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伊丹市ポータル「いたみん」

2章 まちづくりの現状と課題

(1)市民の現状と課題

1,他人任せにする気持ちが強くなかっただろうか

市民の中には、地域のまちづくりの課題について行政にいえばなんとかしてくれるだろうと思っているところがあります。行政が主導してまちづくりを進めてきた現状では、市民が自分たちの問題として捉える意識が充分育っていなかったような気がします。また、積極的に活動している市民と無関心な市民の温度差があることも否めません。今後市民が主体になってまちづくりを進めるためには、市民自らが自分でできることはなにかを考え行動することが大切になると思います。

委員の主な意見

  • 自治体の役員のなり手がない。
  • 自治会に「ふれあいサロン」があるところは、元気な高齢者も積極的にボランティアで手伝い、うまくいっている。
  • まちづくりに対する市民間の温度差。

2,行政からの情報が私たちにうまく伝わっているだろうか

行政の持つ情報は公開が原則であり、暮らしに必要な情報なども「広報伊丹」や自治会の回覧などで市民に提供されています。しかし、行政の情報がうまく伝わっていないと思っている市民が少なくなく、情報提供の方法に工夫が必要との意見があります。市民に重大な影響を与える政策や施策についても、決定されてから知らされることが多く、「知らされていない」「いつ決定したのか分からない」などの声がよく聞かれます。市民が知りたい情報が、知りたいときに身近なところで手に入る仕組みが必要です。また、その情報が市民にとって、わかりやすいものであることも大切だと思います。

委員の主な意見

  • 情報は出されているのに、私たちにはキャッチできない。
  • 情報収集の手段の1つであるインターネットが私には利用できない。
  • 情報がきた時には、もうすでに決定されていて告知である。

3,多様な立場の市民が意見を交換する場があっただろうか

現在、多様な立場の市民が活動しており、その内容は広範なものです。それぞれが横のつながりをもって活動しているとはいえず、市民同士が対話をする場は充分とはいえません。大、小さまざまなグループが同じ課題で活動していても、積極的に交流を図ろうとする姿勢も充分ではないため、広がりがもてない状況です。
市民の誰もが気軽に話せる場があれば、それぞれの交流が生まれ活動に広がりがでると思います。
また、お互い自由に意見交換することは、お互いの立場を理解し、尊重することにもつながるでしょう。

委員の主な意見

  • 既存の市民グループと新しい市民グループの間に交流がない。
  • 誰でも何でもいえる場所づくり。
  • 社協、自治会が地域コミュニティをどうつくりあげていくか。

(2)行政の現状と課題

1,市民の声を聞く努力は充分だっただろうか

市民の間では、自分たちの声が行政の政策や施策に充分反映していると思っている人はあまり多くはないようです。日頃から行政と連携をとりながら活動している市民に比べ、そうではない市民は自分の意見を伝える方法がわからず、行政もそのような声に対して積極的に耳を傾ける努力が充分ではなかったように思います。現在、審議会等に市民が参画していますが、もっと広く市民の声を聞くための工夫が必要だと思います。

委員の主な意見

  • 行政の計画への意見聴取の機関・手続きがわからない。
  • 審議会等のメンバーが固定されているのではないか。
  • 市民全体に関わる事業は、意志決定前に情報公開し聴取する機会を。

2,行政の組織・仕組みはわかりやすいものだろうか

市民が日常の生活のなかで行政に対して、さまざまな改善などを要望したり相談をすることがでてきますが、窓口に行っても対応する部署が違うといわれ、複数の課を行ったり来たりすることがよく起こります。職員によっては、行政内部の組織や窓口の把握が充分とはいえない人もいます。市民にとってわかりやすく利用しやすい仕組みにして欲しいと思います。

委員の主な意見

  • 分からないことが聞ける、行政の窓口を充実するにはどうすればよいか。
    市民が困っているとき、すぐ相談できる窓口の設定を。たらい回しせず、窓口の一本化を。

3,市民に対して情報提供は充分だっただろうか

現在市民に対して、さまざまな情報提供の方法がありますが、どうすれば知りたい情報をたやすく入手できるのかが分かりづらかったと思います。情報が複雑すぎて市民にとって理解しにくかったり、現在の情報公開の制度(注釈1)について、その活用方法の周知も充分ではなかったように思います。また、建築計画、予算の早い段階での情報公開や意思決定の過程についての情報も市民が欲しい重要な情報のひとつだと思います。市民に経過がわかるようなわかりやすい情報提供ができる仕組みが必要です。

委員の主な意見

  • 行政のつくる建物の計画過程が分からない。
  • 情報公開の制度の説明責任と周知、他市の動向、経験にも学ぶ。
  • 予算組みのプロセスを市民PRしているか。

注釈1:情報公開の制度
条例による公文書公開制度(注釈2)と情報コーナー等による情報を提供する制度があります。

注釈2:公文書公開制度
市民の一般的な公開請求に基づく文書の公開を義務づけた制度。伊丹市では公文書公開条例で、公文書公開に必要な事項、権利などを定めている。

4,多様な市民が参画する仕組みは充分だっただろうか

行政がまちづくりを進めていくためには、多様な市民が参画できる仕組みが必要ですが、現状では充分とはいえない状況です。行政がまちづくりについての計画案をつくる時など、広く市民の声を聞く機会が充分であったといえるでしょうか。例えば、市民が利用する施設が使いにくいものである場合など、計画の段階から多様な市民が参画することができれば実際に利用する市民の声が生かせるのではないでしょうか。だれもが等しくまちづくりに参画できる権利が保障されるようにして欲しいと思います。

委員の主な意見

  • 利用者の声が反映されているか。
  • 計画段階からの参加・意見の取り入れ。
  • 障害当事者の意見を取り入れているか。
  • 外国人市民への制度的な壁をどう取り除いていくか。

5,協働する仕組みは充分だっただろうか

市民と行政が協働して行なっているさまざまな事業があります。市民ができることを市民の手で行うことが、市民参画を進めていくうえで重要なことだと思います。しかし、市民と行政との信頼関係が充分とはいえず、市民と行政が協働して行う事業に広がりがもてない状況があります。現在、市が直営で行っている事業のなかには、市民が協働できるものもあると思います。市民と行政がお互いの役割を理解し、まちづくりに関わる姿勢が必要だと考えます。

委員の主な意見

  • 行政ができないことも市民ならできる。
  • まちづくりなどの問題でNPO(注釈)などが介入するほうがいいこともある。
  • 市民の技術、能力がまちづくりに生かされていない。

注釈  NPO
営利を目的とせず、公益のために活動する民間団体の総称

6,市民が議論する場があっただろうか

まちづくりの担い手である市民がそれぞれの意見を、多様な市民と議論することができる場があったでしょうか。行政が主導してまちづくりが進められてきた状況では、市民の側にもそれを積極的に求める姿勢が欠けていたと思います。行政が主催して行う市民の情報交換の場が全くなかったとはいえませんが、多様な市民が自由に意見交換できる場が提供できていたとはいいがたいと思います。多様な市民が意見を交換することにより、市民同士も行政も課題や情報を共有することができ、お互いに連携しながらまちづくりを進めていくことができると思います。

委員の主な意見

  • 自治会が、地域住民の声を反映したものになっているか。
  • 地域コミュニティの活性化が必要。
  • 「地域住民」の概念、自治会、社協でなく、一般市民をどのように参加してもらうか。

(3)これらの課題に対してどうしていったらいいでしょうか

市民と行政の現状と課題を挙げましたが、まちづくりを進めていくうえでこの課題を受け止め、解決していくためにはどのような仕組みや制度が必要なのでしょうか。市民と行政が現状を把握し、意識改革や発想の転換をしていくことが大切になると思います。