英語部門あやみです( ´ ▽ ` )ノ
私達が英語部門で使っているB.B.カードは【
全体から個へ】の学びを子供たちに提供しています。子供たちはざっくりと与えられた【全体】から、自分の興味や能力に合わせて、個々に必要な力を伸ばしていきます
だから、
どの子も必ず何かが伸びるのです
そんなメソッドを採用しているにも関わらず、当教室では、文字の一つ一つの音を習得するところから始める【phonics】を取り入れています。
私自身、【簡単なものから一つ一つ丁寧に】的な手法は子供の能力を侮っているようで好きではないし、【phonicsが出来ないと単語が読めませんよね(書けませんよね)
】というご意見にはウンザリしています。
それなのに、5年ほど前から自分なりのphonicsを取り入れてきました。
『それは全体から個へではないじゃないか』というご指摘をいただいても、phonicsをレッスンから外すという選択をしなかったのです。
そのことが自分でも不思議だったのですが、【phonicsは止めない】と頑なに思い続けた理由が、やっとわかりました
(「わかった」というより、「思い出した」です)
きっかけは、夏期講習に参加中の小2生。
今から7年ほど前、聞き取る力の弱い子が教室にいたのですが、五年生の彼は、聞き取る力が弱いことが原因で学校の成績も上がらず、理解力が乏しいとされていました
実際には、状況判断がとても早く、人間的にも多くの人に好かれる明るさを持ち、勉強からも逃げずに努力していたにも関わらずです
明らかに記憶のステップや、物事に対する反応が他の子と違いました。
私達はできる限りの手法を使って、怒ったり発破をかけたりなだめたり励ましたり褒めたりしました。
彼も私たちの指導や自分の弱さから逃げることなく、怒られても、理解出来ずにしんどい時期でも、宿題を忘れても、休むことなく必死でついてきてくれましたが、それでも、何も変わりませんでした
そこで、その当時頻繁に交流のあった発達障害専門の先生に相談し、彼は適切に音を聞き取れていない、ということが発覚したのです。
眼鏡をかけている彼を見て、てっきり視覚に問題があると考えていた私でしたが、彼の問題は聴覚でした
音が聞こえる・聞こえないではなく、正しく聞き取れていなかったのです
そこからは、その専門の先生にご意見をいただいたり、発達障害についての講座を受けたりしながら、いかに彼に音の違いを伝えるかの試行錯誤の日々でした
【発音できる音は聞き取れる】ということを前述の先生から聞き、私自身もsとthの音の違いを練習することで、【発音できれば聞き取れる】を体感していたため、彼にも口の中を説明し、正確に音を出す訓練を始めたところ、それまで区別がついていなかった『カ行』と『タ行』を聞き分けられるようになり、それをきっかけに、どんどん聞き分けられる言葉が増えていきました
すでに11年間も言葉を曖昧に過ごしてきた彼は、『言葉には個々に意味がある』というのことを肌で感じることができずにいましたが、他の人とは違う自分の弱さを知ることで、それを持ちながらも社会で生き抜く方法を開拓し、持ち前の根性と人当たりの良さから、念願の公立高校への推薦入学を決めたのでした
賢い彼は、小1から始めた英語のレッスンで、他の人の目線、言葉遣い、空気感から正しいカードをいち早く当てる能力もあったため、耳の特性に気付くのが遅くなってしまったのですが、もっと早く気付いていれば、彼は言葉をもう少し冷静に判断し、漢字の意味に気付きながら、学校で良い成績を残せたかもしれません
この後悔から、
AYS的ユルユルphonicsを始めたのですが、それ以降、通ってくれていた子供たちが、早い時期に英単語を読めるようになっていきました
と同時に、私達にとっても視覚や聴覚の特性を早々に発見しやすくなり、その特性に気を配りながらレッスンすることが可能になったのです
そしていつしか、なんとなくphonicsをするのが当たり前になっていきました。
今回の小2生の症状は、見事にあの時の気持ちや状況をフラッシュバックさせてくれました
phonicsを始めた理由をハッキリ思い出したことで、今後は、子供たちの成長にとって必要かそうでないかを見極めながら、省けるところは盛大に省いていこうと思います
夫れ戦勝攻取して 其の功を修めざるは凶なり
彼と一緒にもがいてせっかく得た解決策に固執し、本来の目的を忘れてしまっていた自分を反省し、今後も、
子供の自立を最大の目標に、指導を進めていきたいと思います
※ 写真は中学生の修学旅行のお土産。弟くんが持ってきてくれました