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男と女の「おかしな!?」ハナシ

避難所に「男女共同参画の視点」?

女性の身を守る、つまり命を守るための対策

あなたの身の回りにも時々起こる、
「これってどうなの?」
「おかしくない?」という話。
このコーナーでは、毎回、
「男と女のちょっとおかしな!?ハナシ」を、つぶやいてもらいます。

避難所に「男女共同参画の視点」?

今回のつぶやき主は大志さん。
自治会の役員会で、
今年実施する防災関連の事業について話しています。
明美:昨年は、命に関わる猛暑に、大きな台風、それから大阪府北部地震、島根県や北海道の地震、そして豪雨や豪雪など、起こった災害は数え切れないですね。
 我が家も、避難袋の中身を見直しましたよ。

大志:毎年おこなっている自治会の防火訓練に、今年は防災研修も追加しませんか?
 実は、親戚が九州の役所にいるんですが、「避難所の環境に留意するように」と内閣府の防災担当から通達が来た後に、別途、「男女共同参画の視点を入れて」と連絡が入ったそうなんです。
 自治会としても、そんな内容をわかっておいた方が良いように思うのですが。

平祐:避難所に男女共同参画の視点って、どういうことですか? 
 お年寄りや病気の人に配慮するとか、間仕切りをするのはわかるけど。
 おむつや粉ミルクを用意するってことなんでしょうか?

昭子:それだけじゃなくて、下着を干す場所や、着替え、授乳の場所だって困ります。
 また、災害時には性暴力被害がかなり増えるそうなので、避難所での対策は、大事だと思うのです。
大志:そんなこと、これまで全く気がつきませんでしたが、みなさんと一緒に話をすることで、例えば、自治会で防犯ブザーを配るとか、避難所の部屋割りとかレイアウトとか、トイレ周辺を明るくするとか、私たちができることが見えるかと思います。

平祐:分かりました。
 では、どのような研修をしたら良いのか、市役所に行って相談してみますね。
◆平祐のつぶやき・・・
役所に行って相談し、防災・減災に関係するいろんな資料をもらってきた。
授乳室、更衣室、トイレ、休憩スペースなど、女性に対する配慮について、初めて気づいたよ。
これまではニュースを見ながら「非常時だからわがままを言うな」とどこかで思っていたけれど、「女性の身を守る、つまり命を守るための対策です」と言われ、ハッとしたな。
皆にも知ってもらうために、しっかり研修をしたいな。

◆昭子のつぶやき・・・
避難所で、女性用物資が足りなくなったり、授乳や着替えの場所がなかったり、当然のように女性が食事当番とか、そんなことにならないように考えるのは当然なんだけど、女性だけではなく、高齢者、乳幼児のいる家庭、病弱な人、外国の人など、多様な人に対して配慮することが必要よね。

◆大志のつぶやき・・・
ウチの自治会では、これまで防火訓練も男性が中心になってやってきたけれど、平日の昼間に災害が起こったとしたら、家にいるのは女性が多い。
それに、災害が起こった時には役所はとても手が回らないから、自分たちでちゃんと避難所の運営ができないと、不幸は自分たち自身に降りかかってくる。
いざという時のために、普段から男女一緒にしっかり考えることが、とても重要なんだな。
ミニ知識 
~各地で全国に広がる「避難所運営ゲーム(HUG)」~
 
もし、あなたが避難所の運営をしなければならない立場になったとき、最初の段階で殺到する人々や出来事にどう対応すれば良いのでしょうか。 
「避難所HUG」は、避難所運営を皆で考えるためのひとつのアプローチとして静岡県が開発したものです。
避難者の年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。
プレイヤーは、このゲームを通して災害時要援護者への配慮をしながら部屋割りを考え、また炊き出し場や仮設トイレの配置などの生活空間の確保、視察や取材対応といった出来事に対して、思いのままに意見を出しあったり、話し合ったりしながらゲーム感覚で避難所の運営を学ぶことができます。
HUGは、H(hinanzyo避難所)、U(unei運営)、G(gameゲーム)の頭文字を取ったもので、英語で「抱きしめる」という意味です。
避難者を優しく受け入れる避難所のイメージと重ね合わせて名付けました。

参考:静岡県地震防災センター・HUGってなあに?
http://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes/manabu/hinanjyo-hug/about.html

横からちょっと言わせて

弁護士で、不惑を越えてからの子育てに奮闘中の中村衣里さん
弁護士で、不惑を越えてからの子育てに奮闘中の中村衣里さん
近い将来、日本列島に甚大な被害をもたらす可能性が言われている「南海トラフ地震」。
先日も、この巨大地震が起きる可能性が高まった場合に、私たちがどのような行動をするべきかについて検討をした国の検討会による報告書が発表されました(内閣府中央防災会議ワーキンググループ)。
この報告書に関するニュースを映像で見ていますと、その検討会の様子(会議が始まる前に委員等が着席している状況)が映し出されていました。
私自身、以前から、国や自治体等が様々な施策を決めるにあたってその方向性について話し合いをする審議会や検討会等のメンバーに、どのような女性たちがいて、会議に占める女性割合はどのくらいなのかということに関心があります。
しかしながら、今回のニュース映像でも、報告書を発表したワーキンググループのメンバーの顔触れに占める女性割合は、少ないものでした(内閣府の資料によれば、19名中4名(21%))。
国は、2013年5月に、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」を定めています。
この策定の背景事情のひとつには、東日本大震災において、衛生用品等の生活必需品が不足したり、授乳や着替えをするための場所がなかったり、「女性だから」ということで当然のように食事準備や清掃等を割り振られた避難所も見られた、ということがあったそうです。
その取組指針の中には、「防災対策に男女共同参画の視点を反映するため、地方防災会議における女性割合を高めること」と定められています。
また国は「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度にする」との目標を掲げています。
地震の防災対策は、日本に住むすべての人(全人口の約半数が女性であることは周知のことです)にかかわる事柄ですので、国や自治体の防災施策の方向性を左右する地方防災会議においては、女性委員の割合が30%という数字でも少なすぎるとさえいえるかもしれません。
しかし現実の数字を見ると、平成29年度における地方防災会議における女性比率は、都道府県で14.9%、市町村で8.1%。兵庫県では55人中6人、10.9%にとどまっています(平成30年版防災白書)。
確かに「女性」だからというだけで、すべての「女性委員」が、たとえば避難所生活で起こりうる問題、課題について、生活実感に基づいた、解決に結びつく提言ができるとは限りません。
一方で「男性委員」からであっても、ジェンダーの視点をもった、配慮の行き届いた声が届けられることももちろんあるでしょう。
しかし残念ながら、私たちの社会では、女性にとっても、男性にとっても、それぞれが生まれ、育ってきたあらゆる生活、環境の中にジェンダー(社会的に作られた性差)が組み込まれており、無意識のうちに多くの人が、女性ならでは、男性ならではの体験を積み重ねてきてしまっています。
そして多くの場合、他者(たとえば女性)が感じるジェンダーの問題を、もう一方(たとえば男性)が真の意味で理解、共感できるかといえば、一方の(社会的な意味での)性に基づく体験がないがゆえに難しいことです。
だからこそ、社会の半分を占める女性たちにもしっかりと寄り添った施策が作られるためには、同じようなジェンダー体験を積み重ねてきたであろう女性が一定の割合で関わることが必要なのです。
5%や10%といった少ない数字の女性(その中でもジェンダーの問題を意識している女性)が何らかの発言をしたとしても、それは単なる少数派が、例外的な話をしているに過ぎないと捉えられかねません。
そこで、国が目標値として掲げる「30%」という数字の登場です。
政治学の世界では、少なくとも女性が30%を超えることで、そこに「質的な転換」が起こり、これまでの社会では見向きもされなかったことが、社会全体のルールに変わっていく可能性を持つと言われています。
先の「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」は、東日本大震災でのジェンダーに関わる諸問題を背景に策定されました。
しかし実はこうした事象は、私たち兵庫県内に住む人々が経験した、1995年1月の阪神・淡路大震災においても同じように発生していました。
少なからずの女性たちが、書籍やシンポジウム等でそのことを発信していましたが、国や自治体の防災対策には活かされていませんでした。
国や自治体の施策の方向性を決めるべき場所において、影響力のある立場から、一定程度の割合をもった「声」として、こうした発信内容を届けていかなければ、残念ながら社会は何も変わらない、変えることはできない。
女性たちの声を真の意味で社会に届けていくことはできないのです。
指針ができたことはひとつの成果でしたが、もうすこし遡って、違った視点から見てみると、そのような社会の仕組みの問題点、あり方を示したひとつの例だと言えるかもしれません。
防災、避難所のテーマに関連して、審議会、委員会等のジェンダー構成、女性の割合について、お話をさせていただきました。
ぜひこれからは、ニュースにこうした会議の場面が映ったときには、「この会議には女性はどのくらいいるかな?」という視点からも見て、関心を持っていただきたいと思います。

<参考リンク先>
・男女共同参画の視点かの防災・復興の取組指針
http://www.gender.go.jp/policy/saigai/shishin/index.html

・平成30年版防災白書
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h30.html
原稿担当 : NPO法人 あなたらしくをサポート(愛称:らしーく)
イラスト : 林やよい

※このイラストを利用されたい場合は「NPO法人あなたらしくをサポート」nporasiku@gmail.com までご連絡ください。

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