西 彦治
  委員   上原 秀樹      〃   永松 敏彦
   〃     吉井 健二      〃   花田康次郎
   〃     高塚 伴子    

2.要望及び視察先
  国土交通省(1月22日)
  ANA機体工場(1月23日)

3.要望・視察日 令和2年1月22日(水)~23日(木)

4.用  件 (1)大阪国際空港に係る諸対策について 別添要望書のとおり
      (2)ANA機体工場における安全対策への取り組みについて


◎1月22日(水) 午後1時30分~

 国土交通省に対する要望運動について

○ 谷澤事務局長の司会進行で開会され、初めに佐藤議長からあいさつがなされたあと、副議長、委員長、副委員長、各委員の順に紹介を行った。
 次に、国土交通省航空局空港業務課の石山課長からあいさつがなされ、続いて、航空局職員の紹介がなされた。
 次に、竹村委員長からあいさつがなされ、空港業務課長に対して要望書が提出されたのち、竹村委員長から要望書の内容について説明がなされた。

○ 次に、空港業務課 有岡 空港周辺地域活性化推進室長から要望内容について、以下のとおり順次回答がなされた。

1.大阪国際空港のあり方について
(1)本空港が市街地にあるという特性を十分に認識されるとともに、歴史的経緯を重く受けとめ、国が責任を持って安全・環境対策には万全を期すこと。
     特に、安全・環境対策について新関西国際空港株式会社(以下「新関空会社」という。)及び関西エアポート株式会社を指導・監督すること。
(2)関西圏の経済・文化・観光の発展をめざし、本空港が我が国有数の基幹空港として利用者利便にも配慮した運用を図るよう新関空会社及び関西エアポート株式会社を指導・監督すること。
(回答) (1)の安全・環境対策は、経営統合法に基づく基本方針において、平成2年の存続協定の趣旨に則り、引き続き、騒音の影響に配慮した空港運営を行うとともに、空港の周辺における安全・環境対策を着実に実施することとされている。国土交通省としては、これらの対策の着実な実施について、新関空会社及び運営権者である関西エアポート株式会社に対して、法令に基づき適切に監督していく。
(2)については、新関空会社及び関西エアポート株式会社が経営統合法及び経営統合法の基本方針による、関西空港、伊丹空港の適切かつ有効な活用による関西の航空輸送事業の拡大等という目的を、国土交通省としては、そのような目的に沿った運用の着実な実施について、新関空会社及び運営権者である関西エアポート株式会社に対して、法令に基づき適切に監督していく。

2.安全対策の一層の充実について
(1)航空機の安全運航の確立に最優先で取り組むとともに、地上の安全対策の充実強化と不慮の事故による被害者への補償制度を確立すること。
(2)運航トラブルの原因究明と航空会社へのトラブル防止の指導を徹底すること。
(3)航空機からの落下物については、航空会社に対する原因究明と再発防止の指導を徹底し、落下物対策総合パッケージに盛り込まれた対策を確実に実行するよう指導・監督すること。
(4)航空に関する規制緩和に当たっては、安全の確保を最優先すること。
(5)軍用機が本空港に離発着した場合には、速やかに情報提供すること。
(回答) (1)~(4)については、航空の安全は航空行政の最重要課題であり、航空会社等に対して指導・監督するとともに、業務の一層確実な遂行を図っていく。
 特に航空機からの落下物については、落下物の未然防止の観点から、落下物対策基準を策定し、日本の航空会社及び日本に乗り入れる外国の航空会社に対し落下物防止対策の義務付けを行っている。引き続き落下物対策を関係者と実施するとともに、落下物ゼロを目指して最大限取り組んでいる。
 また、航空に関する規制の見直しついては航空機産業の発展、技術の進展、国際基準の見直し等、航空を取り巻く環境を踏まえ、安全確保を最優先とし、適時かつ適切に対応する。
(5)については、関係機関と連携しながら適切に対応していく。

3.騒音・環境対策の推進について
(1)航空機騒音に係る環境基準の早期達成を図ること。
(2)新鋭低騒音機の積極的な導入の促進など発生源対策の充実を図ること。
(3)逆発着対策を推進するとともに、騒音軽減につながる飛行経路の検討を行うこと。
(4)本空港周辺整備の推進を図るための必要な予算を確保するよう新関空会社及び関西エアポートを指導・監督すること。
(5)民家防音工事及び教育施設等の助成等制度の維持・拡充を図ること。特に、住宅騒音防止対策事業費補助金交付要綱における「更新工事3.」では、高齢化、社会的家族構成の変化等に対応するため、一人世帯も助成対象とすること。また、「更新工事3.」で設置した機器が設置後10年以上経過し、所要の機能が失われていると認められた場合の補助の方針を早期に示すとともに、対象区域住民への丁寧な説明を行うこと。
(回答) 騒音・環境対策については、経営統合法に基づく基本方針において、平成2年の存続協定の趣旨に則り、引き続き騒音影響に配慮した空港運用を行うとともに、空港の周辺における環境対策を着実に実施することとされており、国としても新関空会社及び運営権者の経営判断をできる限り尊重しつつ、法令に基づき適切に監督していく。

4.空港機能の活用と地域振興支援について
(1)国際チャーター便の規制を撤廃すること。
(2)利用者から要望の多い国内長距離路線、生活路線、国際チャーター便を含めた航空ネットワークの充実により、利用者利便の向上を図ること。
(3)本空港周辺地域のまちづくりを支援し、地域振興を図ること。
(4)本空港への定時性確保のため、本市側からの交通アクセスの整備を図ること。
(回答) 伊丹空港を含む関西3空港については、関西経団連会長、大阪府知事、兵庫県知事、神戸市長といった地元関係者による長い協議の結果、役割分担や運用のあり方について、平成17年に合意形成に至り、その地元合意により運用されている。昨年開催された関西3空港懇談会ではこれまでの3空港の役割を確認しつつ、将来の航空需要の拡大に対応し、関西全体の発展や取り組みについてとりまとめられたところである。伊丹空港については、存続協定を前提に地元関係者と対話しながら取り組みを進めることを基本に、将来の大幅な需要を踏まえ、国際線の就航可能性について検討することとされている。まずは地元関係者で十分に議論していただくことが重要と考える。
  新関空会社について、平成26年3月に、伊丹市域におけるまちづくりの推進に関する基本合意及び大阪国際空港周辺場外用地の取り扱いに関する覚書を締結した。現在は、関西エアポート株式会社が合意を踏まえ、移転補償跡地の利活用等も含めて、生活環境改善、地域コミュニティの再生等に取り組んでおり、新関空会社もこうした取り組みが着実に実施されるように、モニタリングを行っている。
 空港への定時性と航空アクセスの確保は、航空利用者の利便性を向上する観点から大切な要素であると認識している。伊丹空港ではアクセス向上の方策の一つとして新たに635台収容可能な北側立体駐車場を整備されている。国としては、利用者利便向上の観点からだされる民間の取り組みを尊重し必要な協力していく。

5.基本方針の見直しについて
(1)関西3空港懇談会取りまとめにおいて合意された発災時の3空港相互支援体制の構築が可能となるよう、「空港の設置及び管理に関する基本方針」及び「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針」を見直すこと。
(2)「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針」の中で記載されている「廃港も含め」の文言を削除すること。
(回答) 基本方針において、関西空港の国際空港の拠点としての機能の熟度、関西の空港輸送需要の動向、その他両空港を取り巻く状況の変化等を踏まえ、適時かつ適切に見直すものとするとされている。また、見直しに当たっては、経営統合法に定められているとおり、兵庫県知事、大阪府知事等をメンバーとする運営協議会の意見を聞くこととされている。国土交通省としては、これらの規定に則り適切に対応していく。

○ 次に、質疑応答が行われた。
(問)1.騒音について、騒音の推移は平行か、場所によっては上がっている。また、航空機の回り方が小回りになっており、航路の内側の住民からの苦情を聞いている。これらの騒音対策について伺う。2.軍用機の発着について、情報提供は関係機関とはどこで、どのような連携をするのか。
(答)騒音については劇的に改善している状況ではない。低騒音の新しい機体については着陸料の引き下げなどで誘導している。ボーイング787の国内使用について騒音対策として伊丹線を選んだ会社もある。できる限り低騒音の機体を誘導していきたい。内回りについては、過去はルートを逸脱するということはあった。今はルートの中を分散する設定になっている。また、ナビゲーションシステムによりコントロールはされていると考える。
米軍機については国土交通省の直接的な管轄ではないが、着陸した時刻や離陸した時刻、閉鎖や運航の遅延について関係省庁と連携しながら地元の方々に情報提供していく取扱いをしている。どのようなトラブルが発生して着陸したかは米軍との合意がない限り情報の提供ができないと聞いている。国土交通省には緊急事態であるとの連絡が入る。
(問)発災時に国際線を伊丹から飛ばすとなると税関設置にどのくらい時間がかかるのか。
(答)できる限り速やかにできるよう働きかけるが、具体的な期間についてはわからない。
(問)落下物対策総合パッケージにおいて具体的にどのような内容を各航空会社に義務付けているのか。
(答)修理項目のうち、落下物対策に資するものを集め、日本や海外の航空会社に周知している。また、部品だけでなく、水が溜まりやすい場所などについても点検をするよう取り組んでいる。
(問)落下物対策総合パッケージの導入により落下物の件数は減ったのか。
(答)集計の方法が変わったので一概に比較はできない。落下物があった場合には、航空会社に原因分析を行わしており、その分析結果については、同機種を所有している会社に周知している。
(問)落下物についての補償はどのようにしているか。
(答)落下物については航空会社において補償をしている。また、落下物の原因航空機を特定できない場合の救済制度もある。

○ 最後に、竹村委員長より閉会のあいさつがなされた。

 

◎1月23日(木) 午前9時15分~

ANA機体工場における安全対策への取り組みについて

初めに、元整備士と整備センター技術部職員から落下物対策取り組み全般について説明がなされた。

<説明の概要>
〇落下物に対する取り組み
 落下物対策については最近注目されているが、取り組み自体は昔からずっとやっており、防止対策については結果をだしている。
ANAは268機を運航している。落下物についてはカテゴリーが3つある。全てを防止するのが重要だが、大きなものや落下することが多いものについて重点的に対策をしている。落下物があった場合は、品質管理部に情報が入る。その場合、他の機体を飛ばしていいのかや、他の機体に波及するものかなどの判断がされる。
 過去どのようなものが多く落下しているかというと、1番はスクリュー(いわゆるネジ)である。パネルなどあらゆる場所がスクリューで止められている。一番落ちるのはエンジン近くのパネルのスクリューである。これは、エンジン部分の振動が高い(ハイバイブエリア)からである。対策として、スクリューの落ちやすい部分を集計し、その部分のナットの整備を強化するなどをしている。2番はライトレンズである。これは、機体のライトであるが、そこに石や鳥などがあたるとガラスが割れて、落下する。対策として、新しい塗料を開発し、割れてもガラスが落ちないような実験を現在行っている。3番は、タイヤがでる部分にあるゴムのシールである。開けた際に風で飛ばされることがある。この対策として、以前は、はりがねでとめていたが、今はボルトナットでとめている。他には、スタティックディスチャージャーという静電気を放出する部品である。飛行中に雷が直撃し、なくなっているというケースが多い。対策として、雷があたっても落ちない接着剤を使用するという取り組みを行っている。また、タイヤに張っているゴムが滑走路上に落ちることもある。
このように、大きいもので落下しているものはシールやアルミのテープなど軽いものが多い。
 今、一番苦労しているのは、機体の先端に入っているアルミの棒(雷を逃がすためのも)が落雷によりなくなることである。雷自体を避けることが難しいため対策に苦労している。
 また、水が溜まって氷になることを防いだり、海外の事例などを学び啓蒙している。
 以上が落下物対策として行っているさまざまな取り組みの一部である。

〇この後、機体工場内に移動し、各部品について視察を行った。
                                                                                以上

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