1.視察出張委員
委員長 小西 彦治 委員 竹村 和人
副委員長 上原 秀樹 〃 大津留 求
委員 吉井 健二 〃 永松 敏彦
〃 高塚 伴子 〃 花田康次郎
〃 戸田 龍起
2.視 察 先 愛媛県庁
3.視 察 日 令和2年1月23日(木)
4.調査事項 下記報告のとおり
<愛媛県での病院統合・再編について>
初めに、小西委員長が視察を受けていただいたことに対するお礼を述べた後、愛媛県議会事務局次長から歓迎のあいさつを受けた。続いて、愛媛県公営企業管理局県立病院課長から事前に送付した質問事項について説明がなされた後、質疑応答がなされた。
(愛媛県での病院統合・再編について)
1.愛媛県として3つの医療機関を再編する契機となったのはどんな事情からか。
⇒県では、行財政改革の柱の一つとして、県が直営する公の施設の見直しを掲げ、平成17年10月に公の施設のあり方検討部会を設置し、その中で、県立三島病院においては、「地域医療資源や患者の動向、さらに、中長期的かつ現実的な収支見込等の詳細な分析に加え、県立病院全体の経営改善も視野に、大局的見地から、再度、今後の方向性についてあらゆる選択肢を検討する。」という見直し方針が出された。また、医療を取り巻く環境として、平成16年度に医師の新臨床研修制度の義務化により、病院事業を取り巻く環境が一層厳しくなり、県公営企業管理局では、平成21年8月に愛媛県立病院第3次財政健全化計画が策定され、県立三島病院の移譲を契機に民間病院を主体として、集約による中核病院の形成が解決策とされた。中核病院の形成に向けて、公募型プロポーザルを実施し、優先交渉権者を公立学校共済組合とした。また、県行政としては、平成21年11月に、「維持・存続が困難な状況にある県立三島病院に残された医療資源を、圏域内の他の二次救急病院に分割移譲し、これら病院の医療機能を質・量ともに向上させることにより、高度・専門医療への対応や医師の定着化が可能となる複数の中核病院を新たに形成する。」ことを目的とし、宇摩圏域地域医療再生計画を策定した。各種事業として、1.県立三島病院の一般病床を四国中央病院と石川病院に振り分け、一般病床の増床を行う。2.四国中央病院は、県立三島病院施設等の譲渡(又は貸与)を受け、同病院を新たに三島医療センター(仮称)として改修し、増床後の四国中央病院の分院として位置づけ、両病院の一体的な運営に努めることにより、診療機能の強化や医師の集約化を図る。また、将来的には、本院を三島医療センター(仮称)の場所に移設・統合することにより、中核病院の形成を目指す。等とされた。
2.公立学校共済組合として、再編への意向はどうだったのか。
⇒公募内容が、将来の中核病院建設を見据えたものであり、公立学校共済組合からも同様に、将来、三島地区に中核病院を再建築したいとの提案があった。
3.3医療機関全体で103床減少となるが、当時の医療圏域における医療需要調査結果をどのように踏まえたか。2040年まで医療需要は増えると予測されるが、このことも踏まえた結果なのか。
⇒当初、再編統合計画では新居浜病院は含まれていなかった。地域医療再生計画を推進する推進協議会を四国中央市が設置し、平成22年9月に新居浜圏域も含めた統合再編の提案がなされた。宇摩圏域で病床数がオーバーするため、隣接する新居浜病院の病床数を削減するということで再編が進められた。
4.県立三島病院が公立学校共済組合に移行する際、病床数が大幅に減少することになったが、どういう事情があったのか。
⇒許可病床は183床であったが、平成20年から稼働病床数は110床で運用していた。平成21年の1日平均入院患者数が78人であり、これらのことから、過大に病床があっても看護師の配置等も困難なため70床からのスタートとなった。
5.再編によって愛媛県、住民にとって、それぞれどんなメリット・デメリットがあったのか。
⇒県としては、200床程度の病院では診療機能に限界が生じており、医師の派遣等も期待できないことから、再編により持続可能な圏域内完結型の医療体制を確保できるというメリットがあった。住民にとっては、再編により病院が存続することで、いざという時に迅速に必要な医療を受けることができるというメリットがあった。ただし、懸念として将来的に建設される中核病院の整備時期が不明確で不安という声があった。
6.地域住民の再編に対する反応はどうだったのか。
⇒地元住民への説明会で、将来的に建設される中核病院の整備時期が不明確で不安という声や、今後の医師等の人的支援についての意見があった。再編の反対運動として、移譲撤回を求める署名活動もあった。
7.再編後約5年が経過しているが、現在における再編に対する住民の反応はどうか。
⇒現時点では、当局に対する反応はない。
8.県立病院として病床数は減少したが、経営上問題はないか。
⇒譲渡に伴う病床数減少による経営上の問題はない。
9.それぞれの病院において、高度急性期、急性期、回復期はどのくらいの病床数になっている
のか。
⇒平成30年度宇摩圏域の病床機能報告での病床数は、県立新居浜病院:高度急性期30床・急性期260床、公立学校共済組合四国中央病院:急性期170床・回復期59床・精神46床、公立学校共済組合三島医療センター:70床である。
<質疑応答>
(問)県立三島病院の譲渡後、公立学校共済組合に対し、県が希望する医療提供ができるような何かしらの調整等はあったのか。
(答)人的支援では、三島病院長をそのまま三島医療センターへ派遣し、診療支援や病院経営を行った。また、看護師等の病院職員においては、希望者は身分を変更し三島医療センターに残っていただいた。診療支援では、県立中央病院から診療応援を行った。
(問)公立学校共済組合は公的病院ではあるが、給与や待遇面等がやはり違ってくると思われる。公立学校共済組合四国中央病院へは何名移ったのか。
(答)医師以外の職員107名中、公立学校共済組合四国中央病院へ再就職を希望していた47名中30名が採用された。県立病院での勤務を希望する者については、県立新居浜病院や県立中央病院へ転勤する選択肢があった。
(問)107名の職員は公務員だと思うが、看護師ではなく事務職への異動を希望する者はいたか。
(答)職種転換はない。
(問)土地・建物は有償譲渡となっているが、公立学校共済組合が希望する金額だったのか。
(答)交渉によって合意した金額である。
(問)今後、新病院に対する県からの建設資金援助はあるのか。
(答)特には考えていないが、今後、中核病院の形成が具体化してきたら、地域医療再生計画の中で資金援助があるのかどうかの検討もすると思われる。
(問)県立三島病院を譲渡することで、県全体の県立病院としての採算性は変わったか。
(答)譲渡前は、県立三島病院で約123億円の累積赤字を抱えていたが、譲渡後は県立病院全体の決算でやっていくということである。
(問)県立三島病院は大規模改修等しているのか。
(答)公立学校共済組合に譲渡する際は、公立学校共済組合が使いやすいよう地域医療再生基金を投入し改修を行った。
(問)2025年に350床規模の新病院ができると、県立新居浜病院に影響があるのではないかと思うが、県立新居浜病院との関係はどのように考えているのか。
(答)圏域が異なるためそれほど影響はないと考えている。現在、宇摩圏域から県立新居浜病院に通っている患者は10%もいない。
(問)県立新居浜病院が現在建て替え中だが、病床数はどのようになるのか。
(答)平均在院日数が短くなっていることから、新病院については現在より病床数を削減する。
(問)回復期の病床は足りているのか。
(答)回復期の病床数については、地域の中で回復期を担う病院があるならばそこに委ねるという考え方になるため、一概にいくら持つとはいえない。
(問)市立伊丹病院では、院長自ら大学病院に出向き医師の確保に努めているが、そのようなことは行っているか。
(答)行っている。公営企業管理局県立病院職員も同行し、医師派遣のお願いをしている。
(問)大学病院はいくつあるのか。
(答)ひとつである。
以上
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