立春に母と文通はじめます(芍薬)
立春や口もとのみが初対面(井上火水)
立春や地球は急に止まれない(藤田 晋一)
お揃ひのマグカップ買ふ春立つ日(榧野 実)
立春のほほうと笑らうモアイ像(平 きみえ)
立春の猫のしっぽへ結うリボン(屋部 きよみ)
サンプルの口紅いくつも塗り合って永遠みたいな放課後にいた(芍薬)
地中海臨む公園には砲台ベニクラゲと見てる不死の夢(堺 紀彦)
わたくしの森に住む子が泣きだせば記憶もろとも紅蓮へ落ちる(睦月くらげ)
ぽつぽつと山の傾りに色つけるモネのタッチで躑躅の紅よ(芝本 政宣)
同級の紅一点を射止めたる僕とおんなじ名前のあいつ(井上火水)
夕焼けは暮れてくれない紅のやまやまそうして輝くばかり(田中 大貴)